どこから読んでも面白い
待ち合わせをしていると何となく時間の結構前に着いてしまって手持ち無沙汰になる時がある。駅ビルやショッピングセンターでの待ち合わせなら暇つぶしの手段が色々あっていいだろう。
喫茶店もいいし、洋服を見るのもいいと思う。けれどもやっぱり本屋での立ち読みが最高である。
しかし、立ち読みをしてても雑誌の内容がイマイチだったり、本の内容がイマイチな時がある。そんな時は私の場合は「燃えよ剣」を読む事にしている。
単純に面白いのだ。本当に。
何回か読んだから筋は分かっているのにどこから読んでも面白い。
高校生の頃、読書嫌いの友達に勧めると、見事にはまったのを覚えている。
いきなり読んで面白いのだ。
ここが重要な点で、本にしろ、食事にしろ、音楽にしろ、洋服にしろ体験してみて、いきなり1秒で予備知識なく体験した人にポジティブな感情を抱かせるものが傑作とかマスターピースたりうるのだと思うし、そう言ったものは普遍的に人に受け入れられると思う。
例えば鳥山明の絵は40年近く前の絵だが、絵のイロハを知らない人にも、うまい、という感想を抱かせるだろうし、ルイスレザーのジャケットだって、ジョンスメドレーのニットだって、着た瞬間にいいものだと思わせるから安くない価格でも長年定番として理解され、着ている人が多いのだと思う。
話が横にずれたが、燃えよ剣もそういう作品である。多分発表当初に読んだ人も面白いと感じるし、2050年に読んでも面白いと感じるのだ。
野暮なはなしだが、なぜ面白いかを考えてみると、やはり主人公の土方歳三の魅力に尽きると思われる。
イケメンで、剣の腕がよく、喧嘩に強くて、モテる。そして自分の信念に最後まで忠実に生きて、死ぬ。
このとても魅力的な主人公をその土地の風土や、一癖ある周囲の人物を交えながらさらに魅力的に司馬遼太郎が書いていく。
面白くないわけがないのである。
教訓とか、何かを学ぶために読書するのもいいが、ただ面白さだけを求めて読書するのも悪くないと思う。
なので、是非時間があれば読んでほしい本の一つである。
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