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わたしを変えた名曲

おはようございます。
kindle作家のTAKAYUKIでございます☆彡
本日はとらねこさん企画、文豪へのいざない第10弾、《わたしを変えた名曲》について、ショパンの曲を脳内で奏でながら書きました。
もちろん嘘です。肖像画を見てもどちらがショパンでベートーヴンなのか判別がつかないくらい僕は音楽に暗く、そして音痴でございます。
では張り切って参りましょう!

僕は泣いても笑っても、この1曲です。


『およげ!たいやきくん』

この曲を初めて聞いたのは、確か僕が小学校に上がる前だったと思います。
みなさんも幼少期に一度は聞いた事がある名曲です。もじゃもじゃ頭でメガネをかけて歌う、子門真人さん。いい声してますよネ!

僕はテレビの前に座りました。
まず前奏のメロディーが切なく聞こえます。哀愁があり過ぎます。僕は子門真人さんの歌声に導かれながら、アニメーションの世界に没頭していきます。

毎日鉄板の上で焼かれて嫌になったたいやきくんが一念発起。おじさんと喧嘩の末、海に飛び込みます。初めて泳ぐ海に感動するたいやきくん。サメにいじめられながらも何とか逃げ延びます。
空腹の中、海中を泳いでいると餌を発見。たいやきくんは岩場の陰から餌に喰らいつきました。しかしそれは餌ではなく釣り針だったのです。
もがいても、もがいても、喉に刺さった釣り針が取れません。
そのまま釣り上げられたたいやきくんは、なんとおじさんに食べられてしまうのです。
可哀そうなたいやきくんの最後。
悲しくて、何の希望もない、絶望しか感じない歌なのです。ってか、もうホラーですよね?
聞き終えた僕は、大泣きをしていました。
「なんでたいやきくんは食べられちゃったの? おじさんは、たいやきくんを見てかわいそうだと思わなかったの?」
僕は本気でお母さんに詰め寄りました。僕の嗚咽は止まりません。僕の涙と鼻水をお母さんがティッシュで拭いてくれたのを覚えています。
たいやきくんが本当に可哀そうで、僕はお風呂に入っても泣いていました。

それ以降、僕は大人って残酷なんだ。情け容赦がないんだ。たいやきくんを守るのは僕しかいないと奮い立ちました。そしてしばらくの間、僕は町中で大人を見ては睨みつけ、特におじさんを見た時、僕の右手はグーを作っていました。

だから今日に至っても、僕はおじさんが嫌いです。特に釣りをしているおじさんを見ると、僕はドドンパを打ち込みたくなってしまうのです。


その後は以下の曲やアーティストの歌を聞くようになりました。
ザ・ドリフターズ・美空ひばり・爆風スランプ・ミスチル・加山雄三・ZARD・男はつらいよ・森進一・イルカ・猿岩石・スピッツ・GLAY・クリスタルキング・たま・SPEED・ムーディー勝山など、様々な名曲を聴いて僕は大人になりました。
時にはスタンド・バイ・ミーやエンヤなど洋楽を聞いていた時期もあります。大学時代にレンタルビデオ店でアルバイトをしておりましたので(個人店舗ですがCDもレンタルしていたのです)
僕の人生に於いて、音楽は身近な存在です。何度も励まされてきましたが、自分を変えた名曲に、僕はまだ出会えていません。
そう、『およげ!たいやきくん』を超える名曲に出会えていないのであります。

強いて上げさせて頂くのならば、元パンクロッカーにして芥川賞作家の町田康さんです。曲名が『うどんのなかの世界』です。
作家を志も、一日中原稿を書き続ける日々に嫌気がさし、目の前の光が全て絶たれた時、町田康さんの『告白』という小説に僕は偶然にも出会います。その小説に深く感銘を受けた僕は救われ、町田康さんを師として仰ぐようになり、調べ辿り着いたのが『うどんのなかの世界』という曲でした。
牧歌的な音楽にのせて、うどんのなかと外について歌っていきます。
「うどんのなか~うどんのなか~うどんのなか~」
心地よい声とリズムが脳内を駆け巡っていきます。
聞いてみると、うどんの世界観を歌いつつも、実は人生の応援歌である事が分かってきます。が、終盤からは支離滅裂な方向に進んで行きます。
きっとそこがパンクの良さなのだと思います。

ですので聞き終わった時に、「あれっ? 何でこの曲を聞いたんだっけ?」という気分に陥ります。すると先ほどまで悩み迷い苦しんでいた思いが、いつの間にか霧消していて、気づくと気分が晴れ渡っているのです。
本当に不思議な曲なのであります。

久しぶりに聞いてみます。
聞きやすくて愉快なメロディーが懐かしい。するといつの間にか不思議な世界観に引き込まれていました。
聞き終えると、何でこの曲を聞こうとしたのか、もはや僕は思い出せなくなっていました。これが町田さんの世界観なのです。
僕の心の中に滞在しているモヤモヤは消え失せ、ポジティブな気持ちに切り替わるのをちゃんと確認しました。これはもう一種の快楽かも知れません。
ぜひ一度、聞かれることを推奨します。

以上が《わたしを変えた名曲》でございました。

本日も最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。

久しぶりにたいやきを買いに行ってきます。

みなさんで《たいやきくん》を弔おうではありませんか!


【了】


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