●のためなら何を言ってもいいのか-「あげまん理論」

キラ子です。今日はシモ成分が高くなりそうな話ですが、なんとか品よく書こうと思っていますので宜しくお願い致します。

映画「パッドマン」を見てきました。公式サイトはいきなり動画スタートするから気をつけて開いて下さい!→http://www.padman.jp/site/

舞台は20年ほど前のインドで、それまで高価だった女性の生理用ナプキンを安価で生産しインドに普及させるために奔走した男性が主役の実話を元にしたフィクションです。ほんの20年くらい前でまだナプキンが普及してないなんて、日本に暮らしているととても信じられない話ですよね。しかし日本でも戦後間もない頃まではそんなような生活をしていました。ナプキンの普及により、女性のライフスタイルが多様化したといっても過言ではないのです。そのくらいナプキンは大事だ。紙でも布でもカップでもタンポンでもな!

実話が元になっているとはいえ、いつもように笑いあり涙ありロマンスあり歌あり踊りあり、の楽しい映画でした。いつものインド映画にあってこの映画になかったのは激しいアクションくらいだな……。間違いなく主役の彼、ラクシュミは英雄なんだけど、目からビームとか出さなければ声が遊佐浩二でもなかった(当たり前)。なお実話が元にはなっているけれどモデルになった本人が「そんなロマンスは本当になかったから!」と一所懸命否定するのもとてもかわいい。忙しい師走の時期ではありますが、皆さんも時間があったら是非ご覧下さい! 2時間20分ですが、全然飽きませんよ!

そんなわけで、この映画を見たら書こうと思っていたことについて今日は書くことにします。

それはネットで見かけたトンデモ自己啓発、「あげまん理論」についてです。何のこっちゃと思われる方のために説明すると、今ごく一部の間で、そういうのが流行りはじめてるんです! 

公式サイト。キラ子の環境が悪いのかナビゲーションのメニューが検索ボタンとかぶっている。ブラウザ古いからかな? と別ブラウザで見ても同じ。ソースを見たら、ポジションで指定してやんの。何故。キラ子怒らないからさ、このCSS書いた奴出てこい。いくらもらってこんな仕事をしたんだと聞きたい。私15万で直すよ!(高い)

皆で「あげまん女性になろう」などと言い出す起業家

さて、「あげまん理論」がなんなのかを見てゆきましょう。概要は……もう公式サイトのコピペでいいよね。こんな感じです。

「あげまん理論®︎」は創始者・中村あきらが世界中のパートナーシップ事例を研究して開発されました。
現在、あげまん理論メディアでは、年間400万人の女性が訪れています。あげまん理論アカデミーには毎月30名以上の方が入学し「男性心理」「パートナーシップ」「自己肯定」について深く学んでいます。
あげまん理論アカデミー協会は、日本の女性の社会進出、共働き夫婦の増加、結婚率の減少、離婚率の増加という課題を解決するべく、女性が輝く幸せなパートナーシップを伝えています。
あなたがこれまでに培ってきた恋愛・結婚経験と豊かなコミュニケーション技術に磨きをかけ、多くのパートナーとともに助け合い、高め合うネットワークです。あなた自身に新たな価値を得て「あげまん女性」として活躍し、企業に、社会に貢献する喜びをともに分かち合いましょう。

ここだけ見ると、「まあそういうのもあるかな」て感じです。「高め合う」って自己啓発でよく言うよね。意識高〜い! 「女性が輝く」は最近政府までもが言い出して、別に皆が皆輝きたいと思ってるわけじゃないんだが……普通でいいんですよ、普通で。と思ったりします。シャイニングするのは早乙女だけでいいんだよ。

にしても「あげまん」て、言葉が悪い。伊丹十三監督の同名映画で日本中に認知された言葉ですが、完全に俗語です。ビジネスの会話の中では絶対に出てきません。そもそもご家庭の話にまで踏み込むのは、あまり気持ちのいい話ではありませんしね。

是非男性のご意見を聞きたいのですが、もしあなたにパートナーがいるとして、「あなたの彼女はあげまんですね」と褒められて嬉しいですか? あなたの仕事でしてきた努力とか実力とかも全部彼女というバフのおかげだって言われてるのと同然なんですが。もちろん彼女のおかげで頑張れたこととかもあるとは思うんですけどね、それをもってして大切な彼女をあげまん呼ばわりされることについて、なんとも思わないものなのでしょうか。逆に「私の妻はあげまんなんですよ」って、言えますか? 「いつも妻には感謝しています」と言う人と、「私の妻があげまんだから出世できた」と言う人の、どちらを信用してビジネスの会話ができますか?

