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黄鉄鉱の七変化

インディアナポリスの黄鉄鉱が届きました。

Indianapolis, Marion County, Indiana.

黄鉄鉱は方解石ほどではありませんが、いろいろな結晶形が見られます。

球状は結晶が他の鉱物などに妨げられることなく、どの方向にも自由に成長してできます。中国広西省産はもう少しなめらかですが、インディアナポリスのものは、細かい結晶でできたボールから八面体結晶が飛び出ているような形です。

(パイライトボールとして販売されているものの多くは研磨で球体に加工したもので、天然の形ではありません。)

流通している多くの黄鉄鉱は、等軸晶系ならではの立方体、十二面体をしています。八面体はあまりなく、特に完璧な八面体分離結晶はほとんどみかけません。時々トルコ産が売られていますが、アルミホイルで作ってみました!というような感じで、磁鉄鉱のように面がきれいなものではありません。

インディアナポリス産のボール状のものも、産出量が極めて少なく、コレクター放出品に時々出会うくらい。そしてだいたい100~180ドル。

今回は何かの間違いじゃないかというような、お手頃価格で入荷ができました(コレクター放出品の価格ではないので、業者のデッドストックか、新しく採れたと思われます)。

黄鉄鉱で一番よくみかけるのはスペイン産の立方体でしょうか。母岩付きのものも分離結晶のものも、ピッカピカな立方体で、まるで金色の板を職人さんが切り出したようです。

ただ、このアクロバティックな結晶の付き方でも想像がつきますが、流通の途中ではずれてしまうことも多く、業者さんでは予めはずしてから接着しているものも多いようです。それはそれでいいのですが(別のものを付けたわけではないので)、接着剤がはみでているものもあるので、ご購入時にはチェックしてみてください。


十二面体も職人が切り出したようです。


ペルー産のものは、いろいろな形が複合された結晶です。



日本でも黄鉄鉱は採れますが大きな結晶はあまり流通していません。


最後に、こんなのもあります。

Sparta, Illinois, U.S.A.

パイライトサン(Pyrite Sun)と呼ばれる形。針状の結晶が放射状に集合して円盤になっています。堆積岩の層に挟まれた状態で形成されるため、平べったい方向に層になっていたり、はみ出しちゃった!みたいに新しい円盤が育っています。

黄鉄鉱はこのほか、アンモナイト化石が黄鉄鉱に置き換わった(黄鉄鉱化)したものもあります。

写真は、機械式時計のムーブメントと一緒に撮影して、きらら舎ポストカードにしたもの。

黄鉄鉱は錆びやすいので、湿気には注意が必要です。くすんだら真鍮磨きなどで磨くと復活します。

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