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ラグジュアリーブランドはなぜ高いのか

たまにはマーケティング的な、ブランドビジネスについて。
(ブランド品を買う側の方は、読まない方がいいかもしれませんが)

世界的にも名の通る、ラグジュアリーブランドは
なぜ他の一般的なブランドよりも高額なのか。


一般的には、
有名モデルを起用し、メディアへ多く露出し
広告宣伝費をものすごくかけているから、などと言われる。

デザイナーの給料が高いから、といった話も耳にする。

それらは、正しい。
が、正確には、部分的に正しい、と言うべき。

それだけではなくて、きちんと商品にも
お金をかけている


これは、オートクチュールにしても、
プレタポルテ(ready-to-wear)にしても、
バッグや財布などのレザーグッズにしても、

生産効率の低さから原価が高くなることも一因となっている。
つまり、商品原価にお金をかけているということ。


生産効率が低い、とはどのようなことなのか。

例えば、オートクチュールなんて、
王侯貴族や大富豪に向けた、1点モノの衣装を
デザイナーがその人のためだけにデザインし、
1着分しか使わない生地を使い、パターンメーカーが
何度も仮縫いをしお客さんの体に合わせて修正し、
何人ものクチュリエールによって手縫いされ、
仕上げられる。

これはものすごく丁寧で、希少性が高く、上質なモノに仕上がる反面、
ものすごく、生産効率が低い。

1点の商品をつくるのに、
希少性の高い素材を使い、多くの人がそのためだけに動き、
1点を仕上げるのに、多くの時間を要するから。

一方、量販店で販売されている既製服(アパレル)は、
幾つもの型数を取り扱うデザイナーが、多くのお客さんに
向けたデザインで、2-3回パターン修正をし、
CADを使って多くのサイズ展開のパターンを作成し、

大量に織られた生地を何反も手配して、
無駄がないよう、コンピュータを使って効率的に
生地を裁断し、ブラウスはブラウスが得意な縫製工場、
スカートはスカートが得意な縫製工場で
縫われ、生産される。

生産効率を高めた結果、同じものが大量に生産され、
原価は低く抑えられる。

1点当たりに割り返すと、とても少ない時間で作ることができる


こういったことが原価に反映されるため、価格にも大きく影響する。

食べ物に例えると、
有名シェフがその場で作った料理 と 工場で作られた超加工食品
のようなもの。

レザーグッズも同じことが言える。
素材の希少性、素材の使用効率と、縫製・組み立て効率によって
生産効率が異なってくる。これが原価に影響する。


さらに、ラグジュアリーブランドは品質に対する検品基準も厳しい。
一定の品質をクリアしていないものは、
正価販売されることなく処分される。
これも、費用がかかる。


モノを作り、それを販売してビジネスをしている以上、
モノにお金を掛けられないブランドは、価値を維持するのが難しい。

だから、モノにもきちんとお金をかけている


そして、まだまだお金をかけているところがある。
広告宣伝以外のイメージ戦略。

お店を出店する都市、立地、商業施設、これらにもこだわっている。

なぜ銀座にあるのか、なぜ表参道にあるのか。
なぜあんなに高級感のある店のつくりになっているのか。

なぜ、ドアマンがいるのか。

この、イメージ戦略は、商品だけではなく
購入までの「体験」にも付加価値をつけている

接客販売も、そう。
アプローチからクロージングまで、懇切丁寧でゆとりのある対応。
これは、ショップスタッフの教育にもきちんと投資しているということ。

購入後のアフターサービスの充実も。
不具合があった場合の、無償対応範囲が広かったりする。
ということはブランド側がその費用を負担しているということ。

だから、その分、高くなる。


そして最後に、
この物質的価値を最大限に高める
「希少性の演出」
これも、上手い。


ラグジュアリーブランドの最高峰は、セール販売をしない。

市場に多くの商品が出ないよう、売上が下がってでも
供給を止めることがある。

希少性が下がらない、ということは
価値も、価格も下がらない

ゆえに、高額品であり続ける。


ラグジュアリーブランドは
こういった「演出」にまでも投資することで
高くていいモノ、となる。



最後までお読み頂き、ありがとうございます。

マネジメントでお悩みの方、
管理職になって日が浅い方、
上司の考えに「?」と思っている方、
カッチカチに古い体制の会社に疑問を持たれている方、
などなど。

お仕事でそんなお悩みを持たれている方に向けて
発信していきたいと思います。

 きのした

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