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稲作創話「棚田物語」甲類03「草刈りは、石崖棚田の美化完成作業なり」

 「甲類01話 ヨセ上げ」で、田地(でんち)創造して、「02話 わらだし」で田中(でんちゅう)清掃して、今回の「草刈り」で、田境(でんきょう)美化。「これで、田界(でんかい)完成。田作り、これにて極めたり!」、なんちゃって。
 石崖棚田の畔(あぜ)と石崖の草刈りをした石崖棚田は、本当に美しいと思います。耕耘前でも、田植え前でも、稲刈り前でも、きれいに整髪した昭和の美男子の美しさを感じます。(私だけ?)
 で、今回は、草刈りについてですが、石崖棚田の草刈りの場所は、大きく分けて2か所、あります。そう、畦と石崖。その二か所では、まず、使用する草刈り機が違います。もちろん、同じでも構いませんが、作業効率が違ってきます。つまり、身体の疲労度が、違ってきます。また、草刈りに臨む想念が違います。つまり、目的が多少違ってきます。
 
 まず、畦草刈りについて。
 基本、畦草刈りは、ハンドルの付いた十字形の草刈り機を使います。なぜか? 楽だからです。ハンドルを必死に握る必要がなく、基本、軽く手を添えているだけで、いけます。草刈り機の先端は、紐でもチップソーでも構いませんが、紐の方が、後頭部にバリカン掛けたようにきれいに仕上がります。ただし、草が伸びすぎて外来種の頑強にスクラム組んだような雑草には、向きません。硬すぎて時間ばかりかかってしまいます。燃料もかかります。紐もちびて環境にマイクロプラスチックを更に多くまき散らかします。
 そして、刈る時のコツは、二つ。一つ目は、手の届く右側下の石崖も刈ります。それは、下から手が届かない所が場所によってはあるからです。
 二つ目は、これは、私の自慢の刈り方ですが、草刈り機は左回転していまして、通常、その左側が田中になります。田植え前、水が入っていない時はまだいいのですが、田植え後だと田中の水が手前、即ち、自分側に飛んできて、顔から体からドロドロベッタンコになります。かなり不快感です。そこで、草刈り機の左側を使うのではなくて、右側を使うのです。
 左の田中側、畦との境目を草刈り機の右側で、刈るのです。右側で刈ると手前ではなくて向こう側に刈った草や土は飛ばされますので、かなりのドロドロベッタンコは解消されます。ハンドルを右に90度倒して、垂直に切り込んでいくのです。すると、田と畦との境界が出来上がり、なんとなく気持ちのいい境目が出現します。無論、草も土も泥も水も、基本、此岸ではなく、彼岸に向かって飛んで行ってくれます。(ご愁傷さまです。不謹慎な!)
 これが、畦草刈り、です。
 
 次に、石崖or石垣(どっちだ?)の草刈りです。下からですので手の届くところ、草刈り機の届く所を刈ります。刈る相手は無論草ですが、実際の草刈り機の相手は、石です。ですから、ここはチップソーではほぼ無理です。ナイロン紐で刈るしかありません。また、マイクロプラスチックを拡散します。ごめんなさい。
 更に、できないことはないのですが、石崖に沿ってハンドル草刈り機を垂直に持ち上げ、振り回し、コントロールするのは大変です。重いのです。ハンドルが邪魔くさいのです。ですので、使用する草刈り機もハンドルの付いていない棒状のものを使います。
 そう、乙類01でさらわれて売り飛ばされた代者です。が、もう一人、兄弟が居りました。この冬までそれを使っていましたが、それも、振り回して石崖に仏(ぶつ)け過ぎて棒が曲がって、お釈迦になってしまいましたが、先日、近所にある本家が見殺して、放棄した代物を蘇生させて、今回から我が棚田にデビューさせました。って、誤字?あるし、日本語になってないような? 何を狙ってんだか!)   
 で、(スルーかよ! せっかく安部公房を思い出そうとしたのに。?「棒になった男」だな!)そう、その棒状の草刈り機を使うのですが、石崖の草刈りの場合、私は、「草を刈る」という意識ではなくて、「石崖を磨く」という想念で作業しています。
 

 そう、石崖をナイロン紐で(地球さん、ごめんなさい!)バリカンしながらブラッシングするのです。まさしく、石崖を磨くのです。無論、草も刈ります。自生したしきび(仏さんにお供えする広葉常緑樹)も刈ります、雑木も刈ります。そして、苔を落とすのです。苔を落として石面(いしづら)を磨くのです。もちろん、そうすることで土が落ちて、そこに今後雑草が生えにくくなるという効能をあるでしょうが、それよりも、この苔落としで磨かれた石崖が、美しいのです。私には、そう思えるのです。確かに、苔生(む)したさざれ石も美しく、歴史的な風格もあり、そちらがお好みの方もいらっしゃるとは思いますが、巌(いわお)となってもらおうとも思いませんので、私には、重たく感じます。
 私は、「さあ、これから新たに今年のお米作りを始めるぞ」といったフレッシュな、若々しさを感じたいのです。特に、4月、水入れ前、代掻き前の石垣棚田には、すっきりと清々しくあってほしいのです。

 いかがでしょうか。この2種類の石垣棚田ならではの、「草刈り」。道具も違えば、刈る時の想念も違う、こんな、楽しみ、平野の真四角な田で、味わえるでしょうか。ヨセ上げにしても、同様、「これぞ石崖棚田の楽しみ、ここに至れり」ってなもんですよ。そう、こんな半分以上めんどくさくて、しんどくて、からだヘロヘロ、ドロドロベッタンコになる作業自体を楽しむことこそが、至福の時間なんです。だから、正直、収量がどうの、反収がいくらって、あんまし興味がないんです。作ることそのものが楽しくて仕方ないのです。
 以上で、お米作りの前の田んぼ作りは、これにて終えまして、次回は、やっとメイン?のお米作りに行きます。
 まずは、もみ撒きと育苗。
 また、読んでくださいね。よろしくお願いします。
 
 
 
 
 
 
 
 


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