ジャンゴ 繋がれざる者
「オスカーをとったっていう作品は、
どれも興味をそそられるものだけれども」
「そうね」
「女優賞」
「男優賞」
「作品賞」
「なかでも
あたしたちが興味をひかれるのは」
「脚本賞をとった作品よっ!!」
「映画は脚本!!」
「脚本よねっ!!」
「そういう訳で今回は、ちょっと前になるけれど
第85回脚本賞、そしてクリストフ・ヴァルツが助演男優賞に輝いた
この作品!」
「祝2冠!」
「ジャンゴ 繋がれざる者」
「おかずですっ!!」
「ずーこですっ!!」
「2人揃って~!!!」
「映画にブクブク~~!」
「映画の神様の粋な計らいで」
「今回じっくり見直してみたわよ~!」
「こういう時って、DVD、便利よね~~」
「ね~~~」
「ありがたし~~」
「ありがたし~~~」
「で、どうだったの?」
「これがまあ~~あーた!!!!た・ん・の・う~~~~♪」
「面白かったんだ~~」
「あのさ、度々言っているけど、あたしは
最近の無意味な血ドバーっ!は、嫌いなの」
「うん」
「だけどさ
タラちゃんの血ドバーっは、意味があるし
なんというか・・・笑えてくるのよね」
「中学生の子供が、喜んで撮ってるって感じがあるもんね」
「そう!そうなのよ!!。この作品を撮った監督タランティーノ、
タラちゃんだって脚本賞2度もとってるし、「大御所」な訳じゃん??」
「大御所・・・う~~ん
彼にその言葉は似合わねえ~~~っ!!!」
「そうなのよね~~
アハハハ」
「もうさ大御所っつうより、永遠の映画オタクってかさ」
「そこが彼の魅力」
「血ドバーっも、そこになぜか彼の純粋さが透けてみえるものねえ」
「物語の内容は??」
「えっと。
物語は南北戦争前の、アメリカ南部を舞台にした西部劇でね」
「西部劇!!」
「そう。西部劇なの。
解放奴隷のジャンゴがドイツから来た賞金稼ぎの
Dr.キング・シュルツに導かれ、奪われた妻を取り戻すため、
農園の領主カルヴィン・キャンディに立ち向かうってのが
主たるストーリーなんだけど」
「うん。」
「このジャンゴをやるのが
ジェイミー・フォックス」
「反抗的な目が、印象的だったわよね。」
「あの目があるから、あの「背中」にムチの痕だらけっていうのの
説得力が生まれるのね」
「ジェイミーといえば、オスカーでの感動的なスピーチだけど
それも、もう2005年のこと。
時間が経つのは本当に早いよね~。」
「そういえば、彼の拷問シーンでのあのボカシ!!
無粋だったと思わない~~~?」
「身体張った熱演に失礼よねえ」
「それにしてもジェイミー、この役演じるの気持ちよかったと思うわ~」
「うん。もう誰が見ても格好いいんだもの」
「あの早撃ちシーン!!!」
「練習シーンも良かった!」
「助演男優賞をとったクリストフ・ヴァルツは
ドイツから来た賞金稼ぎのDr.キング・シュルツ役」
「この2人の、チームっぷりがいいの」
「黒人と白人。普通ならチームになんか、だよね。
それに奴隷制なんてニュアンスを絡めてある訳だから、
もっていきようによっちゃ、デンジャラスな評価をもたらしそうなストーリーなんだけど」
「うんうん。
ニガーニガーって、まあ凄かったもんね」
「だけどDr.キング・シュルツは、ドイツからやってきたって設定だし
ニガーニガーって言い倒すこういう作品の主役をやったのが
「あのスピーチ」をやったジェイミーな訳じゃん??
「風の通し方」が巧いよね、タラちゃん。
物語の中に流れる「人種差別」アッカンベロベロバーな
テーマの見せ方がさ」
「巧い。」
「巧いといえば
ほんっとおおおおおにっ!!クリストフ・ヴァルツは、巧いよねえ~~」
「ほんっと巧いっ!!
