お題「告白水平線」

【ネコ型】(410文字)

　最近手に入れた廉価版ネコ型ロボットに聞いてみた。
「水平線に立つ方法はある？」
　廉価版は正規版より性能が劣るのでできないこともあるが、ネコ型ロボットは答えた。
「あるよ、のぶた君！」
　廉価版なので呼び方が雑なのは仕方ない。僕はサトルなので一字もかぶってないけど。ネコ型ロボットはポケットから小さな筒状のものを出した。
「立ってる気がする望遠鏡～」
　立つのは無理なのか。
　しかし廉価版としてはそれが精一杯らしいので、僕はカオルを誘って海岸に行った。

「カオル、これで海を見てごらん」
「わぁ！水平線に立ってるみたい！」
　僕はその瞬間、カオルの耳元で愛の言葉をささやいた。この海岸は、小説『告白水平線』の聖地なのだ。水平線に立つ恋人に告白すれば永遠の愛が成就すると言う。

「のぶた君、うまくいったぁ？」
　廉価版が、空気も読まずに話しかける。カオルが笑って振り向く。
「あとでどら焼き買ってあげるね」
　ネコ型ロボットはワァイと言う。ここだけ正規版と同じ。

おわり

(2023/8/21 作)

『たらはかに』様の8/20～8/26のイベントに参加させていただきました☆
note街のご近所さん達が、ドラちゃんやどら焼きを大変お好きなようでしたので、ちょぴっと使わせていただきました～(*´ω`*)