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ぼくはあと何回満月を見るだろう〜坂本龍一さんの本

天の原ふりさけ見れば春日なる三笠の山に出し月かも
阿倍仲麻呂

坂本龍一さんに送る短歌

ふと何気なく手にした一冊。坂本龍一のファンでも彼の音楽も活動も一切知らない私が日本円にしたら倍以上の値段をなぜか買ってしまいました。
不思議と千冊以上の中から選ぶのには迷いがありませんでした。
なぜなら直感で無意識に手に取っていたから。
数々の頁で涙が溢れては止まらず生まれて初めて言葉の旋律が美しい本に巡り合いました。また言葉に旋律があるのだということを知りませんでした。
自分の価値観や考えがある意味、ぶち壊されました。
未知なる扉がたくさんあって、私たちはただその扉を開こうとはしないこと。
そうして数少ない開いた扉の中での価値観が根付いてそれを世の中の全ての基準で相手に押し付けて生きてきているんだなあって。だから争いも起こる。
坂本さんは原発のことも多く語っていました。

昔、まだ私が19歳くらいの高校を出て地元の土建会社で働いていた時のこと。
職場の従業員はみんな兄弟が多く貧しい家で育った人たちで中学を出ると工場で仕事についてました。
短期で3−6ヶ月に渡り、福島の原発所に会社から数十人を派遣していました。
給料が倍以上にもらえるからとそれはそれはみんな嬉しそうに短期の単身赴任に飛びついていたのでした。
それから数年後、確かにそこへ出稼ぎに行った人たちは体調を崩し、入院をし薬つけになり大体の人々は早く亡くなりました。
当時はみんな原発がいかに怖いか、体に悪影響を及ぼすかなどの全くの知識がなくお金に魅力されて。が、今思うと企業は分かっていた。知識のない人たちに稼げる仕事だと声をかけて数年後に肺がんや他の病気で入院、手術をすることになっても企業に一切訴えられることはない。会社は派遣料をもらい儲ける。
今思うと原発事故が起こるずーと以前から繰り広げられていた真実。
悲しい現実でありました。

人間が作り上げたどんなすごい建物やものも自然災害にあうと全てはガラクタになってしまう。
地球に戻れるものを選んで暮らす生き方を学んでいきたいなと思いました。
ふと、日常に追われ傲慢に生きている自分をゼロ地点に戻すことを意識しながら日々を大事に過ごしていく、それが高級ブランドバックをもらうより素晴らしいギフト。傲慢にならず森羅万象の声に耳をすまして自然に逆らわず調和して生きていくことが私たちの幸せなんだなって。
そう私たちは魚や木やプランクトンと同じように遠い遠い昔は海にいた生き物でありました。
天国の坂本さん、ありがとう!








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