見出し画像

チキンを求めて

おはようございます。
kindle作家のTAKAYUKIでございます☆彡

過日。スーパーマーケットにて買い物を購入した時点で感じてはいた。
「ちょっと物足りないかも」と。
でも世間の皆様の胃袋からすれば、十分な量ではある。だけど僕は腹囲88センチのメタボ腹。
案の定、今宵も晩酌をしていると、アテが切れてしまったのである。

たくさん重ね着をした僕は、玄関のドアを開けた。
夜空にはたくさんの星たちが遊んでいる。とても楽しそうだ。
凍てつく寒さが、僕の酔いを醒ましてくれる。
自分の吐息が真っ白なのを見て、もう冬なのだと実感する。
「臭ッ」
僕は自分の吐いた吐息を後悔した。

スーパーマーケットに到着。
やけにカップルが多いなと思いながらも僕は籠を持つと、お惣菜コーナーへずんずん進んで行った。買い物客をごぼう抜きして行った。
お惣菜コーナーに到着すると、僕は目を疑った。
何と沢山のカップルでごった返している。
僕はカップルたちの声に耳を傾けた。
「ヤバい…チキンが超安い。これでいいじゃん!」
「ケンタッキーなど笑止。スーパーのチキンで十分なのだ」
「あっ君、どれにするぅ? 私の手料理もちゃんと食べてネ」
そう、今日はクリスマス。
僕はすっかりクリスマスを失念していた。今晩も清酒を飲みながら、蒲鉾を食べながら、烏賊リングを食べながら、僕はいつも通りnoteの記事を読んでいたのである。

ではせめてチキンでも買って帰ろう。
僕は自分たちの世界観に没入しているカップルたちの間隙をついて、チキン売り場の前面に立った。
そこには30個を超えるチキンが並んでいた。
「作りすぎじゃね?」
酔っているのか、僕は小さな声を発してしまった。

すると、割烹着を来た店員さんが台車を押しながらやって来た。
「すみません。失礼します」
僕たちは一旦、チキン売り場から後方に下がった。
そう、19時を過ぎたので、値下がりするシールを貼りにきたのである。
今日はツイてる。大安かな。
この作業には少し時間がかかるだろう。

僕は移動した。
レモンサワー2缶とパイの実を籠に入れると、チキン売り場に戻った。
「あやややッ」
何と、30個以上あったチキンが、全て売り切れていたのである。
僕はセルフレジを見た。そこには長蛇の列ができていた。
しまった………みんな値下がりするのを虎視眈々と狙っていたのである。
まあ人の生活は様々。値下がりを求めて来た人もいるし、仕事帰りに買い物へ来た人もいるだろう。
だけど、カップルたちよ。せめて君たちは、もっと良き所でチキンを食べるべきだ。僕はクリスマスについて、失念するくらい興味・関心は無いけど、君たちカップルはまだ若い。
敷居の高いお店などに挑戦するべきだ。彼氏はもっと彼女を喜ばせるための戦略を練るべきだ。彼女はもっと彼氏を喜ばせるための踊りを考え披露すべきだ。

僕はレモンサワーとパイの実を購入すると、店内を後にした。
こうなったら、僕もチキンが食べたい!
僕はコンビニへ向かった。
しかしチキンは売り切れていた。

暑い…早歩きをしたので汗をかいた。
僕はスーパーで購入したばかりのレモンサワーを1缶飲み干した。
そのあともコンビニや個人商店のお店を回るも、全てチキンは売り切れていた。

僕は最後の手段。タクシー会社に電話をかけた。
「今からですかあ?………2時間以上お待ち頂けるのなら」
通話を切った僕は、夜空を見た。
「夜空は我を見捨てたのでありますか」
僕はコンビニの片隅で、2缶目のレモンサワーを飲みながら、パイの実を食べた。
パイの実の甘さが、僕を慰めてくれた。


みなさん、良きクリスマスをお過ごし下さいませ☆彡


【了】


よろしければサポートをお願い致します! 頂戴したサポートはクリエイターとしての創作費・活動費に使用させて頂きます。