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DTMを続けることでピアノも上達した

DAW(Digital Audio Workstation)を使って楽曲制作を続けた結果、セッションでのジャズピアノやジャズドラムの演奏技術が上達しました。その一方、日々のピアノ練習の時間は、仕事が忙しくなり去年と比べて大幅に減っていました。それにも関わらず、一緒にセッションするプレイヤーやホストの方の声からも実感でき、かつ自分の演奏の録音を聴いても実感できたのは嬉しかったです。DAWを活用した楽曲制作経験は、ジャズの演奏にも活きていると感じ、その要因についてまとめてみました。

※ 前回の話の続き

要因1 「リズムを視覚的/客観的にとらえる」

私が制作する楽曲は主に「Lo-Fi HipHop」というインストゥルメンタル楽曲で、Spotify for Artistsのレポートを確認する限り、95%以上を海外リスナーの方が占めています。楽曲を配信する際に、海外のプロデューサーやキュレーターに楽曲のレビューを依頼していて、去年は100人以上に送りました。

2022年末のリスナー分布

「Lo-Fi」系で特に重視されるのはビートなようです。ジャズやヒップホップなど、ブラックミュージックはリスナーが気持ちを音楽に委ねたり、聴きながら踊れるかを重視するようです。まさにジャズ・スタンダードで言う「It Don't Mean a Thing (If It Ain't Got That Swing)」を実感します。

カジュアルなセッションではピアノの合間にドラムを叩かせてもらったりするので、DAWの作業の中でもビートメイキングが一番好きで、前向きにとりくむようにしていました。

そのため、レビューを依頼する際も「特にビート。それからミックス、マスタリングをチェックしてほしい」と伝えるようにしています。

DAWでビートメイキングをする際、1小節の間で刻まれるハットやキックの音を細かくズラしたり調整してグルーブ感を出せるように、注意深く集中しながらビートを組むようになります。その結果、ビートを繰り返し聴くようになり、リズムに対して集中して向き合う機会が増えました。

「ハットがここまで食っていれると、スイングじゃなくてリズム自体が崩れる」とか「キックの裏拍をここにいれると、次の小節のキックに響いて煩雑」などを、自分なりに感じるようになりました。

特に、ジャズはリズムがレイドバックしたりレガートします。HipHoipでも例えばJ-Dillaがドラムマシーンを使いながら微妙にズレたリズムで強烈なグルーブ感を出していたりします。

どこまでリズムが前後に揺れたら気持ちよくて、どこを超えたらズレていて気持ちわるいのかが、DAWを使うと視覚的に把握できるのは、ジャズを学ぶ際に勉強になりました。

Native InstrumentsのSTUDIO DRUMMERにもジャズのパターンがある
STUDIO DRUMMERのジャズサンプルから。ハットが揺れてスイング感が出てる。

あわせてセッションでドラムの方が来てない時などに、ジャズドラムを叩くようにしました。これはもう2年ほど続けています。DTMとは別で、リズム感に課題があると感じていたので始めたのがきっかけです。

Lo-Fiでリスナーに聴かれる楽曲になっているかどうかは、ビートがノレて気持ちが揺れるかどうかが重要と感じます。そのため、ハットが入っていくタイミングやキックが強く体を揺らす感覚が生み出すグルーブ感を学ぶことは、結果的にジャズのセッションにおいてスイング感を再現する際にも役立ちました。

DAWを活用した楽曲制作(DTM)を通じて得られたことは「リズムやビートに注意深くなる」でした。結果的に、ジャズのセッションでも活かせたのはテクニック的なことよりも「リズムに向き合う」という姿勢という、自分の中の意識の変化だったと思います。

もう1つの要因については次回に書いてみようと思います。

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