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テート美術館展 in 国立新美術館

こんにちは。
9月の末だけどまだ暑いですね。
トンボを見かけたのでほんのり秋を感じました。

国立新美術館で開催中のテート美術館展に滑り込みでいってまいりました。
朝イチで六本木行くなら朝活もしようぜ、となったのでちょうど9月の終わりということで2023年の棚卸しと残り3ヶ月の過ごし方なども話して高尚な1日にしよう、と素敵なカフェにも行きました。

人がおらんミッドタウンいいね
AM8:40

テート美術館展 光 ターナー、印象派から現代へ

オープンとほぼ同時に行ったのに、とっても混んでいました。最初の展示室はほぼほぼ見ることが出来ず…。
終了間近なので覚悟はしておりましたが、予想以上でした。展示の後半は人がばらけていたのでストレスはありませんでした。

テート美術館といえば、英国ロンドンにある美術館です。
イギリス出身の画家・ウィリアム・ターナーの作品から印象派のモネ、現代アートの作品が120点ほどの展示です。
18世紀から現代に至るまでの異なる地域、時代の光の捉え方が展示されていてとても楽しかったです。
最初の展示室が混みあっており、ターナーの絵はほとんど見えなかったので残念でした。これは、テート美術館に行って観るしかないか。

神様は最初に光を作った

ユダヤ教・キリスト教の信仰では、神は最初に光を創造したとされており、光は善と純瑞、暗黒は破壊と悪と対極するものとして光が描かれていました。古事記の日本の神様とは違っていて面白いですね。

宗教画の題材で描かれる光と闇がとても興味深かったです。
この絵は希望の絵か、絶望の絵なのか?と思わず絵の前で考えてしまいました。
(NO.3 大洪水 The Deluge ジェイコブ・モーア作)
大災害が起きようが、人がその下で悲劇に見舞われていようが、なんの関係もなく月は光る。日は昇る。いつかくる朝は希望になるのか。
見る日の気分によって見え方が大きく変わりそうです。

イタリアの火山の噴火の絵も、同じような感覚でした。
足元で避難する人間がいても、それでも、噴き出る溶岩も、眩しい白の稲光がより一層物々しくしておりました。火山の噴火で雷って発生するんだ!と思って調べてみたらしっかり書いてありました。

火山雷
火山が噴き上げる水蒸気、火山灰、火山岩などの摩擦電気により生じる。また、水蒸気が少ない場合でも発生できる。

Wikipedia 火山雷

自然の偉大さ、人間の無力さを感じました。畏敬の念といいますか、とても印象的です。

ポンペイとヘルクラネウムの崩壊の一部

圧倒的な火山の絵を描きつつも、綺麗な満月の絵もありました。
満月の明るさが柔らかくてとても好きな絵でした。
よりいっそう、火山の恐ろしさが際立つような気がします。

トスカーナの海岸の灯台と月光
光が淡くて静寂を感じた

19世紀のイギリスってこんな感じなのか〜

イギリスの原風景とも言える絵を残した人の作品もありました。
光がその時代の空気感を含んでいました。

コンスタブル作のイングランドの風景。
小さい絵ですが、白黒なのに色を感じるほど緻密で光を感じる綺麗な連作でした。
卓上カレンダーとかで欲しいです。

イングランドの風景
秋の日没

この時代のイギリスの原風景ってどこかで見られるのかな。深呼吸したい。

光が優しいんだ〜

イングランドの原風景の光の優しさからの油彩による空の表現。

ポスターにも使われている、ジョン・ブレッドの作品。海の反射が、色が、空が本当に優しくて素敵でした。

ドーセットシャーの崖から見るイギリス海峡
ジョン・ブレッド作
海が日本の海と違う色、違う光の反射

ドーセットシャーの崖とはどこだ、と思ってGoogleマップで調べたら、イギリスの下の方でした。イギリスの下からフランス側を眺めるようなイメージでしょうか。
当たり前かもしれないのですが、イギリスからフランスの島は見えないんですね。知らなかったです。勝手に見えるもんだと思ってました。思ったより離れてるんですな。