私がもしもこの先ですよ。あなたのパートナーはあげちんですねとか言われたら、相当不愉快になると思います。人の男を捕まえてちんとか言うな! と怒りますね。朕というのは始皇帝だけでいいですよ!(逃れられぬFGOネタ)お前は私の彼の下半身の何を知ってそんなことを言っているのかと問いつめてしまいそうです。もうこうなるとどっちがセクハラかわからんな。もし知っていたら知っていたで別の問題が浮上しそうですが、まあキラ子も大概腐ってるから大丈夫だ!

とか、この一つの言葉をとっても「あげまん理論」にはあまりいい印象はもてない感じなのですが、これを言い出してるのが男性というのがムズムズするところです。しかも「あげまん王子」を名乗っていたりもします。最近はさすがに恥ずかしいのか、あんまりサイトでも言ってないですね。メディアに出る時は「あげまん王子」の肩書き引っさげて出てくるんですけども。

……。

キラ子の知っている王子とは随分違うな!↓

二次元と比較されてしまったら誰も勝ち目ない

実際セレブリティな生まれというわけでもないんですよ、あげまん王子。大学で心理学を専攻していたとかでもなく、簡単に言うと、ただの起業家です。ITバブル期にうまいこと波に乗っかったり、失敗したりしながらシリコンバレーに行った挙句、言い出したのがあげまん理論です。シリコンバレーでナニを学んだらそうなるのか……。と思わず言いたくもなりますが本人いわく、シリコンバレーのパーティーで出会った成功者たちは皆いい奥さんに支えられていたらしいです。ふーん。

そもそもアメリカはパーティー文化で、ことあるごとにパーティーパーティーです。そして大人と呼べる年頃になったら、そのパーティーにパートナーとともに参加するのも当たり前。アメリカの多くの高校で行われるプロムなどはそのパーティー文化への通過儀礼のようなもので、高校を卒業する=大人になるんだからそれくらいできるようになっとけよ、て意味合いが含まれています。だから性的マイノリティの人たちにとっては凄く居心地が悪いみたいですね。日本のおひとりさま文化は向こうでは通用しません。映画もたいてい一人で見に行っちゃう系のキラ子、絶対アメリカに住めないわ。

そんなわけでシリコンバレーに限らずとも、あちらでは実際の夫婦仲がどうであれ、パーティーで仲睦まじく夫を支える妻を演じることくらいは大人の振る舞いとして、できて当たり前なのです。私も実際に見たわけじゃないので、海外ドラマでよく見るってだけで書いていますが、Twitterでも時々海外に行った人がカルチャーショックを受けた報告が出てきますので当たらずとも遠からずじゃないかな、と思っているんですけども。違ってたら何がどう違うのか、誰か教えてください!

あげまん王子も、本当はそんなことはわかっているはずです。実際に行ってるんだから。その上で、日本の女はこのくらい言えばホイホイと乗っかってくるだろうと思ってる。そう、乱暴にいってしまうとあげまん理論はあまり頭のデキのよくない女性こそがターゲットなのです。それがなぜなのか、ということを頭のデキがよい方のキラ子(地方Cラン私大卒/現在派遣社員/アラフォー独身)がこれから解説してまいります。刮目して見よ!

