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岐阜考察4 美濃概論

岐阜の南半分を美濃地方と呼ぶ。北部の飛騨同様、千年前の律令制によって美濃国が制定された時から今まで、大よその形を変えることなく続いている。

元々、廃藩置県が行われた際、岐阜県とは美濃地方だけを指した。その頃、飛騨地方は富山県の一部とくっついて筑摩県を構成していた。今の岐阜県となるのは廃藩置県が最初に行われてから5年後のことである。そのため、教条主義的岐阜県民や、原理主義的行政区分論者からすると、美濃地方こそ真にして唯一の岐阜県ということになる。そのことに価値があるかは別として。

3つの市と1つの郡だけで構成される飛騨地方と異なり、美濃地方は26の市と群から成り立つ。ただしこれは飛騨と比べて美濃が広大だということを意味しない。単純に飛騨地方の行政区分の統廃合が異常に進んでいるだけである。参考までに、岐阜県の面積の20%は合併により肥大した飛騨地方の高山市によって占められている。

美濃地方には伝統的に、3つないし4つの区分けがある。東西に伸びる美濃地方を縦に分けて、西から順に、西濃・中濃・東濃と呼ぶ区分けである。4つに分ける場合は、西濃と中濃の間にある岐阜市周辺を岐阜地区として切り分ける。

雪・山・度を越えた田舎というわかりやすい共通項を持つ飛騨地方に比べると、美濃地方は些か総括が難しい。突き抜けない程度の田舎というのは共通しているが、それは多くの国内地方中堅未満都市に当てはまることであり、美濃地方の特色とは呼べないだろう。

長野県に接する東濃地方は比較的山に囲まれ、最東端の中津川市はほとんど飛騨や長野と変わらぬ様相を呈するが、西に行くにつれて岐阜と愛知に跨る濃尾平野が現れるため、南西部は山など見当たらない。西濃は他の地域と異なり低地に木曽三川と呼ばれる木曽川、揖斐川、長良川の3つの河川を抱えてしまったがために氾濫に悩まされてきた歴史がある。そのため、美濃地方をこれと言って定義することは難しい。

美濃地方について考察する場合、上記3つの区分けを意識することが望ましい。私の郷里は東濃にあるので、東濃を最後に一番詳しく述べるとして、簡単に西から順番に論じていきたい。

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