見出し画像

スイスのリスキリングのシステム

こんにちは。
今日は簡単にスイスのリスキリングのシステムについてかなり小さい範囲ではありますが紹介できたらと思います。


キャリア形成にはリスキリング必須なスイス

日本でも昨今では終身雇用制度がほぼ崩壊していると言われていますが、スイスは割と日本よりも前に終身雇用のシステムが薄れていったと思います。

そもそもスイスでは、Weiterbildung(ワイタービルドゥング)と呼ばれる、資格やスキルを身につけることが、就職してから求められます。
もちろん、全員に求められるわけではないですが、転職をする時や昇進する時に求められるものです。
簡単に言うと、Weiterbildungとは、資格や昇進に必要な知識やスキル(マネージメントや上司としての心構えを知る心理学など)を身につける機会のことをそう呼びます。

スイスは基本給が世界でも高いほうですが、もちろん物価や生活コストも高いので、給料が高ければスイス国内の生活も優雅というわけでは決してありません。
なので、週末にWeiterbildungをする人も多く、仕事と掛け持ちで常に働き、学ぶ人が多い社会的風潮があるのが特徴です。
もちろん皆がそういうわけではないですが、キャリアアップ、昇進、昇給、転職をする人には必須のプロセスと言えるでしょう。


リスキリングの費用について

日本語で言うリスキリングですが、その費用は会社が賄ってくれる場合がほとんどです。
例えば今いる役職から昇進したい、もしくは昇給の為にもう一つ資格を取りたいなどと言った場合、会社と交渉することで、そのコースを全額負担してもらえることがほとんどです。
しかし、資格などといった場合はある程度の期限内に合格しないと全額自己負担などといったケースもあるので、安易にだらだら学んで言い訳でもありません。

Weiterbildungの他に、Ausbildungと呼ばれるものもあります。
後者の場合は分かりやすく言うと、警察や看護師、技工士やエンジニアなどといった専門職に就く場合に、学びながら現場でも経験を積めるシステムです。

月の半分は座学、そして残りは現場実習というような感じです。
Ausbildungの場合は州が費用を負担してくれるケースがあります。
費用を負担するというよりも、給料をもらいながら現場実習や座学をするということです。要は、州が人材に投資することで、その分野の人材を捕獲するシステムがあるということです。

日本だと、専門学校に通う費用が自己負担ですが、その費用が県によっては補償されているという認識に近いと思います。

州によっての負担額には差がありますが、例えば若者が実家暮らしでその費用をもらう場合かなり余裕のある生活が出来るくらいには、援助してもらえるかと思います。

日本で生活をしている時は、あまり自分のスキルアップをし続けることに関心が無かったですが、社会がこのように応援してくれると、挑戦したくなる気持ちが湧いてくるので、とてもいいシステムだなと思っています。


スイスでも就職や転職は簡単ではないですが(圧倒的コネクション文化)Weiterbildungをしていると、努力家とか、向上心があるというアピールにもなるので、プラスの面が大きいかと思います。

日本だと面接で謙虚に行く人が多いですが、こちらだと自分を最大にアピールする必要があり、採用側からするとどうやってその人が言っていることの整合性があるのか見極めるのが大変ですが、このシステムがあるおかげで、転職側は常に挑戦し続けられるし、採用側にとっても候補者にどんな強みがあるのかすぐに分かるのが良いなと思っています。


昨今日本社会でリスキリングについて議論されていることが多いので、スイスのことについてもちょっと考えてみました。


チューッス