19世紀半ば、チューブ絵の具の発明によって、画家たちが外で制作をするようになりました。(1860年以降)
キャンバスを持って外に出た印象派で有名な、モネの作品も展示されていました。
モネの作品の空気感、その瞬間の目の前の風景を落とした絵はやっぱり好きです。
空が青ではない、淡い時間。
少し低い雲が出ている時の夕暮れに、たまにモネのようだと感じる日があります。こんな日だったのかな、と勝手に想像して物思いに耽ったり。

クロード・モネ
ポール=ヴィレのセーヌ川
可愛い額縁
額縁も絵の一部なんだと感じる

光が絵に描かれていない部分を想像させる

母と子がテーマの絵で、日常を切り取ったようなこの構図って素敵だなと思っていたら近くの方が、「窓は描かれていないのに、窓を感じるね」と言っておられて「確かに」と思わず言ってしまいました。
画面の外の風景も思わず想像してしまう、素敵な絵でした。

母と子
ウィリアム・ローゼンスタ作

現代アートへ

カンディンスキーの絵から始まり、抽象画・現代アートに移り変りました。
現実世界の表現から感覚に訴えるアートに変わったため、脳みそへの負荷が大きかったです。

マーク・ロスコの絵は実物を初めてみましたが、大きい。
去年に近代美術館で見た、ゲルハルト・リヒターの作品もありました。

ゲルハルト・リヒター作
曰く、「メガネを外した状態でみる雨の日の交差点のようだ」


ぺー・ホワイトのぶら下がったかけらは、一斉に羽化する蝶を群れを見ているようでした。一緒に見ていた友人は「カエルの目のようだ」と言っていました。
糸の色が下にいくにつれて緑から赤に変わっていて、不思議でした。
有象無象かと思いきや、下に落ちている影は規則的に並んでいるように見えて、水族館で見た鰯の群れを思い出しました。

ぶら下がったかけら
ペー・ホワイト
イワシの魚影みたい

現代アート、この辺から光が優しくなくなる

最後のあたりでは、絵ではなく実際の光を用いたインスタレーションでした。
これが、とても脳にきました。負荷がとても高い。
光を色んな道具で捉えていて、平面の絵を鑑賞するのではなく、自分が光の中に入っていくようなものもあり、「人類の超えてはいけないラインを超えた感がある」と言いながら友人とヒーヒーと体験しました。

カラーサイクルⅢ
ピーター・セッジリー作
ずっとみてたら催眠術にかかりそうだった。
黄色VS紫
オラファー・エリアソン作
光が当たったガラスがゆっくり回転しています。
角度で影の色が黄色や紫色、そして白黒になって
どういう原理なの?
3周くらいで脳が処理落ち
曰く、「我々にはまだ早かった」

暗い部屋で展示されていた、ジェームズ・タレルの作品はデジャブを感じて思い出してみると、直島の地中美術館だ!と思い当たりました。
前に見た作者の作品に思いがけず出会うと嬉しいですね。
タレルの作品を薄暗い部屋で見ていると、小さな少年の靴がピカピカと光っていて、とても綺麗でした。光る靴懐かしいし、今この瞬間に光らせてくれてありがとう。

地中美術館も、
自然光を綺麗に取り入れた美術館でした。


最後を飾っていたのは、大きなミラーボールのように回転する作品。
星屑の素粒子(Stardust particle)
とても綺麗でした。ずっと眺めていたい。
中に半透明の鏡が入っているようで、真ん中から出る光の乱反射と球体本体の影が楽しかったです。

星屑の素粒子
オラファー・エリアソン

Perfumeのライブ思い出す。

影が見惚れちゃうほど美しかった。

グッズコーナー

英国にちなんで、ウェッジウッドの紅茶なども販売されていました。
ポストカード4枚購入して大満足です。
ターナーのトートバッグがとても可愛かったです。
時間帯によるものなのか、とにかく人が多かったです。

展覧会情報

テート美術館展 光
国立新美術館
2023/7/12-10/2

日付時間指定チケットではありませんでした!
とにかく人が多かったので、見たい展示は余裕をもった日程で見に行きたいと再認識しました。

精進します。
切り絵作家 ひら子

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