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はじめましてと早速オールドレンズ等の紹介(レンズ概要1/3)

 皆様、はじめまして、きろと申します(Twitterアカウント kirofoto)。
 主にオールドレンズを使って、都内でポートレート撮影をしています(アマチュアです)。
 このnoteでは、素人である当方がポートレート撮影での様々なオールドレンズや現代レンズの使い心地や特徴を、感想まじりに書いていきたいと思います。素人ですので、定量的な評価や精緻な分析は期待しないでください汗
 特に、少しマイナーなオールドレンズや現代レンズ(※)のゴーストやフレアの特徴・出方やポートレートでの使い心地・実際の写りについては、ネットではあまりまとまった情報が見当たらないところ、自分の手持ちの範囲ですが、人柱も兼ねて情報発信していきたいと思います!

※ オールドレンズの定義は様々かと思いますが、自分はデジタル一眼レフ登場以前に発売され、かつ、既に販売終了しているものを「オールドレンズ」とし、デジタル一眼レフ登場以降に発売されたレンズ又は現在でも販売が継続されているものは「現代レンズ」に区分しています。

 というわけで、早速、今手元にある31本のレンズを三回に分けて紹介していきますが、第一回はカールツアイスを取り上げたいと思います。日本のレンズ旧ソ連製レンズ等は次回以降となりますが、より多くの作例をご覧になられたい場合は、twitterで"kirofoto"と"oldlens"や該当レンズ名で検索してみてください!なお、note(ブログ)に直接掲載すること前提でモデルさんの撮影をしているわけではないので(SNS掲載は了解いただいています)、作例については適宜当方の該当tweetにリンクを貼る形にしています。
(2021/5/3追記 更に12本のレンズのレビューを追加した記事を投稿しました!カールツアイスは8本、ミノルタは3本追加です。)

 ところで、カールツアイスが多い理由は、単純に筆者がミーハーであるということと、カールツアイスで良い写真が撮れなければ、自分の腕が悪いだけということで、言い訳がきかなくなるためです。あとは、カールツアイスは、カメラ黎明期からの企業で、レンズ構成・コンセプトもある程度一貫しているところ、レンズの発展過程をかなり昔から遡って追体験できるのも理由です。
 では、長文となり恐縮ですが、ゆっくりとお読みいただければ、と幸いです(各レンズに作例のリンクをできる限り記載しましたので、こちらも適宜ご覧いただければ)。

1 Carl Zeiss (9本)

 カールツァイスが開発し、数十年に渡り継続的に発展させてきたSonnar型とPlanar型(ダブルガウス型)を中心に収集しています。
 Sonnar型の特色として、じんわりとボケていく背景と豊かな色表現・階調にあります(個人的には、ボケはSTFっぽいと感じています)。
 Planar型は、うまく言えませんが、光を美しく捉え、また、ボケも急激にトロトロに溶けるような感じとなることでしょうか。
 両方のレンズ構成を比較しながら、楽しんでいます笑


(1)戦前ノンコートSonnar f1,5/5cm(オールドレンズ)

 戦前のモデルで、自分の所有している個体はシリアル番号からは1937年頃製造のものと推測(発売は1932年頃)。
写りは、滲みが凄く、開放だとピントもあっているかわからないです。また、渋めの発色で、全体的にフレアっぽくもあります
フレア・ゴーストについては、逆光で画面上方から半円状に綺麗な虹が出ます。
 フィルムで順光・曇りだと、オールドレンズと分からないぐらい、良く写ります。デジタルだとフリンジが凄く出ますが、たまにモノクロでレタッチすると、レンズ本来の実力が高いことがわかります(そもそもモノクロ時代のレンズですしね)。
 他のレンズとの兼ね合いもあって、持ち出す機会はあんまり多くないです…
 個人的には、現存する企業が、レンズ交換式カメラの最初期に出したノンコートレンズはどんな写りをするんだろうか、という好奇心で買いましたが、これをきっかけにオールドレンズ 沼にハマってしまったという記念すべきレンズです汗


(2)戦前ノンコートSonnar f2/8.5cm(オールドレンズ)

 戦前のモデルで、自分の所有している個体はシリアル番号からは1938年頃製造のものと推測(発売は1933年頃)。
 写りは非常に軟調かつ繊細で、開放だと合焦しているか分からないぐらいですが、そこがポートレートに適した非常に柔らかな印象を与えます。色乗りも何故か案外良いです。自分のレンズは曇りがあるため、画面全体でフレアがかった写りになりますが、そこはレタッチである程度は何とかなっています(古いレンズですので、ピカピカのものを見つけるのは至難のわざでしょう)。
 50mmと同じく、ゴーストは画面上方から半円状に虹が出ます。
 お気に入りのレンズの一つであり、いつかは曇りなしのレンズも試してみたいものです(2021/5/3追記 買ってしまいました汗 基本的な性能はもちろん同じですが、曇りがあった方がシャドウが浮いて、ポートレートにはいい感じかもしれません)。