ダメ男はさらにダメになるしかないあげまん理論

あげまんになる。

と言われても伊丹映画の中では持って生まれた運とか、結局相手の男の幸運値が関係するんだろうという描かれ方をします。だがしかし、「あげまん理論」でいうところのあげまんは、そんなチャチなものじゃねーんです。あげまんの「まん」は女性器を意味する隠語ではないとさえ言っているのですから。こじつけるなー。

あげまんとは、セックスをした男性の運を上げる女性という意味で広く用いられてきた。
しかし、この「あげまん理論®︎」ではそういったセックスという意味のあげまんではなく、コミュニケーションやパートナーシップを通じて「男性パートナー(彼氏、旦那、男性友達)」を成功させることができる女性を「あげまん女性」と呼んでいる。

物理的に男を出世させれば自分があげまんになるというあとづけができるわけですね、わかります。キラ子、完璧にわかりました。雨が降るまで雨乞いをすれば成功率は100%ですわ。

ただ雨乞いと違うのは、そもそも相手の男性にそこまでの甲斐性があるかという問題です。そしてすでに成功している男性をパートナーにもつ女性は対象外であり、つまり、現時点で夢を追いかけている男性パートナーを持つ女性が対象ということですね……なんだか気が滅入ってきたぞ。

たとえばバンドマン、役者、芸人、ホスト、なんかビッグなことしてのし上がりたいけど今はフリーターやってる、みたいな。そういう夢追い男がこの世の中には溢れています。東京だと中央線の沿線に多い印象です。一本で行ける新宿が近くて移動しやすいから。なおFXや仮想通貨、そしてプロブロガーで一山当てたい人だと、場所は選びませんね。なんにしても履歴書の職歴には書けないので実質無職です。ビッグな夢を見ながら日々の生活に追われているようなうだつの上がらない男を糟糠の妻が支えて成功する……のは、なかなか大変な事です。

だってそんな有象無象の夢追い人の中から夢を叶えられる人はごく僅かですから。芸人だと苦節10年とか20年といった人が地上波にたまに出てプチブレイクしたりもしますが、なかなか息が続かない人も多いですね。チャンス大城さんとか頑張ってほしいんですけどね。

で、そんな微妙な男性たちを支えるべく女性がすべきことを、「あげまん理論」ではざっくりいえばこうなります……「彼を信じて、褒めて伸ばす」。

子育てか! いい大人を!

いやね。最初からキラ子も「あげまん理論」、否定的ではなかったんですよ。これを知ったきっかけは、最後に書きますけども。ふーん、恋愛自己啓発も今時はこんな風になってるのかと思いながら読み進めて、結論を読んでイスからずり落ちそうになりましたからね。ただ闇雲に金品を貢ぐのではなく、精神的な彼の支柱となり、一切否定すること無く彼を励ます。あげまんのサイクルというポンチ絵がでてくるんですが、これがもうすごい。

1.男性を受け入れる。2.男性そのままを認める。3.肯定・尊敬する。4.信じてあげる。5.存在意義を感じさせる。

結論:そのために女性自身も強くならなければならない(自己の肯定)。

なぜなら男はプライドが高い生き物だからだ。

ってあげまん王子が言ってます。どうしようこの王子。一応本人も「男の僕が言っても都合良いと言われるかもしれないけど」と断りは入れてるんですけど、それに続くのが「だってシリコンバレーで見たんだもん!」的言い訳で、脱力するしかありません。「本当にトトロいたんだもん! ウソじゃないもん!」より信用ならぬぞ、この男。シリコンバレーの常識を、日本の幸薄い女性に当てはめてどうするというのだ。

うだつの上がらない夢追い人にそんなことしても逆効果です。褒めて伸ばしたところで、面白くない芸人は本人が面白くない以上、調子に乗らせても面白くなりようがありません。

実際に見たんだもんで済む理屈で言えば、キラ子は下北沢の小劇場などで、そういういたたまれない現場をたくさん見てきたからな! クスリとも笑えなかった彼らだって、自分が面白くないとは微塵も思ってないんだよ。でも面白くない。下北沢にいたはずなのに、どこかの山奥で滝行をさせられてるのかと思うほどの寒さでした。あのとき出演していた芸人さんたち、皆元気にやってらっしゃいますかね……。なお観客は20人くらいでどれも芸人さんの知り合いとかそういった感じの人ばかりで……キラ子もそうだったけど。

芸人として死ぬほどつまらない彼を本当に支えたいのであれば、「つまんないから芸人はあきらめて普通の人生を選ぼう」と言ってあげるのも愛だと思うんですよね。しかし「あげまん理論」ではそれを認めません。彼の言うことを素直に受け止め、彼を信じて支えるべきだと……つまりそれが、たとえどんなにつまらない芸人であっても……!

