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きのねの企画構想にあたって

今年に入り早くも1/4が過ぎ、きのねも6年目がすでに半分終えたことになります。
今年も例年通り、これまでもきのねで活動いただいている作家、初めてきのねとご一緒いただく作家とを交えながら1年のスケジュールを組んでいます。
きのねとして応援したい作家を応援しつつ、ギャラリーとして新しい表現を迎え入れることで、きのねに出入りするすべての方々にとって常に良い刺激を作ることと、この循環からきのねそのものの輪郭作りを行なっています。

その中で今年は展示企画以外も意識的にきのねの考えをアウトプットしていこうと思っていますが、まずはあまり発信してこなかった「きのねがどういう基準で出展していただく作家さんを検討しているか」を今回は少しお話しします。

きのねでは大まかに4つの軸で出展作家さんの検討をしています。
一つ目はなんといっても「技術」です。ジャンルを超え、観る人を感動させることができる要素といっていいと思います。絵も写真も立体も、制作・鑑賞にあたり必ず技術力を見られます。きのねではその感動を実際に観ることで多くの方に感じてほしいと思っていますし、作家さんにもしっかり発信してほしいと思っている要素です。
2つ目として「唯一無二か」という点はいつも考えています。その作家さんがいなくなったら、もうそのような表現を観ることができないのではないかと思えるものか。それは色使いであったり、オブジェのデフォルメのし方であったり、発想の独創性であったりと様々ですが、何か一つでも「その作家たらしめているもの」を感じるとお声がけすることが多いです。
3つ目は「その価値は不変なものか」という考え方です。どんな世代でも、私たちの死後の先でも、時代を超えて鑑賞に堪えることが想像できるか。先のことは当然わかりませんが、それでも今という時代、今の価値観の中を生きる私たち、そしてギャラリーを営む私の目で残したいという想いが生まれるかも大切な基準だと思っています。また、この不変とは作家個々人の表現に限らず、扱うテーマそのものも検討対象です。
4つ目は先ほどと真逆になるのですが「時代を反映しているか」も同時に見ています。難しく言ってしまっていますが要するに「今(なるべく急ぎで)企画した方がいいか」という判断基準になります。アート業界に限らず、世の中は常に動いておりますので、トレンドというものが出てきます。扱いたいトレンドがあれば、それはなるべく早くテーマとして扱いたいと思っています。

かなり大まかですが、大体いつもこんなことを考えながら展示の企画を練っています。しかしながら個人がやっているギャラリーですので、ギャラリストである私が「好き」かどうかというところも結局は大きな割合を占めます。
「好き」のエネルギーは本当に凄まじいもので、作家も鑑賞者も熱中させてしまう魔力があります。故に上記の4つを凌駕するほどの基準として(作家がそのモノやテーマに対して)「好き」が爆発しているものに圧倒的に惹かれます。結果としてその好きの先のアウトプットである表現やそれぞれ個々の作品たちが「その作家たらしめる唯一無二のものと感じる結果になっていたりするのです。
きのねで時折かなりマニアックなテーマや企画を扱うのは、こういった理由があるからです。実際マニアックな展示企画はお客様の熱量も凄まじく、大変充実した展示になります。私もこの空気感がとても好きです。
今年は6月に「路地浪漫」というグループ展示を計画しておりますが、よろしければぜひお立ち寄りください。きっとこの熱量を空間から感じていただけることと思います。

長くなりましたが、きのねの展示企画やお声がけしたいと思う作家さんの特徴などのお話でした。

今後もある程度の頻度で更新したいのですが、いかんせんネタが出てこないので、きのねでデザインしたDMについてどんな考えで作ったかなど個別に紹介できればいいなと考えています。
よろしければぜひこちらでもお付き合いくださいませ!!

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