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「知識が余裕を、練習が自信を」2024年1月21日の日記

56-1

・大学が始まり、スローペースだが充実した毎日を送るようになったので、自分の中で整理するために日記を書く。

・わたしは今学期2つの授業を取っている。
1つはフィンランド語(口頭テストがあるらしく今から震えている)、もう1つはフィンランドの現代文学に関する授業だ。

・週3回の通学とはいえ、わたしは周囲と比較してかなり授業が少ない方。
本当はもう1つ授業を受けようとしたのだが、英語の学部に所属する必要があったらしく、履修を断られてしまった。
わたしの専門分野は社会学の中でも珍しい方の学問なので、元々留学の志望理由にしていた教育学も履修を断られてしまう。
ただ、トゥルク大学には学部ごとに特化した図書館が5つほど点在しており、教育学部生向けの本は利用し放題なので、授業の空き時間にはたくさん活用しようと思う。

・話を戻す。
後者の現代文学に関する授業のオリエンテーションが今週あり、出席してみると、履修者が4人のみだった(わたし含め2人が日本人留学生、2人が現地の学生)。去年は40人履修者がいたらしい。なぜ???

・オリエンテーションは予想以上にあっさりと終わった。
最終的な課題は指定された3冊の本のうち1冊(もちろん英訳)を読み、ディスカッションに参加したうえで、本の紹介文と授業全体の総括レポートを書くことらしい。

・わたしにとって読書は、生きがいと言えるほど密接に人生に結び付いている趣味だ。フィンランド文学もぜひチャレンジしたかったのだが、これまでは図書館を訪れても、フィンランドの作者が書いたのかそうでないのかが全く分からなかった。
しかしこの授業では、教授がフィンランドで著名な作家を英語で紹介したWebサイトのリンクを紹介してくれたので、英語という壁はありつつも正真正銘フィンランドの本を楽しむことができる。

・英語で会話することにようやく慣れつつある今、これからはさらに羽を広げ、洋書が似合う文学少女になるのだ。
昨年が「芽生え」の年だとしたら、今年は「地固め」の年にしたい。

56-2

・一昨日は同じ寮に住むめいちゃん(仮名)とサウナに行きキッシュを作った。

・サウナはそろそろ2人で会う時の恒例行事になりつつある。
サウナに入っている時の感覚は入浴と近い。
月1、2の頻度で入っているとはいえ日本に帰って続けるかというとそうでもなく、目的は健康よりも雑談で、1人サウナはまだまだハードルが高い。

・めいちゃんと料理を作る時は、いつも「1人で作るにはハードルが高いもの」を選ぶ。
フィンランドの家庭料理や唐揚げ、今回のキッシュのような。

・以前洗顔を旅行中に切らした際、めいちゃんの分を譲ってもらったので、スウェーデンで購入したお土産(写真のムーミンキャンドル)をあげた。

・最近Netflixのドラマで「Love is Blind」の新作が出た。
「恋は盲目」という題の通り、この番組は恋愛リアリティ系で、参加者はお互い顔を見ずに複数人とデートを重ね(当然会話ベースとなる)、意中の人がいた場合は告白する。
婚約が決定してから初めて顔を合わせ、数か月後に控える結婚式に向けリゾートでのバカンスと同棲生活を経験するという番組だ。

・日本版「ラブイズブラインド・ジャパン」から視聴を始め、オリジナル版も見ようとしたのだが、さすが恋愛リアリティ番組というか、話題や悩み、何から何まで日本とかけ離れていて共感できずに視聴を辞めてしまった。

・今回の新作は舞台がスウェーデンなのだが、こちらは中々いい。
スウェーデンは未婚率が高い国らしく、話題も他の外国版と比較して宗教の話題はあるものの共感しやすく、何よりも英語の音声版が洗練されていて、日常生活で使えるフレーズの宝庫だ。

・フィンランドで生活しスウェーデンに行ったことのある身として共感しやすい話も多い一方で、たまに「日常で小さな幸せを大事にする方なんだ。家で映画を見るとか、キャンドルに火を灯すとか」という会話が出てくると戸惑うというか、面白いなぁと思う。

・ヨーロッパではキャンドルは非常に身近なもので、フィンランドのカフェは16時になり日が沈んでも照明ではなく各テーブルのキャンドルの灯りしかなく暗め、といった状況に遭遇することが頻繁にある。
キャンドルは日本でいうお盆のような日にも使用するらしいが、日常にキャンドルがあるなんてお洒落だなぁ。

