ジャージーボーイズ
「ちょっと前、なにかの統計で見たんだけどさ」
「なによ、いきなり」
「日本人が映画館に出かけて映画を観る回数って、
年に1度なんだって~~~」
「あら~~そうなの??」
「うん。」
「でもさ、今はDVDとかブルーレイとか、通信回線でってのもあるし
おウチでご覧になるって方だって多いんじゃない??」
「まあそうよね。
でもさ、以前ボーイフレンドと話していて意見が一致したんだけど」
「あら、あーたが他人と意見一致なんて珍しいわね」
「人を変人扱いしないでよ」
「違うの?」
「違うわよ」
「あら」
「・・・・!」
「で、どう一致したの??」
「不思議と「映画館で観た映画」ってのは忘れないし、
心に刻みつけられるって。」
「あ~~それは言えるかもね~~」
「でさ、その貴重な年に一回の劇場鑑賞ならば
どうよ、これ!
名画座あたりでやってたら、ぜひともご覧になって!大推薦だわよ!!!だったのが、ジャージーボーイズ!!!」
「あ、そう繋がっていく訳ね」
「クリント・イーストウッド監督作品よ。」
「あたしたちが劇場で観た時は、混んでいたわよね~~」
「うん。」
「クリントの監督作品ってさ、すっごくいいし、
素晴らしい作品が多いけれど」
「テーマが、ね」
「そう、結構観るのに根性がいるって作品多し!!!だわよね~」
「と・こ・ろ・が」
「ところが??」
「これは、違う!
音楽好きで有名なクリントが、すっごく楽しんで監督したってのが
明らかにわかるのよ~~~」
「あ、そうなのね??」
「この作品、1960年代に、世界中で絶大な人気を誇った米ポップスグループ
「ザ・フォー・シーズンズ」の栄光と挫折を描いた、トニー賞受賞ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』の映画化ってことなんだけど。」
「クリント監督はその舞台のキャストを、そのまま使っているのよね」
「そうそう。
役のことを本当に理解しているからってことで、ね」
「舞台では有名かもしれないけれど、正直知らなかったわ~的役者さんが
まあ、巧いッ!!!」
「巧いよね~~~」
「ヴァリ役のあの子、ほんとに鳥肌もののファルセットだったもの」
「ね~~~!!!!」
「不良だった移民の男の子達が、才能を開花させていく
その道のりの「説得力」の基礎となる、あの歌声!!」
「割と物語自体は、淡々と流れていくのよね」
「そうね」
「でも決して退屈させないのよね」
「そうそう。
ラストまで一気に持っていかれるよね」
「でさCan't Take My Eyes Off You !!!」
「泣けた~~~」
「あーた、びっくりするくらいホロホロ泣いていたわよね~~」
「あら、あーただって!」
「決して「泣きなさい」演出じゃないのにさ」
「そうそう。
邦画監督達は、ぜひぜひこの作品を観て、
お勉強していただきたいものだわ~。
淡々と・・・なのに、なんか掴まれちゃう」
「なんかさあ、成功したらしたでいろいろあるのよ。」
「うん。ラスト近くでのあのコメント!!
「リンゴスターになりたいか」とかさ」
「ね~~~・・・
でさ、マフィアとのつながりにしろ、家庭での問題にしろ
なんかクリントの視点がさ、あったかいっていうか、さ」
「うん。
クリントの年齢からくるものもあるのかも、ね。」
「う~~んだけどさ、そこを「年だから」って簡単に観る人には
「判って」欲しくはないのよね。」
「言いたいことは判るけど、それこそあーたは、クリントじゃなくてよ。」
「いいことも悪いことも人生にはある」っていう・・・
当たり前のことなんだけど、切なさと、諦念と、希望と」
「そうねえ~~~」
「ほんっと音楽とステージと人間を「慈しんでる」じゃない??」
「結成から解散・・・そしてその後」
「そしてそして・・・ラストはもう、もう!!!!」
「「音楽のもつ力」を、クリント自身が絶対的に信じているってのが
伝わるよね~~」
「ヒット曲を出すって決心して、
そこからの「シェリー」!!!」
「マ~~ジで、鳥肌もの!!!」
「あ、わたくし的にツボだったのが、ジョーペシとリベラ—チェ!
この間「恋するリベラーチェ」観たばっかしだったしね。」
「アハハ。」
「あら、あーた笑うけど、あの作品、良かったわよ。」
「あと、顔面が仮面臭強いクリストファーウォーケン
やっぱしLOVE♥」
「やっぱし??」
「あとさあとさ、ロックの殿堂入りシーンで
「あれはきっとダイアナロスね」とかさ
営業に行ったら行ったで、「黒人なら来い」と言われて追い返されるとかさ、ほんっと、クリントの若い頃のTVはめ込み映像とか
いろ~~んなくすぐりが嬉しくて、観ているこっちは、ニッカニカ。」
「うふふ。」
「帰宅してHP覗いて映画を思い返すなんて、久しぶりのことよね。」
「うん。」
「それもこれも、繰り返しになるけれど、あとくちのいい作品で、
切なさと少しの諦念と希望が共存しているからこそ。」
「そうねえ」
「幸せはなるもんじゃない。気づくものさ。」
「うん」
「ああ、もう昔だったらさ、一日中映画館にいて、何度も鑑賞していたんじゃないかって思うんだけど~~~」
「そうね~~~」
「とにかく観て戴きたい!!」
「ええ!!」
「ぜひ!」
「ぜひ!!!」
「映画を観る幸せを感じられる作品よ!」
「幸せはなるもんじゃない。気づくものさ。」
「気づくには、観る!」
「ぜひ!!」
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