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連れ去られ囚人のような暮らしを経て児童養護施設へ、私だけなんで…。そして麻雀との出会いと見つけた居場所とは。【内田みこヒストリー・後編】

麻雀プロがどのような人生を送って麻雀と出会い、今日に至ったのかを語ってもらう「麻雀遊戯ヒストリー」。父親のDVに母親のウツ病、空腹を紛らわせるため体育座りをしながら次の日が来るのを待っていた壮絶人生。そんな内田みこプロの転機、そして麻雀との出会いとは。(全2回の2回目/#1へ)
(初出youtube「麻雀遊戯王」 https://www.youtube.com/watch?v=aZ9CT8uM_ck)

――内田みこヒストリー、後半戦! 内田プロですが、いまだかつて見たことのないくらいの壮絶ストーリー。

 内田プロは中国雑技団スタートで、お父さんのところから逃げてお母さんとお二人で港区で暮らし、文鳥を唯一の友達とし、行ってみた学校は崩壊し、ということでなかなか大変な中、前半のラストに「知らないお姉さんにタクシーで」という、非常に気になる言葉がありました。ここから後半を話していただきましょう。

内田 不登校になったときくらいに、急に知らないお姉さんが迎えに来て「行くよ」みたいな。「どこ行くの?」って聞いたら、担任の先生からたぶん聞いたと思うんですけど、悪い子だよっていう噂を聞いて、悪い子はどこかに連れていかれるみたいで、私だけ連れて行かれて。

 私も「悪いことしたから連れていかれるんだ」って思ってたんですけど、後から思うと、たぶん母親の精神状態がよくなかったから、行政が介入したのかなって思います。そこで保護されます。
 
――お姉さんは保護しに来たということですか。
 
内田 たぶんそうですね、保護しに来ました。でも、本当に私が悪いから連れていかれたと思ってましたね。
 
――保護というよりは、どちらかというとお仕置き的な、連行というか。

内田 私は本当に連行されたと思ってました。ここの一時保護所がとても辛かった。本当に刑務所みたいな感じですね。

 身体検査されて、髪の毛は染めてないんですけどちょっと茶色で、強制的に黒髪にされて、着るものも決まってますし、朝6時起床、布団たたんで、ご飯食べるのも完食しないと部屋に戻れなかったり、他の子どもはいたんですけど、話しちゃいけないとか。

――囚人ですね。これ施設なわけですよね。
 
内田 そうです。でも、悪い子が行っている施設っぽくて。厚生施設でもあり、身寄りがない子を一時的に保護する施設でもある、という感じですね。
 
――ということは、この期間が今書いてある中で一番底になっているわけですか。
 
内田 いや、まだ底じゃないな。

 一時保護施設にいたのは1、2ヵ月くらいでしたね。そこから一時保護を出て、児童養護施設に行きます。いろんな子が集まって、遊んだり漫画があったり、ご飯もちゃんと朝昼晩出てきてたんで、不自由はしなかったですね。
 
 生活は全然普通になっていたけど、どこか満たされないな、みたいな感覚ではありました。食事もちゃんと出てきているのになんでだろうとか思うんですけど。「私だけ、なんでこんな思いをしなきゃいけないの?」というのが強い時期でしたね。

 それで、ここら辺では自由に憧れていました。小5の終わりから小6くらいかな。それから中学校2年生までいました。ずっと自由が欲しくて、早く出たい、早く出たいって言ってたんですよね。そうすると、なんと母親のところに戻れるチャンスが来ました。

 とにかく厳しい規則が嫌だったので、自由になれるぞという思いに期待して母親の元に戻りました。でも相変わらず家も真っ暗で、母親も精神的な薬とか飲んでるんですけど、口とか回らないんですよね。自宅にいると、変な酔っ払いに絡まれてるっていう感じですね。

 それが嫌で、中2の頃は家にいなかったです。夜に公園に行って、そこでたむろしているやんちゃな人たちと遊んでもらってる、みたいな感覚ですね。悪いことはしてないですよ、ただいるだけで。

 でも世の中的に言うと、これは深夜徘徊なんで、本当はダメですよ。そうしたら多分悪い子だな。家にいないんで、悪い子です。

 母親が結構ヒステリックになっちゃって、母が私のことで警察によく電話するんですよ。悪いことしてるって。家に帰ってこないんです、みたいな。それで警察のお世話になりますね。補導というか、家に帰ったら警察がいて、みたいな。それで連れてかれます。また一時保護所に行きます。私、悪い子です。何もしてないんだけどな。深夜徘徊くらいかな、悪いこと。

 それから、中2の頃に父に預けられます。この一時保護所にいた時から「どうする? また施設行く?」って言われてて、養護施設はもう嫌だったので、わずかな自由を求めて父親のところに行きました。どっちがマシかなって、もしかしたらいい感じになるかなって思って。

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