身近な例を知っているせいか、つい芸人でたとえてしまいますが、バンドマンとかでもそうですね。渋谷の道玄坂の隅にある小さなライブハウスで40人くらい集めるのがやっと、みたいな現場を見ざるをえない状況があって見たことがありますが、これも本当にどうしようかと思いました。演奏は上手いんですよ。少なくとも私が高校時代に見てた同級生のボウイのコピーバンドよりは上手いんです。でも実際、お客さんが集まっていないんですよね……。どうしたものかね。それなのに些細な人間関係で揉めて空中分解してました。もうね……なんだかね……。あそこに「あげまん理論」実践者が一人でもいたらもっとうまくいってたのかどうかなんて……考えるまでもありません。

さらには別の場所では、そんなこじんまりとしたライブハウスを運営するスタッフから「拘束時間を考えると給料が最低時給の半分に近い」という愚痴も聞いたことがあります。インディーズバンド界隈、どこもかしこも地獄か。

それでも皆、夢を見ているんです。いつか成功する日を願って。その気持ち、思いまで私は否定するつもりはないのです。ただそこに「あげまん理論」はいらんだろ、とは思うのです。

彼女の自己肯定力が低いから相手の男のうだつが上がらない?

あまり私の周りにはいないんですけど、それでもたまーに「私なんて大した女ではない」という凄い自己評価の低い女性がいます。たいていは「そんなことないよ」と言ってもらいたくてそう言ってるだけのプライド滅茶苦茶高い人なんですけど、本気でそう思ってる人の負のオーラは半端ない。でもそれがパートナーの男性に影響されるかどうかというと、微妙ですね。もともとそういう女性のパートナーの男性は、これまたなんだかなあというクソみたいな男であることが多いんです。バイトやっても長続きしないとか。そもそも働かないとか。で、彼女がビデオチャットとかのバイトをして稼ぐ。まさに割れ鍋に綴じ蓋ァ! と言いたくなるような、なんとも苦しい二人です。

この彼女に「あげまん理論」を与えると、クソ男は生まれ変わりますかね? たぶん変わりませんよ。性根が腐っているのですから。「あげまん理論」を学んだ彼女が褒めたりおだてたりなんかした日には、余計働かなくなるだけです。口では大きいことを言うんですけどね。「俺の才能を理解できない周囲が悪い」くらいのことを平気で言いますが、実際はただの我が儘なきかんぼうで、誰もが持て余してるだけなのです。ここで彼女を救うための最適解は、「あげまん理論」ではなく、「別れること」です。腐った性根に水を与えても腐敗が進むだけですからね。

実際「あげまん理論」のサイトを読んでいると、何らかの事情で二人の関係に亀裂が入ってしまいどうすればよいのですか? という相談などを目にすることがあります。するとあげまん王子は「あなたがさげまん化しているからだ」みたいなことを答えるんですよ。余計なお世話だ! 相手がどうであれ、とりあえず女性が悪いみたいなこの物言いにはイラッとさせられます。

でも実際悩んでる当人はそれで「ハッ」としちゃうんでしょうね。「このままだと自然消滅しそうです!」って相談に対していつものように「あなたがさげまん(ry」答えたあと、「ちゃんと彼と向き合って話し合えば、継続するにしても別れるにしてもお互いスッキリできますよ」という、どこの誰でも言えそうなことを返しています。結果別れたみたいだけどスッキリしました! って返事もきたみたいですね。このアドバイス、さげまん云々関係なく誰でも言えるのでは……、というか彼女の友達でもそう言うのでは……。けれども彼女は他でもないあげまん王子に頼ってしまったというところに、なんともいえぬ彼女の孤独を感じるのでした。寂しい女性をちょっと否定しつつ助言を与えると落とせるって、どっかで見たテクニックだわ。ああそうだ、恋愛工学だ。あれもちょっと賢い女性だと絶対落ちないテクだといってだいぶ小馬鹿にされましたね……懐かしい……。

女性は男性をいい気にさせてナンボ、というどこかで見た主張

あげまん王子の言ってること、本当に男にとって都合の良いことばかりなんですよ。そしてその根拠は「シリコンバレーで見たし、世界的に成功してる人を研究したけど皆うまくいってるもん」というもの。自由研究ですか? 離婚してる成功者も結構いると思うんですが……。ZOZOの社長とか成功者だといえる立場だと思いますが独身です。最近は女優に夢中のようですが。彼女はあげまんですかね? 

