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ハイボール濃いめでお願いします#18サヨナラ佐伯さん

未だに就職先が見つからずに黒猫の倉庫で働く其の日暮らしな僕です。
今回の文章or過去の奴でも良いので、コイツ面白い、ウチで働かないかって人いましたらご連絡ください。
光の速さでアナタの部下になります。

本題

私の記憶が確かなら、2021年の9月の事だった。

便器に腰を落ち着け気張っていると久しぶりに知り合いからLINEが来た。
「佐伯さんテレビに出てたよね?」

唐突に連絡してきた文章は大人の気遣いZERO。
故に馬鹿な成人の極みだった。

便器の上で連絡を貰ったのが日曜日の昼下がりだったため
素人がテレビに出ている=「ザ・ノンフィクション」の方程式がトイレの中で完成!!

言葉足らずな選挙権を持っているバカチンにトイレの神様に導かれた仮説を送ると案の定「お見事!!」でした。
(つまりはノンフィクションに佐伯さんは出演していた)


ザ・ノンフィクションを知らない人の為にざっと説明すると、日本史上最大の金と権力を誇示している公営ギャンブルJRAとズブズブの癒着番組
「みんなのKEIBA」のチョイと前に放送している憂鬱なリアルを惜しげもなく電波にのっけた番組です。
サザエさん症候群が可愛く思える程、明日の活力削ぎ落す世知辛い日常が大半を占めています。

ノンフィクションでは「ダメ人間マエダ」として紹介され
本名の佐伯健次がチラッと出てきましたが僕の中ではマエダではなく佐伯さんなので本名表記で書いていきます。

佐伯さんとの出会いは、僕が二十歳から足繁く通っていた歌舞伎町のBar0412(マッキーの店。詳しくはハイボール濃いめ#14~17参照)のカウンター最前線(一列しかないけど)。

当時はパチンコ屋で働いていて出だし(飲み始め)は無口で店のテレビを観ながら飲んでいるけどエンジンかかってくると志垣太郎みたいなハイトーンで下ネタを撒き散らし、「子供と別れるのは断腸の思いだった」「マンション売れたけど俺には一銭も入らない」「牧野離婚しろー!!」等、魂の叫びを吐露しながらも愉快な宵の深みを共に過ごす日々でした。

顔馴染みなった僕と佐伯さんは最初のよそよそしさが消えると出会頭からローションプレイの素晴らしさを熱弁する仲(僕は主に聞き手)までなり歌舞伎町の片隅でエロスを肴に眞露を喰らう阿保な飲み友達なれたのを懐かしく思えます。

二人目の奥さんとの結婚から豆腐屋に転職(奥さんの実家の仕事を継ぐ)。
豆腐持参で飲みに来たりして幸せそうだったのも束の間、気付けば離婚と佐伯さんのプライベートは日進月歩のスピードで変化し、転売屋時代に突入するとパチスロのライターを始めたらしく文章を観て感想を頼まれた事があった。
本音は「ふ~ん」しかなかったので「良いんじゃない」しか返せなっかたあの日。

そう、あの日当辺りから佐伯さんとは疎遠になりだしたのだろう。
Bar0412も閉店し、佐伯さんは最後の彼女ができて平成が終盤に差し掛かって行く。
みんなが大人として時代の奔流に四苦八苦しながら、デフレに慣れすぎて元号が変わり、新型コロナウィルスで世界はごった返している中でしれっと佐伯さんはペンネームで地上波デビューした。
しかも、二週連続主役として!!

久しぶりに見た佐伯さんは、パチスロライターとして有名になり、見た目は年を取ったものの中身は昔のままだった。
ビールを飲みながら佐伯さんの命の灯が小さくなっていく様を観ていると胸が苦しくなるけど、チャンネルはそのまま。
口腔がんの手術の為に奥歯を抜いた為に普段は入れ歯をしているのに自宅でのインタビューで入歯外して喋ってるのを観て自然と突っ込んでいた。
「入れ歯入れてしゃべれよ!!」

無駄に甲高い声の言い訳は返ってこなかった。

歌舞伎町の雑居ビルの二階で知り合って17年も経ってしまった。
ウイスキーなら値の張るボトルになっているけど佐伯さんは骨壺の中でコンパクトになっている。

佐伯さんの最期が放送されてから約半年も経つけど未だに
「マエダ ノンフィクション」と検索すれば佐伯さんの写真や記事が観れる。

最後の最期でキー局に出るなんて大出世だよ本当に。

佐伯さんの出演回でナレーションを宮崎あおいが務めて後のインタビューで
「マエダさんがチャーミングだなって」と、言ってる記事を見つけたんだけど佐伯さんがこの記事を読んだら「宮崎あおいを俺は抱ける」なんてアホな事を言うだろうと容易に想像がついた。

最後に連絡を取ったのは電話だって覚えている。
用があって連絡したら当時の彼女が出てビックリしたんだよな。
年上だけど子供みたいな悪戯するところもあった佐伯さん。

どうしようもないエロ話しながら最後に酒を飲みたかった。
後悔は生きていれば常だと佐伯さんに知らされるとは思いもよらなかった。

感情が入ると文体がめちゃくちゃだわね。

最後に佐伯さんの面白エロエピソードを書こうと思ったけど胸いっぱいなのでこれにて終了致します。

拙い文章、ご拝読ありがとうございました。





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