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問いで冒険 #2 「帰ってきたなぁ」って場所はどこ?

問いを入り口に、行くあてもなく自分の考えや感覚、願い、好き嫌い、その他諸々を書いていくシリーズ。すっごくラフに書いていきます。


今日の扉は、


帰ってきたなあって場所はどこ?

母の誕生日を祝いに実家へ戻っていた妹から聞かれたこの問い。

去年の4月に南米へ出発してからほぼ丸1年、「家」がない日々を過ごしている僕がどう感じるのか、気になったらしい。


まず、この家を持たない状況は自分が意図してつくったものではないなあ、ということに気がついた。南米を5ヶ月旅した後、1週間以上滞在した場所だと沖縄、熊本、島根、東京(実家)、千葉、岐阜、広島を転々としてきた。でも、それは転々としたいからそうしてきたというよりは、そのときどきでなるべく自分のエネルギーが湧いてきそうな選択をしてきたらたまたまこうなっていたんじゃないかと自分では思っている。


去年の9~10月までは、まだ見ぬ土地を訪れたいという欲求が主にあったように記憶しているが、段々とそれが変化して、あの人に会いたい、この場所/取り組みに興味がある、そんな気持ちに動かされていったことが多かった。


今は広島の大崎下島にいる。いつも穏やかな瀬戸内海と、かすんだような空気が印象的。


移動はしているし、行く先々で生活のリズムも、関わる人ややっていることも変わっていくんだけど、自分としては非日常を過ごしにいく気分ではなく、ただその環境に合わせて暮らさせてもらっているような感覚でいる。「なんか前からいたような感じだね」とか、「出身がこのへんなのかと思った」なんてことを所々で言われて、自分もそんな気分ですねえ、と感じる回数も多い。


家畜が牧草を食べつくさないうちに、ゲルをたたんで次の場所へと移動していく遊牧民族も、もしかしたら似ている部分があるのかもしれない。そう考えると、彼らに「帰ってきたなあと思う場所は?」と聞いてみたくなる。


僕の場合は、妹といろいろと話しながら考えてみたけれど、あまりしっくりくる答えは浮かばなかった。自分でも予想外だったのは、大学進学して半年間、学生寮で暮らしていたロンドンには、自分にとってのホームな感覚があること。当初は4年間いるつもりだったけど、初年度にパンデミックが始まり、半年ちょっとで一時帰国。コロナが理由ではなかったけど、大学はそのまま中退した。


それでも、一時帰国から6か月後、倉庫に預けていた荷物を取りに帰ったときは、いろんな思いが込み上げてきた。半年前までの日々を懐かしむ気持ち、あの頃とは街が変わっていることへのちょっとした淋しさ、そして変わらずにこの街が存在してくれていて、自分がそこにいるんだという実感への感慨深さを味わった記憶が鮮明に残っている。



通学路だったWaterloo Bridge。なんでもない写真だから、たぶん懐かしくて撮ったんだと思う。
これは帰り道の方向で、冬は16時前に暗くなるのがびっくりだった。


半年暮らしただけのロンドンにそれだけの愛着がある理由は自分でもよくわかっていない。懐かしい顔とも再会できた数週間だったけど、ひとりでいる時間の方が格段に感情が動いていた。今こうやって書いていて、自分の足でたくさん歩いたことが関係あるんじゃないか、という考えがふと浮かんできた。


地元の小金井にいるときはなんだかんだ自転車移動が多いし、海士町に1年住んでいた時は車移動が多かった。まあ、そんな理由の解明はそれほど自分にとって重要ではないからこれ以上はいかないけれど、仮に「歩く」という行為が土地や街との心理的なつながりに影響しているのだとしたら、それはかなり興味をそそられる。



去年10月の熊本県人吉市。ちょっとしかいなかったけど、けっこう歩いた町。



今日はここでおしまいにする。よくわからない終わり方で自分もちょっと気持ち悪いけれど、言葉を紡ぐことによって満たしたい何かはたっぷりと満ちてきたから、そういう意味ではすごくすっきりした。

#1を書いた後、もうこのシリーズ続かないんじゃないかと思っていた矢先に、たまたま気になる問いを放り込んでくれた妹にもありがとうを伝えたい。

それではみなさん、よい一日を!

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