お題「半笑いのポッキーゲーム」

【ぽきぽき】(410文字)

「ポッキーゲームってなぁに？」
　いきなり聞かれて困った。どこでそんな言葉を。
　まさか幼稚園児に、宴席で男女が両端を口にくわえてかじっていく様を周囲が囃し立てるゲームだなどとは言えない。

　大人として恥じ入りながら息子のキラキラした目を見つめる。
「えーとね…、ポッキーを折らずに何本くわえられるか？っていうゲームよ」
　変な答えだ。しかし息子はうれしそうに叫ぶ。
「やってみる！」
　え？あー、まぁいいか…。

　しばらくすると、スカートの裾をツンツンとひっぱられた。
　振り向くと、そこには口を横いっぱいに広げて一箱分のポッキーをくわえた半笑いの息子が。
「うひうひひひ、ひぅ…」
　何か言おうとした瞬間、くわえていたポッキーがぽきぽきぽきっと折れて床に散らばった。

　あーあ、半笑いのポッキーゲームが半べそになっちゃったわ。
　私の方が半笑いになりながら、泣かなくていいのよと落ちたポッキーを拾う。
　できればこうして純粋なまま成長してくれたらなぁ…と思いながら。

おわり

(2023/7/24 作)

『たらはかに』様の7/23～7/29のイベントに参加させていただきました☆
突飛なお題で、いかに普通の話を書くか…というチャレンジ？(;・∀・)

ポッキーもへんなゲームに利用されるのは不本意かと。
秋になったら、ふつうに美味しく食べてさしあげましょう～。ぽきぽき。