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ハイボール濃いめでお願いします#10春は短し恋するお馬鹿 前編


卒業、入学、新卒の入社、花粉症、選抜甲子園、花見、桜、奇々怪々なホモサピエンスの出現と、相も変わらず騒がしい季節がまたやってきた。
越冬した人々は、過ごしやすい気候の相乗効果で心が緩みがちになり、寒空の下で油断大敵をマニフェストとした自分たちを見失いがちになる。

元来、人は開放的で本能に忠実なのに冷蔵庫の中よりも低い温度に晒された経験から我慢と言う理性を覚えたのかもしれない ※著者の見解

アルコールが脳の機能を一時的に鈍らせる様に春は心の締りを緩める効能がありイレギュラーな事態を誘発する季節である。

故に、自分勝手が顔をのぞかせた時に失態のトリガーを気付かぬ内に弾く事になったりする――実に無念である。

愛のままに我が儘に僕は君だけを怒らせる

創作なのかフィクションなのか解らないが、こんな話を聞いたことがある。
やたらと事故に遭う少年がいたので親が憑き物のせいかもしれないとお払いに行ったら何も憑いていなかった……ついてはなくてはいけない者まで。

少年には守護霊がついていなかった。そのせいでやたらと危険な目に遭う羽目になっていた。なので皆もヒヤッとした時に間一髪セーフな事があったら守護霊に感謝しよう!!

そんな事を伝えたい訳じゃないとは一概に言えないけど主旨からズレましたが、どう考えても守護霊に守られてなきゃ5、6回死んでもおかしくない男がいる。
彼の名はツムツム。自然の脅威とも言えるビッグウェーブに挑戦するサーファーや生命保険に入りづらいスタントマン同様に命知らずな男で気の置けない飲み友達と酒を飲むとリミッターが外れて縦横無尽に梯子しまくる。

それだけ聞くと何処にでも居る阿保な酔っ払いだけど電柱に高速で上るように街を駆けずり回りシャッター閉まりかかった店に「一杯だけ!!」とスライディング入店。
記憶飛ばしてガールズバーに行けば着ていたTシャツを紛失し薄手のアウターの下は上裸で最後の店に辿り着く。
米津玄師のLEMONが聴こえればレモン汁を眼に絞り落として財布と無線イヤフォンを紛失する常連さん。

酔って飛ばした記憶と理性は数知れず、アイツの守護霊は一桁じゃ足りないでしょ。
車に轢かれてもおかしくない彼は未だに無傷なのが不思議です。
普通だったらとっくのとうに死んでるよ。持ってるね彼は、うらやましくないけどね。
(ツムツム行きつけのお店の従業員、常連のお客さんの証言)

ある意味素敵な星の下に生まれた彼だけど、見えない何かが守ってくれないこともあり人はそれを天罰と言うのであった。

続く




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