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ここ数年インテリアコーディネーターを悩ますもの

私のインテリアコーディネーター歴は約23年だが(文字にすると長いですね。年をとるはずです)時代の流れと共に建材も機材も進化してきた。
法律として安全性や耐久性などを求められたり、快適性や利便性をメーカーが競ったりして、どんどん進化する。
10年一昔というけれど5年一昔といっても良いぐらいだ。

そんな時代の流れで進化したものにLED照明がある。
最初は電球での登場で、省エネで電気代の節約ではあるけれど、えらく高価で躊躇していた覚えがある。
その後LEDが組み込まれた照明器具が出来て、今ではお値段もいい感じとなった。

だが、何事も良し悪し。
最近の住宅でよく使われるダウンライトは電球一体型が安価で使いやすいが、交換は自分ではできない。
LEDは約10年持つと言われていて、電気代も安く初期投資も抑えられるということで多用されている。
が、電球一体型のため、もし切れたりして(切れるより光が弱まる)交換が必要になった時は電気工事士の免許を持つ人でないと交換できない。
なので、最近では電球別式のダウンライトをお勧めしている。

そして、私的に結構悩まされているのが、電球の色温度だ。
住宅は設計士さんが最後まで全部決めてくれる場合もあるが、住宅メーカーなどでは仕事が分割され、営業・設計・IC(インテリアコーディネーター)・工務など各仕事の範囲や役割分担が決まっていることも多い。

となると、お客さまもトータルで考えれなくなり、その時々で決めていくものだから辻褄が合わなくなったり、組み合わせがおかしくなったりする。

決め事の最後の方に登場するICはそれらを把握してまとめ上げるのも仕事のうちとなるが、重要性を感じていることの一つに照明の色温度がある。
色温度と聞いて「色に温度があるの?」と不思議に思う方もいらっしゃると思うが、明かりの色味のことである。
照明器具にはいろいろな形状やランプがあるが、温かみのあるオレンジ色の光から蛍光灯の白い光まで多種多様に出回っている。
LED電球では温かみのあるムーディーなオレンジ色の光「電球色」、太陽光のような明るくて活動的な光「温白色」、爽やかな白い光の「昼白色」の3色が販売されていて、ダウンライトなどもこの3色から選ぶこととなる。

色温度はk(ケルビン)とい単位で、数字が上がるほど白さが増していく。
一般的に電球色は2700k、温白色は3500k、昼白色は5000kぐらい。

こんなに感じ方が違います!
panasonicさんよりお借りしました

リビングなどみんなが集う場所は温白色、寝室などくつろぎスペースは電球色、キッチンや洗面所、勉強や作業場など色や形がはっきり見たい場所には昼白色がオススメだ。
若い方を私は密かにコンビニ世代と呼んでいるが、20〜30代はコンビニの店内のような明るい白い照明が好きな方が多い気がする。
その少し上の30〜40代はいまだに人気のある北欧風インテリアを目指して電球色がお好みだが、お子様のことなどを踏まえると温白色を選ぶことが多い。年配になると視力が衰えるため明るい方が過ごしやすい。

北国では暖かさを求めるため電球色、南国では涼しさを求めるため昼白色が多いと聞いたことがあるが、四季のある日本では中間(音白色)がちょうどいいと思う。

で、何が問題かというと、この色温度で照らされる物の色が違って見えてしまうことだ。
打ち合わせの時は明るい照明の下で、小さなサンプルを見ながらクロスやカーテンを選ぶので、現場で施工後明かりがつくと「こんな色選んだっけ?」となる。
また、人間の目は面積が大きくなるほど色を薄く感じるので(面積効果という)施工されたクロスやカーテンが薄く地味に見えたりするが、ここに光の色味が加わるとさらにおかしなことになる。

特に電球色を選んだ部屋は要注意だ。
青や緑は黒になるし、茶系は黄な味が増して変な色に見えたりする。
私は照明も打ち合わせさせてもらうようにして配慮しているが、ブログ記事などで「思ったんと違う!」と叫ばれている方はここが原因だと思う。

照明ではもう一つ参考にしているのが演色性Raだ。
電球を買いに行くと外箱に書いてあることがある。
Raは色の見え方が、自然光(太陽光)に当たった時の色と比べて、どの程度再現しているかを示す指標で、 平均演色評価数(Ra)という単位を使って表し、Ra100は、自然光が当たったときの色と同じ色の見え方を再現していることを意味している。
つまり、この値が大きいほど自然光で見た色に近いということだ。
ただし、こちらは明るさW数によることが多く、色温度だけでは判断できない場合に明るさの必要性を測る目安にしている。
つまり、電球色でも明るさをアップしてRa値の高い電球を選べば変になりにくいと考えている。

その昔は といってもほんの何年か前まではこんなこと気にしなかった。種類も少なかったし選択肢があまりなかったからだ。
なぜこんなにおかしなことになるのかと色の勉強もしたが、二つとして同じ条件の物件というものはなく、その出来上がりを必死で妄想してお客様に提案するという、白髪がボーボーになりそうな思考が必要である。これはCGでも再現できなくて経験値でしかない。お客様の生活スタイルを私なりに深くヒアリングし、必要性を見出しながらの作業となる。

ICはそれぞれが打ち合わせた内容を点と点を繋ぐように合わせ、違和感を無くし、総合的に仕上げる最後の砦だとおもっている。
とても大変な時もあるが満足していただけて、気持ちよく暮らせる家が出来上がったらそれでいい。


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