独身女性の単身マンション購入記

独身男性が単身マンションを購入するケースは多いけれど、独身女性が単身マンションを購入するケースはそれほど多くないと思う。2020年3月に独身女性時代の私がマンション購入に至った経緯とその理由について振り返ってみたい。
(※当マンションからはすでに引越し、売却済。身バレ防止のため、売却後に当日記を書いています)

賃貸マンションを放浪する

京都で生まれ育った私は、社会人になってからも戸建ての実家から勤務先の大阪まで通勤していた。そんな私が実家を離れることになったのは突然の東京転勤辞令だった。
はじめての一人暮らしを中野区1K家賃約9万円のマンションで開始し、マンション暮らしの快適さにびっくりした。階段がなく、1部屋で完結した家の中は、手を伸ばせばすぐ物に手が届く。ゴミは24時間出したいときに出せる。そんな暮らしが転勤の場合は借上社宅(物件を選んで会社の方で契約。初期費用ゼロ、引越費用ゼロ、家賃は30%のみ給料天引き、支度金10万円付与)で手に入ったのだからウハウハだった。
そんな生活も数ヶ月でまた大阪転勤辞令が出た。
大阪で家探しをしてびっくりしたのは、前回と同じ条件で家探しをすると東京よりはるかに広くて設備や築年数などの条件のいいマンションが見つかったこと。そんなこんなで大阪の1DK家賃8万円の広々とした新築マンションに住み替えた後も、数ヶ月おきに転勤で東京、大阪のマンションを転々とすることになるのだった。(その数なんと7件!)

分譲に惹かれつつ賃貸住まいする

東京、大阪間で何度も物件探しを繰り返すうちに、大阪よりはるかに東京の家賃が高いこと(同条件で探すと家賃が1,2万円は違う)とわずかな期間で転居していてもその度にどんどん東京のマンションが同条件で見つからなくなっていくこと(転居するごとに家賃が上がっていき、最初は9万円だったのが最後の東京暮らしでは12万円になった)に驚いた。12万円も毎月掛け捨てしていくことのもったいなさを感じてマンション購入に興味を持って行った。
興味を持って分かったこと。

  1. 賃貸だと1K 12万円なのが、分譲だと1LDK 10万円の月々ローン支払額で条件に合う物件が見つかる。分譲の方が広く、しかも分譲の方が食洗器や床暖房、浄水器、浴室暖房など設備がはるかに充実している。

  2. 上記1LDK 10万円の月々ローン支払額の物件を賃貸に出すと、15万円くらいの家賃が設定されている(分譲賃貸)。

  3. 東京で築浅、駅近などの条件を満たしたマンションだと、売るのがそれほど難しくないため、一生居住するつもりがなくても購入可能。(東京では家は住み替えるもの)

  4. 東京でマンション価格は上昇し続けているため、購入しても損しない

  5. 現在ローン金利は低金利がずっと続いている

地方と東京の住宅事情が全然ちがうことを実感したため、東京に住むなら購入した方が絶対にお得だと思った(地方なら賃貸もいいのかも)。

それでも私が賃貸マンションに住み続けて7回も引越した理由は2つ。

  1. 会社の転勤手当が充実していたため

  2. 独身女性が家を買うと結婚する気がないと思われそう

そんな私にも転機がやってきた。

人生の転機が訪れる

数ヶ月ごとに転勤を繰り返す生活を変えるべく転職をした。転職が自分の運勢を向上させたのか、そう時を経ずして彼氏ができた。私が賃貸マンションに住み続ける理由が2つともなくなった。
彼氏ができて思ったのは、「仕事が忙しくて会えない日が続く!いっしょに暮らしたい」。
当時日付が変わるまで仕事をしていた私は、仕事が終わってから彼にLINEを送ってももう寝ていて返ってこない、翌朝彼が返事をくれても私はギリギリまで寝てバタバタ支度して出勤する生活だったため返信できないというすれちがい生活に嫌気がさし、つきあってわずか2か月で彼に「いっしょに暮らそう!私マンション買うから」と打診した。(OKしてくれた彼すごい!)
こうして内見がつきあってまもない彼とのデートとなっていくのだった。
内見の時に思ったのは、物件を見るたびに出会う不動産屋さんはたいてい彼だけに名刺を渡して挨拶するか、私たち二人に名刺を渡して挨拶するかのどちらかだということ。購入者が私であっても、私だけに挨拶するパターンは一回もなかった。やっぱり不動産業界の客は圧倒的に男性なんだろうな。