実はこのあげまん王子の言ってることのほとんどに既視感があります。男を持ち上げろって言うのもどこかで見たなあと思い記憶を辿っていくと、「朝起き会」でした。知らないという人のために説明すると、朝起き会は実践倫理宏正会という一般社団法人の通称です。宗教ではないと否定するんですが限りなく宗教ぽい存在です。PL教団から分派した組織です。そしてその教義は「主婦は夫のために尽くしましょう」という、今の日本では取り残されそうな思想が中心となっています。宗教ではないので政教分離とかもなく、式典などには大物政治家も参加します。ここはここで足を踏み入れるとムズムズしそうな世界なのですが、あげまん王子の主張にちょっと似てるなあと思いました。あげまん王子とは無縁だと思うんですけどね。というか向こうが「こっちくんな」するとは思う。あげまんとか死んでも言いそうにないですもん、朝起き会。

いろいろなものをぶちこむ「あげまん理論」

シリコンバレーまで行っただけのことはあって、あげまん王子は人相学や手相にも造形が深いようです。いや、シリコンバレーはまったく関係なくともできることばかりなんですが。パーティーしかしてこなかったんじゃないの、この人。

中村あきらが提唱する「あげまん理論™️」には、手相・人相学・風水・数秘術などの膨大な占術資料をもとに、中村あきらが今日の時代に合わせて編み出した「あげまん占命術™️」がある。

なんでもありか! これも結論から言うと、「顎が長い男はDV野郎、目の真下にほくろがある男はストーカーになる可能性大、目の奥が窪んでいる男は金にだらしない」。これらの特徴がある男に恨みでもあるんですかね、あげまん王子。女をとられたとか。アントニオ猪木はDV野郎ですか。まあ、色んな人ビンタしてるしな……。ってDVじゃないよあれは! 「目の下にほくろがある男性」、どっかで見たなと思ったら今日本屋で気づきました。滝沢秀明だ。タッキーがそんなことするわけないだろ!! あと、目が窪んでるっていうのは、私の父(故人)がそうでしたね……。金にだらしない……ことはなかった……パチンコは好きでしたけど。というか北欧や中東系の人はだいたい彫りが深くて目が窪んでいるような印象がありますが、皆金にだらしないというのでしょうか。石油王も!? と思ったら、

これらは、いずれも、人相学から割り出されたものだが、もちろん、人相学は万能ではない。上記に該当する人が、必ずしも避けるべき男性とは言えないので活用には注意が必要だ。
性格的特徴も合わせて総合的に判断することができるようになろう。

いちいち予防線を貼るくらいなら最初から書くな!

さらにいえばスピリチュアルはおなじみの「引き寄せの法則」も使ってきます。本当になんでもありなんですよ、「あげまん理論」。別に宗教でもないですし、筋が通らないもなにも筋がそもそもないというね。

彼がいいと思ったものはなんでも取り入れちゃうのでしょう。そして素早く予防線も張る。よほど炎上が怖いと見た。もとはサイト運営の会社などもやっていた人ですからね、その辺はかなり気にしています。サイトの更新も頻繁に行って、SEO対策もばっちりです。でも関係ないぜ! そもそもの言ってることが滅茶苦茶な以上、いつか燃えますよコレ。これから「あげまん理論」を知る人が増えるほどに、「なんだこれ」って思う人は増えるはずです。ダメ男をダメにさせるメソッドでしかないのですから。クッションだけでいいんですよ、人をダメにさせるモノは。

しかし、しかしです。「あげまん理論」、なんでこんなくだらない……といっては失礼ですが……寄せ鍋というか闇鍋みたいな自己啓発に、どうして私がこんなにもツッコミを入れるのかというと、そのビジネスモデルに一番の問題があるからです。正直、あげまん王子にとって、「あげまん理論」がいくらツッコミどころ多数であっても、そんなことはどうでもいいのだと思います。女性の悩みは多種多様ですから、それにあまねく答えようとすると、多種多様の答えを用意しなければなりませんからね。結果もんじゃ焼きになろうが、しもつかれになろうが、それに満足する女性がいればいいのです……金になるから。

「あげまん理論」講師業で、王子まるもうけ!

