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新緑の大学ベンチに座るリス

栗鼠りすは秋のイメージがありますが、どの歳時記にも季語としては載っていないようです。栗鼠を使った俳句の例でも春夏秋冬すべての季節の句がありました。冬眠しない動物なので何時でも見られるせいでしょうか?それにしても江戸時代の俳句には栗鼠は出て来ない気がします。馴染みがありそうで意外と昔は相手にされなかったのでしょうか。リス科のムササビやモモンガは冬の季語なのに何故なのでしょう。本州以南にいるニホンリスは模様もなく地味な色で見た目が可愛くありません。「木ねずみ」と言う別名もあるくらいなので、きっと「ねずみ扱い」だったのかも知れません。一方、見た目に可愛いシマリスは北海道原産のエゾシマリスがいますが、飼育は禁止です。代わりに中国シマリスやチョウセンシマリスがペットとして入って来たようで明治以降特に昭和に入ってからの俳句にはしばしばリスが出て来ます。

絵に描いた栗鼠は滋賀県で撮られたチョウセンシマリスですが、何故か尻尾が見えません。栗鼠って大きな尻尾がありそうですが、画像で見る限り小さかったり垂れていて自分の体に隠れてしまうくらいの尻尾が多かったです。リスは化石が発見された北米が原産と言われますが、たしかに本場アメリカで見たリスは尻尾が体より大きくフサフサしていた気がします。

新緑の大学リスも賢そう

ボストンの大学の庭はとても大きく市民も普通に入ることが出来ました。のんびりとベンチに座って休んでいたら隣のベンチに賢そうな顔をしたリスが座っていました。いくら有名大学に棲んでいるからと言って特に賢い訳ではないですよね。

新緑の大学すましたリスの顔

「賢そう」は説明的なので「すました」にしましたが、「すました」もやはり説明していますね。それに大学からいきなりリスの顔では少し飛びすぎの感じです。自分は何を見てそう感じたのか、それをそのまま文字にして後は読み手が同じように感じてくれるかどうかですね。

新緑の大学ベンチに座るリス

大学のベンチは普通学生たちが本を読んだり、話をしている場所です。そこに生意気にもリスが座っている、ひょっとしてここのリスは賢いのか?と思ったという流れです。普通ならベンチは座るものでしょうですが、ここは「座る」ところが生意気なので残します。でも肝心なことですが、賢さを連想したのは、そこがハーバード大学だったからです。でもハーバードは目に見えないので書くしかないです。さてどうしましょう?

ハーバード栗鼠りすいこうや夏木立

いろいろ考えましたが「ベンチに座る」余裕がないので、一気に景色を変えました。ハーバードに棲む栗鼠は賢いのでちゃんと木立で休みをとっています。

あれっ!私がリスを見たのはハーバード大学だったのかMITだったのか?還暦を過ぎてから見に行ったのでどっちだったのか記憶も曖昧です。

令和5年4月の5句です。

山つつじ逃げもせぬのに急ぎ足
お参りを忘れて戻るつつじ橋
野遊びや孫のほっぺにご飯粒
静寂や射手のうなじに滲む汗
背伸びして姉と写真や夏近し

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