旅から帰ってきたあと、みんな口をそろえてこう言ってきた。

「どこが一番良かった？」と。

何度もきかれたくせに、毎回どう答えていたか忘れている。

正直、一番なんて決められない。

その土地、その土地で出会った人、景色、どれも素晴らしい。

どの国にもまた行きたいと心から思っている。

一番良かった国は？の質問には困るが、一番印象的だった国は答えられる。

２０か国旅をしてきた中で一番印象的だった国はインドだ。

インドに行けば人生観変わるよ、なんて聞いていたが私にはそんな感覚はないままだ。

インドが印象的だった理由は高熱を出し、体調を崩したから。

唯一病院にかかったから、という理由である。

インドで大量に摂取したであろうバクテリアには、さすがの私の身体もノックアウトだった。

やはりマイナスな出来事はインパクト大として残る。

どんなにすばらしい絶景を見たとしても、高熱を出し意識朦朧としたなかで夜行列車を移動した経験には適わない。

体調を崩したせいで、行きたかったタージマハールに行けなかった悔しさには勝てない。

ま、それも含めて旅をする、ということだろうが。

インドの病院で点滴を受けながら、行けなかったタージマハールを皮肉にも飾られている写真で見ることになろうとは思いもしなかった時、の写真を添えて。