事実は小説より奇なり【株主総会の裏方が語る】株主質問の答弁準備と、株主のトンデモ注文
「副業禁止」の企業が少なくないのは、厚生労働省が提示した就業規則案にその文言があったからという説があるそうです。
税金が上がる一方なのに30年もの間平均年収が上がらないばかりか、下がっているという危機的状況の日本。副業を禁止するなら十分な賃金(手取り)を払ってから言ってくれ! という切実な声と共に、副業が一般化しています。
同時に、資産運用をする方が増えています。
資産運用や企業応援、株主優待を目的に「株」を買われている方もいらっしゃるでしょう。
しかし株は買っていても、株主総会に参加されている方はどれほどいるでしょうか。
私は日本では誰もが知る大企業の株主総会の裏方仕事をしていたことがあります。
株主総会は非常に「重い」仕事でした。
株主総会は株式会社が最も神経を割くイベントだからです。
現場のスケジュールはタイトですし空気も重いので辛い仕事でしたが、私には株主総会でしか味わえない「楽しみ」がありました。
それは株主総会中に株主が経営陣にする「株主質問」です。
「え!?」と耳を疑うような発言をする株主が少なくないのです。
頓珍漢な質問に、日本有数の大企業の社長や重役が答える様は中々面白いものがありました。
それらについて記します。
当時はスマートフォンが出始めの頃で、多くの人がガラパゴス携帯を使用していました。
株主総会の中継配信は既に行われていましたが、「中継のみ」にすると株主から苦情が来るという理由で、都内一等地にあるホテルの大会場を借りて株主総会会場の設置がされていました。
会場に足を運ぶ株主は高齢者が多いので、配信への抵抗があったり、配信の見方がわからないという方がいるという事なのかもしれません。また、会場に足を運ばないと株主質問をしにくいという事情もあるでしょう。
一等地のホテルを会場に選ぶのは、保険会社が一等地に自社ビルを建てるのと同じように、「これほどの体力がある企業である」と示すためでした。
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