見出し画像

【俳句】ふらここふるう

7月ころ第1回カクヨム短歌・俳句コンテストに出した連作です。
一応noteにも上げておきます。


  ふらここふるう


虻の腹ちぎる子どもの目が埋まる
ふらここや完成しない指切りに
春送る夢のなごりの鳥肌は
麗かや静かに壊すペンケース
桜蘂降る死因なら教室に

骨盤の中の教科書菜種梅雨
鉄棒の錆の匂いや満天星の花
秘密とは午前三時に折るミモザ
手をのべて雲の高さや夏近し
無い蝶の遺骸くるまが轢いたのに

落ち切らぬ小指の爪のラメ白夜
夜盗虫ピアスホールは排膿す
紫陽花や熱発はまた無声音
サイダーに浸った指に見る歪み
芯の折れた鉛筆ばかり梅雨の雷

牡丹の首折りぬるは陽の光
汗や皆いなくなったから出てゆく
明日吐く嘘ごと滝の直下せり
水風味アイスコーヒーと頬杖
すれ違うことなく過ぎる夏帽子



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?