56-3

・昨日はチューターのリリー(仮名)に誘ってもらい、トゥルクのタピオカ屋を訪れた。
店長がリアル本場の人らしく、約700円ほどでタピオカが飲める。味は普通に美味しい(ゴンチャの80%くらいの再現度といえば、詳しく伝わるだろうか)。

・韓国からやって来た学生を今学期新たに担当しているのだと話してくれたが「発音のせいか分からないけど、話していることが全然理解できないの」と悩みを零していた。
「ここにやって来たばかりのわたしの英語も相当ひどかったよ」と言うと、「でもあなたはかなり上達したし、やって来た日も何を言いたいかは大体分かった」と言われた。

・彼女はとても流暢な英語を話すので、1対1で会話をしているとついつい自分でも正しい意味かどうか確信が持てない少し難しい単語を使ってしまったり、こなれ感を出そうとして失敗してしまうことがよくある。

・四苦八苦し続けているけれど、結局1番いいのは誰にでも分かりやすい話し方、言葉選びをすることなんだよなぁ。

・話すべき言葉を取捨選択する時、英語は特に、直接話すことよりもずっと多くのことを思っているのに、それらを「分からない」という理由で切り捨ててしまっているのは、悔しくてもどかしい。

・知識が余裕を、練習が自信を、それらが合わさって結果になる。
わたしに不足しているのは会話の経験。
昨年得た語学に関する知識を、ここでの交友関係づくりに積極的に活かしたい。

56-4

・ルームメイトのメアリー(仮名)が里帰りから帰ってきた。

・お土産に「トリュフ」という名前のチョコレート菓子と、地元のチーズを使ったスナック、そしてご当地名物のカヌレを持って来てくれたので、それらをつまみながら2時間ほど雑談した。

・日本の能登半島の震災の話から、日本では昨年震度5以上の地震が50回ほどあったと話すと、めちゃめちゃ驚いていた。
フランスでは50年ほど前に震災があったきりで、メアリーは経験したこともないらしい。

・日本は外国と比較して食べ物も美味しい、物価も安いし安全だが、一方でヨーロッパの国には特に馴染みのない自然災害が多く、キャッシュレス決済も主流ではないし、英語は中々通じない。
ここではヴィーガンの人用のメニュー設置は常識だが、日本では極めて珍しいと思う。帰国した暁には色々なことが発見できるだろう。

・メアリーは3月末にはフランスに帰ってしまうらしく、それまでに一緒にラップランド(フィンランドの北部、オーロラが見える場所一帯を指す)に行こうと話し合った。

・全く自信はないが、離れている間にコツコツ発音し続けた甲斐あってか、フランス語の発音も以前より成長しているらしい。
今日は敬語の話をした。日本では本人との間柄によって、名前に「先生」や「ちゃん」「くん」を付けたりするんだよと話すと、フランスではあなたを示す「tu」の代わりに「vous」があり、動詞もそれに応じて変化するという頭の痛くなるような豆知識を教えてもらった。

・終盤にハサミを使う場面があり、日本では非常に一般的な折り畳み式のコンパクトなはさみを使うと、超超超驚かれた。
「これ1回使ってもいい?ビデオ撮ってもいい?」とも言われた。
身近に使っている道具を初めて見たような(実際初めてなのだろう)目で見られるのは何となく気恥ずかしいが、誇らしくもある。

・彼女はわたしよりも1歳年下で、きっと英語は彼女の方が流暢だけれど、友達と断言できるくらいは仲良くなったし、会話にはたまにお互いの母国語が入るので、相手の言いたいことを英語で補うことがよくある。

・今日の会話は自分の言いたいことをほぼ英語に出来た気がするし、雰囲気も英語の練習というよりかは雑談にかなり近くて良かったな。

・最近どんどん新しい単語や出来ない発音が登場し、モチベーションが薄れつつあったフランス語だが、彼女と話したおかげで最初に感じていた原始的な「話したい」という欲求をまた感じられた。
来月には親友がフランスからやって来て、数日間ここに滞在するらしい。
少しだけでも話せるように、コツコツ頑張ろう。

・新たな挑戦、会話と発見に満ちた、充実した1週間だった。

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