歳を重ねて輝きを増す金星。そんな金星に出会うことがある。

リーディングしているとチャートの中の星たちがその人のこれまでの人生の歩みを道案内してくれる。うら若き乙女だった時代から成熟した女性への変貌、そして賢者の風格を備えた老女へ。時の流れと共に金星の持つ美しさも変化していく。

愛と美の星・金星が課題と試練の星・土星と絡む。土星はフェイクを嫌う本物志向の星。金星の扱う、愛情や豊かさ、美しさに土星が影を落とす。それは自らの女性性を否定したり、豊かさを受け取ることにブレーキをかけたりしてしまう。逆に恋に奔放になり自分を大切にすることを忘れ、実りのない関係性に執着してしまったりも。

そんな未熟な金星も土星に躾けられながら少しずつ成熟し、ミッドライフクライシスと呼ばれる中年期を経て、本来の輝きに目覚め、どんどん洗練されていく。

本当の美しさとは？
本当の愛とは？
本当の豊かさとは？

絶えず土星からの問いにさらされていた金星がようやく自らの力で自分にとっての愛、美しさ、豊かさを知り、輝き始める。

遅咲きの金星・・・土金のふたつ星が教えてくれるのは土星の扱う「時間」が醸し出す本物の美しさ。

土金のアスペクトを持つ方は美に関わられるお仕事に従事されていることも多い。ベテランのエステティシャンやアートや音楽など美に関わるジャンルでの活躍など「本物の美」を極めるべく長年に渡って自らの審美眼を磨き続けていらっしゃる方にお会いすると背筋がピンと伸びる感じがする。

若い頃、特に金星期（10代半ば〜20代半ば）は土星が目の上のたん瘤のような存在として、その人を悩ませることもあるけれど、その体験が時を経て思わぬ花を咲かせることもある。

ご年配の方のチャートを拝見したときに星回りからイメージした印象と実際にご本人にお会いしたときに感じる印象が異なることがある。年齢を重ねてもなお失われることのない恥じらいや女性らしさ、タイムレスな美しさ、それは土金のアスペクトが人生に与えた課題に挑み、それらを自らの成長の機会として来られた経験から生まれた自信に依るものでもあると思う。

若かりし頃のご苦労を過去のものとしてすべてを赦し、受け容れ、尚且つそこに留まることなく人生の終わりに向けて颯爽と駆け抜かれていく姿に私自身も勇気をもらう。