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岐阜考察2 地理①

2-1 地理の概要

岐阜県の場所を言い当てられる人は少ない。しかし、地理的にはとても分かりやすいところにある。何でもいいので適当な日本地図を手に取り、大体真ん中辺りに注目してほしい、おめでとう、そこが岐阜だ。

政治、文化、経済その他あらゆる中心から程遠い位置にあるが、地理的には日本の中心を標榜している。日本を東軍と西軍に二分した天下分け目の関ヶ原合戦も岐阜で行われたという事実が、この岐阜県中心論を補強している。一説にはどん兵衛の関西風と関東風、エスカレーターの左側、右側の分かれ目も岐阜県らしい。私の地元はエスカレーターの左右の分けはなかったが、これが中心部ゆえの現象なのか、単純に人が少なくて片側に寄る必要がなかったためなのかは分からない。

人口重心という、人口分布に基づく重心も調査開始以来ずっと岐阜県である。東京への一極集中により重心は東へ動きつつあるが、依然として岐阜県の中西部に位置しているのでまだしばらくは人口重心の地位を味わえる。一方で東京へ流れる人の中には少なからず岐阜県民も含まれる事実にはあまり注目されない。

岐阜県は周囲を7県に囲まれた内陸県である。県境を7つ有するのは日本で2番目に多いのだが、隣の長野県が1位なので目立つことはない。いつだってワンツーフィニッシュで目立つのは1番である。

2-2.岐阜県と海

県民は内陸県であることにアイデンティティは持たないが、海がないことには強烈なコンプレックを持つ。岐阜県は県中央部に日本アルプスが走り、大きく南北に美濃、飛騨と分かれるが、これを指して太平洋側、日本海側とも言う。海がないのにわざわざ海を使って己を表現する辺りに岐阜県民の海に対する複雑な感情が読み取れる。

この憧れは遺伝子レベルで刻まれているのではないかとさえ思うことがある。例えば岐阜県の学生がバスで社会見学なり修学旅行へ向かったとしよう。道中全行程を通じて最も盛り上がるのは目的地についたときではなく、少しでも窓の外に海が見えた時である。その瞬間、学生たちはショーウィンドウの中のトランペットを眺める少年のように輝いた目で遠くの海を見る。

大人になっても同様で、岐阜県民は車で遠出するとき少なからず海が見える道を意識する。東京方面へ行くなら迷わず東名高速を使う。新東名、中央道では太平洋が見えないからである。このように岐阜県は内陸県ゆえにそこに住む県民の海への思いは強い。

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