物件探しをする

私が物件に求めた条件は大きく以下の5点。

  • 彼の通勤電車の路線の沿線であることおよび私の職場まで自転車で通えること(東京の通勤ラッシュには耐えられないので自転車圏内必須)

  • 1LDKの単身/DINKS向けマンション ⇒同居解消したとしても一人で住める

  • スーパーが近い

  • 資産性のある物件 - 築浅(築10年以内)/駅近(駅徒歩10分以内) ⇒勤務先が変わったり結婚して家族が増えた場合に引越ができるように

  • 無理なく買える範囲の価格 ⇒万が一働けなくなったり急な金利上昇でローンを繰上返済したくなった時に最悪キャッシュで全額払える範囲

当時賃貸住まいをしていたエリアが条件を満たし、またこのエリアを気に入っていたため、かなり狭い範囲で物件探しを行った。
実際に内見に行ったのはわずか3件。しかも内1件は比較のために訪れただけのかなりの築古物件。実質2件での選択だった。当時そのエリアでは1LDKの単身築浅駅近物件は賃貸では多かったものの、分譲ではそれほど多くなかったこともあって、そもそもSUUMOで検索した時点でヒットする物件がなかった。
2件のうち最終的に選んだ物件で、特に私が気に入ったのは以下の点。

  • 4路線4駅使用可で都内のどこでも行きやすい

  • 駅までほぼ濡れずに行ける

  • スーパーだけでなく、飲食店、ファーストフード、100均、銀行、郵便局、ジム、大型家電ショップ、アトレやイオンがあり、なんでも徒歩圏内でそろう

  • 収納が充実(特に、広いシューズインクロークが便利!)

  • お風呂が広く、機能が充実(オートバス、追い焚き、浴暖、手元止水付きマイクロバブルシャワー、魔法瓶浴槽)

  • 広いカウンターキッチン(天然御影石、二口ガスコンログリル付き、浄水器付きシャワー栓、食洗器)

  • バルコニーが広く、日当たりがいい

物件を契約して気づいたこと

物件を契約してみて一番実感したのは、手続きが本当にめんどくさいということだった。
物件を契約するにあたってまずいくつかの銀行にローンの事前審査を依頼し、それが通ったら手付金と仲介手数料半金を振り込んで物件を契約。その後それぞれの銀行に行ってローンの本審査の手続きをし、本審査が通ったら最終的にローン契約する銀行を選んでまた契約の手続きをしに行く。そして最後に引渡し(=ローン実行)と何度も色んな所に行って手続きをしないといけなくて、そのたびに色々な必要書類をそろえたりするのも含めて非常に手間がかかる。コロナ禍に外出が増えるのもそうだし、各手続きが平日日中限定のことが多く、仕事を抜けないといけないのもきつかった。その間不動産屋とのやり取りも多く、仕事中の平日日中に連日電話がかかってくる…。物件の購入手続きは賃貸よりはるかにめんどくさくて、こんなに面倒ならそう頻繁に買い替えはできないなぁと思った。

さらには諸費用の高さ。不動産会社には仲介手数料、司法書士には登記費用、銀行には融資事務手数料とそれぞれ支払いが発生する。それらを合計すると物件価格の8%に相当していた。さらに私は築浅なので必要なかったけれど、場合によってはリフォームや修繕費用が発生することもある。これら諸費用がかかることも物件購入時に念頭に置いておく必要がある。(私は諸費用分含めてローンを組んだので頭金ゼロでの購入だったが)。物件自体は資産だけど、この諸費用は掛け捨てだよね。売却時にも諸費用がかかることも合わせて、物件の資産性の評価をするときには諸費用も含めて考えないとなぁと思った。
購入相談の際にリフォーム済の物件をすすめてくる不動産屋がいた。たしかにフルリフォームだと室内は新築みたいなのに新築や築浅物件と比べて物件価格が安い。新築や築浅物件に手が届かない層にとって魅力的な物件といえる。けど一方で、リフォーム物件は同じマンション内の同物件と比べるとかなり高い。売主はリフォーム代を物件価格に乗せているからだ。築古物件を自分でリフォームすることを考えたら価格には納得感はある。ただし、数年経過後に自分が売却する時には、そのリフォームによる新築感はすでに失われていてリフォーム代を物件価格に乗せることは難しくなる。また、リフォームは専有部のみの話であって、共用部は古いなりの設備である。そういうことを考えるとリフォーム物件の資産性ってどうなんだろう、リフォーム物件の物件価格は割高な場合も多く購入には慎重に見極めが必要だと思った。