あげまん王子は先にも書いた通り、ITバブルの時期にサイトを立ち上げ、大やけどをし、回復したところで事業を売却してその足でシリコンバレーに飛びました。そこでセレブとパーティーパーティー三昧だったのかどうかはわかりませんが、ナニカを学び、帰国してからはITコンサルなどもしながらこの「あげまん理論」なるスットコ自己啓発を立ち上げました。それが僅か4年前の話です。これによりあげまん王子は身一つで、あちこちへ出向いて「あげまん理論」のセミナーを行っています。有料で。

金払うほどの価値があるかどうかは知りませんけど、払う人がいるんだから驚きです。経歴によると昔は営業下手だったみたいですけど、シリコンバレーでトークスキルを学んだのか、今は上手くいってるようですね。で、その「あげまん理論」を布教すべく、認定講師制度を作り特別講座を受けることで講師の資格を与えるというビジネスをしています。そう、これこそがあげまん王子の目的なのです。資格ビジネスってやつです。

「あげまん理論リアルアカデミー講座」だそうです。これの講座の費用知りたいですか?

なんと50万円(税込)のところ、32.4万円(税込)で!!

はい解散。

……というのもあれなのでちゃんと説明しますと。この前の鞄持ちインターンでも「日本道」という謎セミナーに触れたんですけど、とにかくこの、どこの誰にも通用しない「資格」を与えるという名の下にセミナーを行う自己啓発セミナー、増えてるんですよ。かの悪名高い「子宮系」もそんなことをやっていました。最近口を開けばフルボッコでおなじみの心屋仁之助もやってますね、「心屋カウンセラー」とやら。履歴書に書いてもドン引きされるだけで何もいいところがない資格です。まだ「バーベキューインストラクター」の方が話のタネになりますよ! 持ってる人が知り合いにいるんですけど、自己紹介でその話をされてだいぶ盛り上がりました。キラ子の周り、やたら実用的な資格持ちだらけだな……。

だって皆さん、書けますか? 履歴書に「あげまん理論認定講師」って。そういう資格を書いた人が面接に来たら、「ハイ採用!」ってできますか。同じスペックでその資格書いてる人と書いてない人がきたら、まあ書いてない人を採りますよ、私ならね。

しかし、ぼちぼち増えてはいます。「あげまん理論」認定講師。この資格を得ることで、夢追い人に捕まってる可哀想な女性に有料でセミナーを行うことが可能になります。夢追い人の夢が叶うまで顧客になってくれますから、なんなら一生養分です。また、そこで講師の資格を取得することを勧めるなりしてさらなるアリ地獄へ落とすという鬼畜な所業も可能です。これ(紹介)であげまん王子からバックマージンをいただいてウマウマ。

ここまでくると、もう「あげまん理論」を世に広めるというよりかは、いかに上手く幸薄い女性から毟り取るかのゲームになっていきますね。実際「あげまん理論」では知りませんが、このようなセミナー業でのトラブルは近年増えています。また、この認定講師という、トイレのちり紙にもならないような資格をとって起業することを「キラキラ起業」などといいます。テレビでも冷笑的に取り上げられていましたが、今後は消費者生活センターへの相談も増えていくんじゃないかと思います。本当に、けっこう危ないんですよ。30万じゃ済みません。成功してる感を出すために色々演出が必要になりますからね。実際あげまん王子も海外に行ってるアピールに忙しいですし。

だから「あげまん理論」、あんまり笑えないんですよね。あげまん王子一人が「女は男を持ち上げろー」とか言ってる分には「はいはいシリコンバレーね」で済みますが、王子に金を払った男女が「あげまんになろう」といってさらに弱い者から毟り取ってゆくとなると、トラブルの元です。

