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音楽に恩返ししたい。弁護士、水口さんの正義。

司会:高橋久美子(作家・作詞家)✕ 綾部健司(音楽家・詩人)
ゲスト:水口 瑛介(弁護士)

2月の金夜はお客さんの層がいつもと異なり、若いミュージシャンや音楽関係者が多かった。悩める音楽家のために無料相談を行っている弁護士の水口瑛介さんがゲストに来てくださったからだ。そこには音楽に支えられたからこそ恩返しをしたいという水口さんの思いがあった。JASRACって何をしている機関?原盤権、著作権って?音楽で食べていくってどういうこと?音楽好きのあなたにも、是非考えてほしいテーマです。

●1982年生まれ ゲスト:水口 瑛介

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電車音:(ガタンガタン…)

高橋:水口さんは82年の何月生まれですか?

水口:12月です。

高橋:37歳になったところですね。いつ頃から弁護士になろうと?

水口:小学生〜中学校ぐらいですかね。東京都国立市で生まれ育ったんですけど、駅から長い滑走路が伸びている街で。

高橋:滑走路?

水口:戦争中には滑走路だった桜並木通りがあって、その木よりも高い建物がなかったんですね。けれどそれよりも高いマンションを建てようと話が出て、しばらくすると実際に建ってしまった。

高橋:建ってしまったのかぁ。

水口:それを市民が反対していて、そこで裁判が行われて「建物の20m以上をカットしろ」って判決が出たんです。凄いですよね。

高橋・綾部:ええっ!!建物カットできる?!

水口:そうなんですよね。で、弁護士ってそんなことできるの?って。まあ、それは地方裁判所の判決で、高等裁判所でひっくり返っちゃんですけどね。とはいえ、そんな凄い職業があるんだと思ったのが最初です。

高橋:地元のことだからこそ、肌身にしみて実感があったんですね。

水口:あとは『白い巨塔』の唐沢寿明ヴァージョンの第2部に医療ミス訴訟編て言うのがあるんですよ。わかります?

綾部:あっ、ごめん。1話も見てないわ。笑

高橋:「財前教授の回診です」ってやつやな!

水口:いや、”総”回診!”総”回診!

綾部:そこはどっちでもいいわ!爆笑

水口:で2部は財前教授が医療ミスしちゃうんですよ。それで、上川隆也演じる関口弁護士がいて、彼がめちゃめちゃ格好良くて。あれが弁護士ドラマで一番好きなんですけど、彼が、カルテの改ざんを見破るシーンがあって、当時はカルテが手書きで修正液が使用されてると。それを窓に貼り付けて、陽の光で透けたのが見えてから睨みつけるシーンがあって、俺もこうなろうって思ったんです。

会場:笑

高橋:ドラマからの影響もあったんやな。

水口:僕の後ろの世代はドラマの『HERO』とかだと思うんですけど。

高橋:HERO見てたなあ。でも司法試験って、めちゃくちゃ勉強必要やろ?

水口:僕は結構時間かかっちゃいました。

綾部:ある程度、小・中は頭の良い学生だったんですか?勉学の乗り出しはどんな状態?

水口:全然そういうタイプじゃないんで。

綾部:真ん中ぐらいから?

水口:真ん中よりちょっと下ぐらいからですよ。

高橋:えーー。またまたー。

水口:成績優秀だった時代ってあんまりないです。

綾部:本当に?ちょっと親近感湧くなぁ。笑

高橋:私も親戚に弁護士さんがいるんですけど、最後の2年間くらいは1日12時間くらい勉強したって言ってて。

水口:僕もそのぐらいしてましたね。

高橋:それに打ち勝てるかどうかやあ。途中でぎゃーーー!!って発狂しそうなもんやな。

水口:でも僕が勉強したのは20代後半だったので、やらないと社会的に死んじゃうかなって。勉強するしかない状況に追い込まれていました。

高橋:ひえー。頑張ったね。それくらいの気持ちでないと受からないのだねえ。では、最近のことについてお伺いしていきますね。水口さんは、自分の仕事を通してミュージシャンをサポートしたいという思いがずっとあったんですね? それで音楽を続ける上で、著作権とか法律で悩んでいる音楽家たちの相談を無料で受けてらっしゃる。自分のお仕事もしながらですよ。すごいことだし、私も作詞家としてとてもありがたい存在だと思いました。きっかけはありますか?

水口:実は僕自身が20代前半にバンドをやったりしてました。弁護士になってからもライブハウスとかクラブに足を運んでいて、そのうち色々な知り合いが増えていって、自然と相談される機会があり、日頃「誰に相談していいかわからない」人たちが背後に沢山いることがわかったので、だったら大々的にやろうかなと。当時、「音楽・弁護士」とかでググっても全然でてくなくて。

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