あとは団信。団信はローン契約のメリットのひとつだと感じた。残された家族への保証のために死亡保険を契約している人は、住宅購入したら解約してもいいんじゃないかなと。資産性のある住宅の場合、自分が死んだ場合にまとまったお金を残すのとローン完済した住宅を残すのでは大きく差はない。もし残された側が手元資金に困っている場合は、住宅を売ればいい。(ただしこれは住宅の資産価値が担保されていて、流動性が高くてすぐ売れる首都圏に限るのかもしれない)。さらにいうと死亡保険で受取れる保険金額はいつ死んでも同じであるのに対し、団信の場合は負債額に応じているため、ローンを組んで一番お金が必要な時期に一番手厚い保証となっている。もちろん死亡保険にも受取人分割ができたりなど、相続という点ですぐれているメリットはある。

想定外だったこと(売却時に向けた懸念)

契約手続き中に一点だけ不安に思ったことがある。
この物件は借地権(普通借地)だったため、ネット系ローンは審査が通らなかったし、都銀でも審査がきびしく、銀行担当者とやり取りが発生した。銀行は債務者が債務不履行の場合、差押えをするけれど(そのためにローン契約時に抵当権を設定する)、土地が地主の所有の場合には簡単にそれができなくなる。だから借地の場合、ローン契約が難しくなる。私が最終的に借りられた銀行では、地主との間で差押えに関する承諾書に「取得者(が借地人として適当であり、かつ相当の名義変更承諾料が支払われることを条件にその者)に本件土地を引続き貸与する」と()内の文言を付与することで合意していた。
これだけローン契約に苦戦するなら、売却時も同様なのではないか。次の買主さんはローン契約先が限定されることを忌避してこの物件を買ってくれないんじゃないか。そんなことを不安に思った。ただ実際には確かに借地権であることを気にする内見者はいたものの買主は現れたし、当物件は購入価格より高く売却できた

物件に入居して気づいたこと

入居してみてはじめて気づいたこと。

  • 駅徒歩3分の沿線沿いなので、電車の音がする。二重窓・二重サッシ・複層ガラスなど防音対策がきっちりされているマンションではあるが、夏に窓を開けて過ごしているとちょっと音がする。内見の時は窓を開けて部屋の中で電車の音を確認しなかった。(閉めているとほぼ音はしない)

  • 玄関を出たところの共用廊下(外廊下)にいる時に電車が通ると吸い込まれそうでちょっと怖い。(電車好きな人にとっては迫力があっていいと思う)

  • マンション管理組合の集まりがあったりしてちょっと面倒(賃貸の時はなかったし)

  • 定期的に業者が排水管洗浄に来てくれる。その際在宅している必要はあるけれど、個人が掃除できない所をきれいにしてもらえるのはうれしい。

  • マンション管理委託会社の提携サイトで色んなものが安く買えたりする

  • 家から帰った時に自動的に玄関の電気がつくのは便利

  • 入居前にメリットに感じてた部分はやはりよい。賃貸より格段にQOLが上がったことを感じる。

  • 彼との同居は快適で幸せ!はじめての同棲生活は楽しくて仕方がない。

私がマンション購入時に考えたこと、感じたことはこんな感じ。東京でバリバリ働いていて収入があり、貯金もある独身女性は分譲マンションを購入してQOLを上げることをおススメします!ただし、女性はライフスタイルの変化が発生する可能性が高いので(失業や転職による収入低下、結婚による転居など)、売ることを考えて物件を選んでおく必要があると思います(売りやすい物件、売った時に損しない物件)。今回買ったマンションを売却した時の話も振り返ってまとめてみたいけれど、それはまた次回!


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