イングロリアスバスターズの、あの「いやらしさ」と打って変わって
今回は、飄々としてて、いいやつ!!」
「いい奴の役!!!」
「あたしが英語堪能だったら、もっともっと彼の上手さを
堪能できたんだろうなあ~~って、心から思うわ~。」
「この作品、本当に「英語」で面白がらせるシーンが多いの」
「Djangoが名前の綴りを尋ねられて、「Dは発音しないんだ」とか」
「Dr.キング・シュルツの、気取った言い回しとか」
「ところでDr.キング・シュルツだけど
彼はジャンゴに対して黒人だからって初手から偏見を持っていないし、
メンター的役割の役よね」
「そうそう。あたしは昔だったらこれ、ポールニューマンあたりが
演じていそうだわなんて思いながら観ていたわ」
「そして対する悪役カルヴィン・キャンディを見事に演じたのが」
「童顔の呪いが却って今回は効果的に働いていたんじゃない?の
レオナルド・ディカプリオ!」
「デカプーの役は、ルイ14世やカリギュラみたいな「暴君」にするってアイデアをタラちゃんが思いついたんで、それに沿って演じたってことらしいんだけれども」
「その目論見が」
「アイデアが」
「ずっぱまり!!」
「ずっぱまり!!!」
「ここでのデカプーは、大農園で育った
世界を知らない狂気を秘めた駄々っ子っつうかさ、そういう人物じゃない?」
「姉とのあの近親相姦的ムードとか、ね」
「ね~~~」
「そういう要素が童顔に合ってて」
「良かった!」
「良かった!!!」
「で、デカプー演じるカルヴィン・キャンディには、執事がいて、
サミュエル・L・ジャクソンがやっているんだけど
これがまた!!」
「黒人でありながら、権力者であるカルヴィン・キャンディに
長年仕えているあいだに、白人よりもっと、も~~っと恐ろしい怪物へと
変貌してしまっているって人物」
「女の敵は女であるように」
「黒人の敵は、黒人なのよ~~~」
「怖い~~~~」
「怖いの~~~~」
「サミュエルが演じると、その怖さがさあ~~~」
「ダメ押し的に倍増!」
「でさ、このサミュエル執事の口が、悪い、悪い!!」
「そうそう。さすがスネークフライトのサミュエル!!!
キャラ設定、わかってらっしゃるわね~~~タラちゃん!」
「アハハ確かに!!!」
「あたしは、この作品で特に印象的だったのが
デカプーの頭蓋骨の3つのくぼみの位置を説明するシーン」
「そうそう。なぜ黒人は隷属的なのかってのを、
そのくぼみで説明するんだけど」
「こいつ何言ってるんだって内容で、ちっとも「科学的」じゃない」
「でも、科学的じゃないからこそ、彼の狂熱が、その熱弁が」
「怖い」
「怖いのよね~~」
「結局自分はさ「判っている」って証明したいんだろうけれど
できていないの。」
「自信満々なのにね。また一方でその実・・・」
「サミュエル執事が、うわてに見えるところが、これまた怖い。」
「いきなりワイン片手に・・・だもの」
「怖い」
「怖い」
「カルヴィン・キャンディは、立派な書庫を持ってて
そこにはその時代ものすご~く高価であった「本」が、ばーっと並んでる」
「本ってのは、言うまでもなく「知恵」の象徴でもあるんだけど」
「奴隷に、三銃士の登場人物の名前をつけていたりするのよね~~」
「三銃士の本の本当の内容は知らないのよね」
「そこをDr.キング・シュルツが暴くシーンも、印象的だったわよね~~」
「カルヴィン・キャンディ・・・彼は権力は持っていても
本当の知性は持っていないの。」
「きゃーーーー!!!」
「きゃーーーーっ!!!!」
「誰のこと??」
「ほんとは誰のことっ???」
「そういうところ、観ているあたしたちをも、くすぐっているって訳よね」
「ファッションも良かったねえ~~」
「そうそう。ジャンゴは自立していくうちに、どんどん
ファッションも格好良くなっていく。」
「最初のあの、青い、さ」
「ああ、あれ!
あのふりふりブラウスね」
「浮かばなかった???」
「・・・おほほほほ。あの方でしょ??」
「れっつごー!」
「れっつごー!!」
「誰が浮かんだかってことは、秘密」
「秘密~~」
「とにかく、ジャンゴの一途さにもやられるし」
「あんな風にこられたら、どんな女でもイチコロよね~~」
「あら、百戦錬磨のあーたでも?」
「そうよ!純情通りにお住まいのあたしでも!!!」
「ジャンゴは正しくヒーロー!!!」
「ラブストーリーでもあるし」
「バディムービーでもあるし」
「あ、絶対言っておかなくちゃいけないのは、音楽の使い方の見事さ!!」
「見事よね~~~」
一緒に観ていた彼女も褒めてた」
「邦画でさ、じゃじゃじゃじゃーんとか、いきなり語りミュージック入れて
とにもかくにも
「ここが
泣き所ですよ~~~」
「ここが見せ場ですよ~~~」
みたいに、音楽で無理やり見所を捏造するのとは大違い!!」
「捏造って!」
「ストーリーがしっかりしているからこその、
音楽と映像の相乗効果とカタルシス!!」
「ジャンゴ!!」
「ジャンゴ!!!」
「邦画の音楽責任者は、これ観て聞いて、お勉強しなさいっ!」
「しなさいっ!!!」
「とにかく180分、だれずに観せたのは凄い!」
「エンターテイメントは、こうでなくっちゃ!」
「これ、シリーズ化して欲しい~~~」
「アハハ」
「あ、良い子は最後の最後まで、席を立たないのも大事なことよ」
「あ、あれね」
「とにかくお薦め!」
「お薦め!!!!」
「観る価値ありありありだわよ~~!!!」
「ジャンゴ~~~!!!!!」
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?