2020年はアバターストア元年(1) ~アバターストアの意義~

ブロックチェーンを利用したバーチャルストアが発表されたり、Vケット4ではストア機能が実装されると聞いて、2020年はアバターストア元年来るぞ!と思ったので記事にします。長くなりそうなので分割。

この記事ではそもそも論のところ、主に(3D)アバター文化が抱える問題と、なぜアバター向けに範囲を絞ったストアが必要なのかの2点について私なりに説明しようと思います。

○一連の記事を書いている理由(追記)

(追記)一連の記事を書いた理由なんですけど、記事の途中で登場する私が運営しているVRCモデルデータベースの運営について、モデルの供給に登録作業が追いつかないなど限界を感じていて、その代わりになる網羅的なアバターストアを切望しているためです。それと同時にアバター文化やアバターストアに問題意識を抱えていて、それを言語化したかったというのがあります。

○アバター文化の抱える課題

こと3Dモデルのアバター文化は交流(需要)はVRChat、ストア(供給)はBOOTHが主流になっていますが、それにより諸々の問題を抱えるようになっています。

ざっくり書くとこんな感じ

・ユーザーとアバターのマッチング問題(ユーザーが商品に辿り着けない)
・アバターの使い道がない問題(供給過多)
・言語の壁
・規約規格化問題
・アバターコピー問題

フィオっさんの記事では主にのマッチングの問題と供給過多の問題について語られています。この記事でも主に、マッチングの問題について現状を私なりにもう少し詳細に説明した上で、アバターストアができると何が良いのか、なぜVケットがストア機能を持つと嬉しいのかを語りたいと思います。

○アバター探すのむずい問題ついてちょっと詳細

現状BOOTHで好みのVRC向けモデルを見つけるのは大変困難です。というのも、人によってBOOTHに登録するタグがバラバラで検索性が良くないためです。

「アバター」一つとっても「3Dキャラクター」「3D Character」「アバター」etc...とカテゴリ段階で表記が揺れており、さらにケモミミや尻尾、身長、服装や髪型など「ユーザーの好み(キャラクターの属性)」をタグや説明文に記載している人が少ないのが現状です。(キャラクターの属性についてはアセットストアも同様です)

こういった検索性が良くない問題の解決のために私はVRCモデルデータベースというサイトを運営しています。

VRCモデルデータベースはユーザー登録型のデータベースで、大分類はカテゴリ、モデルの属性やDynamicBone対応などの機能はタグに登録し、加えて規約(ライセンス)の内容やQuest対応の有無を選択できるようになっています。

また、DECKYさんが運営している、ワールド情報をまとめているVRChatの世界でもVRChat向け製品・アバターの情報をまとめています。

ですが供給に対して登録が追いついていない状況です。BoothのVRChatタグが9300件(2019/12/15現在)、VRCモデルデータベースに登録済みのモデルが1600件、私が登録予定のモデルだけでも残り2000件あります。VRChatの世界を運営しているDECKYさんも未登録のモデルが溜まりに溜まっているとのことです

VRCモデルデータベースで登録が追いつかない原因ですが、モデル登録をほぼ一人で行っているためです。モデル登録作業は完全ボランティアで、私以外の方が登録する動機は主に作品の宣伝効果を狙ったものになります。私自身モデルデータベースを作った上での反省点でもあるのですが、各モデルのアクセス数を見ても宣伝効果がイマイチでインセンティブが働きにくかったりします(最大ユニークアクセスがvrc向けホバー移動モーションで通算125です)ついでに私一人で登録するにも数が膨大で賽の河原状態なのでモチベーションがなかなか続かなかったり・・・

以上アバター探すのむずい問題についてまとめると以下のようになります。

・既存のストアではカテゴリや各モデル(キャラクター)の持つ属性の表記があったりなかったり揺れていたりするので自分の好みに合致するモデルを探すことが難しい

・検索性改善のための取り組みはあるものの(してみたものの)、クリエイターあるいはそのファンが自ら作品を投稿(登録)するための動機が薄く、情報の更新が追いつかない

(余談ですが、そもそも「自分の好み」を提案するWaifu Labsのようなサービスが必要なのかもしれません。Waifu Labsは自動生成ですが)

○アバターストアに必要なもの

上記の問題を解決するために必要だと思うストアの要素は大きく分けると以下の2つになります。

・「自分の好み」とモデル(アバター)をマッチさせる検索機能
・クリエイターが投稿したくなる集客力

当たり前っちゃ当たり前の話です。ただ今までこの条件を満たすストアが存在していませんでした。

というのも、まず検索機能についてですが、これまでVRSNS向け3Dモデルが持つ要素(属性)が一般化していませんでした。1080円ちゃんから一年以上たって数多くのモデルが世に出た今だからこそ、ストアの設計段階で的確なカテゴリ分け、タグ設定、それに合わせた検索機能の設計が可能になったと思います。(VRCモデルデータベースではこの一年、場当たり的にサイトを改造して対応していました)

集客力はBOOTHに手数料で勝つことはほぼ不可能である以上、割高の手数料に見合った売上あるいはアクセス数が見込めなければなりません。これはストア自体が「VRSNS向け3Dモデル(アバター)」に範囲を絞っていることに加えて、検索機能が優れていれば各作品が埋もれにくくなり、他にも検索機能の多言語化(海外ユーザーの取り込み)や規約の規格化(企業の取り込み)ができれば想定される売上はさらに伸びます。

長々と書きましたが、検索機能の向上がアバターストアの肝でかつ状況がそれを可能にしやすく、さらにコミュニティ外部のパイを持ってくることもできるので、アバターストアにとって必要なものが揃いやすい環境が整いつつあるのかなと思います。

○2020年はアバターストア戦国時代

そんなこんなで、解決すべき課題があり、環境が揃いつつあり、ついでに対抗馬が少なくて上手くいけば業界のスタンダードになって利益も見込める、となれば2020年はアバターストア戦国時代に突入じゃけえのと一人ワクワクしています。いや私も野武士よろしく一旗上げたい気持ちもあるんだけどね・・・

○余談

Vケットストアに限った話で言えば、これまでVケットというイベントを開催、成長させて来た実績とネームバリューがあります。前回のVケット3のカタログ機能に数多くのモデルが登録され、整理されていたことを考えるとVケットには「コミュニティをストアに引っ張っていく魅力」があると思います。もちろん「その場で試着できる大規模イベント」が持つ経済効果的な要素もありますが、アバター文化の象徴、ブランド的な魅力が持つ力は無視できないと思います。つよい

それと今回は未来は明るいぜ!的な趣が強いので次回はアバターストア戦国時代に予想される問題についても語れればと思ってます

(追記)次回はマッチングできるようになっても市場にパイ(需要)が無いというお話です。


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