「タンペレのムーミン博物館を訪れる」2023年11月24日の日記
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・今日は朝7時からバスでタンペレへ移動し、ムーミン博物館を訪れた。
・タンペレはトゥルクから2時間半ほどの距離にある大都市だ。
フィンランドで最も栄えているのはもちろん首都のヘルシンキだが、その次に栄えている都市と尋ねられるとトゥルクとタンペレの争いが起こるらしい。
ヘルシンキを東京とするとタンペレは大阪、トゥルクは京都みたいな差があると思う。ただ、南部に位置するヘルシンキやトゥルクとは少し離れた場所にあるので、気温はタンペレが少し低い。
・街の風景はトゥルクよりはヘルシンキに似ている。
トゥルクにはない路面電車(トラム)が運航しており、ビジネス街は赤煉瓦で可愛いところもあるけれど、どこか無機質だ。
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・ちなみに、タンペレの多くの美術館は毎月最終金曜日の午後2時/3時頃から入場料が無料になる。
あくまで日帰りでしか滞在しなかったわたしの感想ではあるが、この時期のタンペレは長時間動き回れるほど暖かくないので、12時くらいに到着するバスに乗ってお昼を食べた後、美術館を2つほど巡るというコースがちょうどいいのではないかと感じた。
・もちろん、タンペレで暮らしている人の方がお気に入りのカフェや古着屋といった地元の人が愛する店の情報を知っているはずなので、そういう情報を事前に仕入れてから訪ねるとさらに楽しめると思う。
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・フィンランドを表すキャラクターとして使用されるほど愛されているムーミン。昨年度フィンランドで留学をしていた先輩から、ムーミン博物館には日本語訳の説明がついていると聞き、半ば物見遊山でやって来た。
・駅から5分ほど歩いた市民ホールとも言うべき大きな建物の中に、博物館が併設されている。
・自由スペースには10か国以上の文字で「ムーミン」と書かれた柱と、寄贈された日本語の本が置いてあり、久々の紙に書かれた日本語に感動。
・美術館は2階建てで、説明文が日本語で書かれているためか、全文を読んでも所要時間は1時間~1.5時間だった。
・入場すると若草色のエプロンをしたスタッフが、英語かフィンランド語で順路や規則の説明をしてくれる。
トーベヤンソン自らが手がけた原画やミニチュア模型が多数展示されているが、劣化を防ぐために直接写真を撮るのではなく、撮影するとしても全体像にしてほしいそう。
・そして「ムーミン本の物語」という、博物館に関するガイドブックを貸してくれる。
・こちらのガイドブック、フィンランド語/スウェーデン語/英語/ドイツ語/スペイン語/日本語/中国語など複数言語に対応しており、内容もしっかりしていたおかげで、博物館の個人的な評価がぐぐっと上昇した。
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・館内はムーミン作品の舞台、ムーミン谷が表現された空間の中に原画や作品の一場面を再現したミニチュアが展示されている。
作品の劣化を防ぐため、暗い照明が採用されているためか、館内も雪のシーンや洞窟探検などをイメージした内装が多かった。
・わたしが博物館で知ったことを、簡略化して述べる。
・まず、ムーミンは当初トーベヤンソンが活動していた風刺雑誌の中のキャラクターで、造形が現在のものとかなり異なっている。
・そして、ムーミンと聞くとどこかファンシーで夢物語のような世界を思い浮かべる人が多いかもしれないが、実際は幾分ダークな世界だ。
・ムーミンは主に10作品で構成されており、1作目の「小さなトロールと大きな洪水」は戦争による不安から逃れるため、「ムーミン谷」という平和な世界を創った。
3作目「たのしいムーミン一家」の冒険譚によって、トーベヤンソンの名はフィンランド国内で知れ渡ることとなったが、8作目「ムーミンパパ海へ行く」ではムーミン一家の引っ越しが行われ、パパが海を眺めながら物思いにふける様子や、ママがホームシックになる姿が描かれる。
・9作目「ムーミン谷の十一月」では、ムーミン一家と関わりのあった人々が次々と空き家を訪れ、彼らに別れを告げ旅立っていく。
10作目「ムーミン谷へのふしぎな旅」で物語は大団円を迎えるのだが、簡単なあらすじだけでもこのムーミンワールドが一筋縄ではいかない世界だということが伝わるだろう。
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・トーベヤンソンは画家として活躍した後「ムーミン」シリーズで小説家としても成功し、最終的には大人向けの小説を書き残した。
・「たとえ児童書だとしても教訓めいたことは書かない」というポリシーがあったため、ムーミン谷の世界観は彼女自身の考えを伝えるために創られたという。
そんな一貫した考えのある彼女の作品が素敵だなぁと心から思えたし、その言葉選びが美しいなぁと何度も思った。
・博物館の中で1番可愛いなぁと感じたのは、怒ったムーミンのイラスト。
ふてくされている顔がとんでもなく可愛い。
・やはり(何故か?)日本人の来場者が何組もいて、天候のせいかもしれないがわたしが滞在している間に見かけたのはタンペレ市内の幼稚園生たちと母/子どもが3組、そして日本人グループが4組ほど。
・意外にもムーミンはヨーロッパではあまり有名ではないらしく、フランス出身のルームメイトは「ここに来るまで知らなかった」と話していた。
時差が7時間ほどあるのにもかかわらず、フランスよりも日本の方がムーミングッズで溢れているという事実は、不思議で面白い。
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・その後は少し贅沢をして、サーモン付きのワッフルを食べた後、教会や美術館を巡った。
最大の目的であったムーミン博物館を、それほど時間をかけず見終わってしまったため、帰りのバスが出る午後6時までどこか手持ち無沙汰に過ごしていた。
だが、バス停に向かう際の夜景はとても美しく「ここに来れて良かった」としっかり実感することができた。
・次回は今回の反省を活かして、もっと暖かい時期に訪れたい。
厳しい冬を乗り越えた後では、景色もぐっと違って見えるだろう。
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