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#0087【建築法令等】アスベストの規制強化と不動産賃貸経営への影響

人体に影響を及ぼす可能性がある有害物質でアスベスト(石綿)があります。大気汚染防止法が一部改正され、2021年4月1日より施行されています。改正により規制が強化されています。改正内容のポイントについて説明します。

【概要】
建築物等の解体工事や補修工事などに伴うアスベスト(石綿)の飛散防止を徹底するために大気汚染防止法が一部改正されました。改正により、一定の工事を行う場合は事前の調査と調査結果の報告が義務化されました。報告対象となった工事は以下のとおりです。

〈報告対象となった工事〉
・解体部分の床面積が80平米以上の解体工事
・請負金額が1,000万円(税込み)以上の解体工事
・請負金額が100万円(税込み)以上の一定の工作物の解体・改修工事

【改正の背景】
従来の事前調査では、不適切な場合があったり、アスベスト建材の使用を見落としていたりといった懸念が改正の背景にあります。調査と結果の報告を徹底させるため、報告を怠った場合の罰則が新たに設けられました。新たに設けられた工事の元請業者に対する罰則は以下のとおりです。

〈元請業者に対する罰則〉
・アスベスト事前調査の報告を怠った場合、大気汚染防止法に基づき、30万円以下の罰金
・アスベスト除去などの措置義務に違反した場合、3か月以下の懲役または30万円以下の罰金

【改正の影響】
アスベストの除去や工事の際の封じ込めは建物所有者の責任となります。調査が必要な場合の費用負担も発生します。報告対象となった工事、報告を怠った場合の罰則が新たに設けられたことで、これまで解体やリフォームを行う際に規制を気にしていなかった建物所有者の方は注意が必要です。以前の法改正でアスベストへの規制がされる前のに竣工した物件、特に2006年以前に竣工された建物の解体やリフォーム工事を行う際は、注意が必要になります。
また規制対象も、従来まで吹き付けアスベスト、アスベストを含有する断熱材、保温材および耐火被覆材に加えて、すでに2021年4月からアスベストを含有する成形板等(スレートボード、ビニール床タイルなど)、アスベスト含有仕上げ塗材も規制対象となっています。オーナーチェンジでアパート一棟、RCのマンション一棟など築年数が経過したマンションを購入する場合には影響があるため注意が必要と考えます。

【最後に】
今後もアスベストの規制に関しては法改正がされる可能性があります。最新の法改正の動向についても注意をする必要があります。最後までお読みいただきありがとうございました。よければ、お気軽にフォロー、スキしていただけますと幸いです。

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