しかもその内容がいろんな自己啓発やら占い、スピリチュアルの焼き直し。上記リアルアカデミーのランディングページの中には「ブロックを外す」というこれも最近スピリチュアル界隈で流行の単語も登場します。マジでなんでもありだ。ここでの「ブロック」というのは「こんなクソみたいな理論にお金払っていいの?」という僅かに残ってる理性のことで、そんな社会の常識は捨てて本来の自分を取り戻せ!と言うための詭弁です。もう、この文字を見た瞬間に、キラ子は「あげまん理論」はダメだという思いを強めました。そして湧いてきたのは怒り。「金のためなら何言ってもいいのか!」と。

「あげまん理論」はここまで書き連ねてきたように、女性を幸せにするどころか不幸にしかねない内容です。成功を夢見て失敗に失敗を重ねている男性を支えるというのは美談ですけどね。一所懸命応援している女性には申し訳ないんだけども、そんな彼に本当に芽があるなら、とっくに誰かが適切な支援をしてくれていますよ。バンドにせよ芸人にせよほかの活動にせよ。ライブだけでなく、コンテストに出るなり、知恵を絞って動画配信するなり、方法は無限です。あの米津玄師だってニコニコ動画でひたすら曲を作り続けて、それが評価されたのです。
どんなチャンスにも評価にも引っかからない時点で、残念ながらもう彼が成功する確率はとても低いのです。そっと彼の元を去るなり、新しい道を一緒に探すなりするのも愛だと思うんですよね。

だって32.4万って大金じゃないですか。3ヶ月のセミナー料にしても、1ヶ月で10万ちょっとですか。運転免許だって馬鹿でなければもうちょっと安くとれますよ。それで言うことが「あげまん理論」ってね。親が泣く。子も泣く。パートナーも「そんな金あったら俺にくれ」ってきっと泣く。いやそれはほっとけばいいか。

パッドマンとあげまん王子、どこで差がついたか……慢心、環境の違い

映画「パッドマン」は生理中に不当な扱いを受ける妻や家族、そしてすべての同じ境遇の女性のために奮闘します。生理用ナプキンが低コストで作れる機械を作り、ナプキンを女性に作らせ、売らせることで彼女たちの雇用と収入を実現させました。日本でいうとヤクルトおばちゃんのシステムです。あれ、実はすごい稼げるんですよ。やる気があれば。
そしてあげまん王子は、うだつのあがらない女性を救おうと「あげまん理論」を広めている……のではないのです。「悩める女性を救済する」名目で、その女性からセミナーでお金を吸い上げているだけなのです。しかもその内容はさらに女性を痛めつけかねないような男性ヨイショの数々、しかもいろんなもののいいとこどり(?)でね。ブロックとか引き寄せとか別にいいものでもなんでもないんだけど。差も何も、スタートから違っていた。ごめんなさい、パッドマン。

なんでもいいから目を覚まして下さい。

また随分長文を書いてしまいましたのでそろそろ〆ようと思います。そもそもどうして私がこの「あげまん理論」を知ったのか、そのきっかけについて。

私が時々Twitterで馬鹿にしてる高知のプロブロガー、いるじゃないですか。2年ほど前、あの有料サロンに入ったものの、脱会の仕方がわからなくて困った、みたいな記事を書いてるブロガーの女性がいました。その時点で結構厳しい指摘が入っていて、本人も反省してたんです。あれからもう2年も経つのか……。ふと気になって、どうしているのかと検索したら、なんとなっていたんです。「あげまん理論」の講師に。それで調べると、こんな惨状だったというわけです。

せっかく脱ハヤしたのに! なんでもっとヤバい方へ行っちゃうのかな!!

彼女は大変なのですよ。手に職もありながら家庭もあり。上記にあったようにそれなりの高給取りじゃないと「あげまん理論」の講師資格なんてとれないんですけどね。で、プライベートは順調なのかと思いきや、離婚する(した?)らしいです。あげまん理論〜〜〜! 役に立ってねえ〜〜〜!

とがっかりしながら、キラ子はそっとブラウザを閉じたのでした。どっとはらい。