(3)Sonnar f2/85mm (Contarex)(オールドレンズ)

 上記1(2)のSonnar f2/8.5cmの発展改良型で、Contarexカメラ用として1958年に発売開始。
 以前の1(2)と比べて、フレアが比較的抑えられ、比較的引き締まった力強い写りに。色乗りもとても良く、肌の諧調をしっかりと捉えられるようになりました。
 一方で、フレア・ゴーストについては、前のモデルと比較すると抑えられてはいますが、このモデルでもしっかりと虹が出ます。フリンジもかなり出ます汗
 その他の特徴としては、近接撮影能力で、70cmまで寄れます。
色乗りがよく、ボケも柔らかで美しいので、最近は1(2)のSonnar 2/8,5cmより持ち出す機会が多くなりました。
 なお、Sonnar型の85mmレンズは数あれど、最高のSonnar型レンズとの評価もあるようです。

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(4)C Sonnar f1,5/50mm(現代レンズ)

 1932年に発売された1(1)Sonnar 1,5/5cmを、2006年に現代風に作り直したものです。写りも素晴らしく、もはや1(1)の原型がありません笑
フレア・ゴーストもよく抑えられているので、それを期待するレンズではないでしょう(試してみたけど、認識できるようなものは出ませんでした汗)。また、人肌もかなり階調豊かに美しく描写してくれます(とてもなめらかです)。また、ボケも美しい
 ただ、デジタルだとフリンジがものすごく出ます
 女性の肌がとても綺麗にしっとりと写るので、お気に入りのレンズの一つです。

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(5)Milvus f2/135mm(現代レンズ)

 完璧な現代レンズの一つ。これを使ったら、撮影者は言い訳ができず、写真が良くないとしたら、撮影者の腕が悪いだけとも言えます。フリンジ・フレア等もほぼ出ません。旧時代のレンズの欠点を潰し、また、開放からかなりの解像度を誇ります(肌荒れもしっかりと写ります…)。
 諧調も優れており、なんとも言えない肌の艶かしさも出ます。
 オールドレンズの個性も好きですが、こういうレンズも好きです。この高性能さ自体も個性ですね汗
 なお、同じSonnar型の1(1)-(4)を期待して撮影すると裏切られます汗 もはやこれはSonnar型という括りにないような気がします。

(6)Planar f1,4/50mm zf(現代レンズ)

 1975年に発売されたレンズを2006年にリバイバルしたものらしいです。
 写りについて、1975年発売のモデルは既に売却してしまったので、正確な比較はできませんが、この2006年版は開放では少し滲みを伴って、柔らかく写ります。その点で、同じ2006年に発売された1(4) C Sonnar f1,5/50mmは開放から結構精細に描写してくれるので、同じ時期の製品でもレンズ構成等によって写りに違いがあることがわかります。人肌・トーンはC sonnar、光の捉え方はPlanar、と甲乙付け難いですね汗
 逆光・順光問わず、光を美しく捉えてくれます
フレア・ゴーストも、基本的にはあまり出ません。夕方に逆光で撮れば出ますが、それを期待するようなレンズでもないでしょう。
 フリンジは出るには出ますが、オールドレンズよりもかなり抑えられています。
 精細さ(柔らかさ)と光の捉え方から、非常にポートレート向きで、とても好きです。いつかは、状態の良いヤシコン版も買いなおしたいな、あとContarexの55mm/1,4も笑 (2021/5/3追記 Rollei版も買いました汗 別のポストで投稿していますが、もちろんこちらのコシナ版の方が色乗りもコントラストも良好です!)

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(7)Planar f1,4/85mm (AEG)(オールドレンズ)

 The Portraitレンズ
 Planar型で、85m/f1.4なので、当然ボケもとろけます前ボケも美しいです。
 一方で、開放はピントが合っているか分からないぐらい柔らかく、また、野外・晴天ではフレアがかった描写をし、ゴーストも虹色の光が放射線状に出ます。また、デジタルだと、少し光が当たると修正が困難なくらいフリンジが出ます。
 でも、美しい。完璧な描写をする2(7)のNikkor z 85mmを差し置いて、つい持ち出してしまう。好きすぎて、コシナが作っている現行版も買いたくなるほど笑 あのあおいとりさんもベタ褒め!(2021/5/3追記 コシナ版も買いました汗 別のポストで感想を書いてますが、もはや別物ですね!)。
 ちなみに、開放だけでなく少し絞っても繊細さは失われず、質感のある良い描写をしてくれます。
 個人的には、オールドレンズでしっかりと撮影したい時は1(3)を、柔らかく撮影したい時は本レンズを、初めてのモデルさんで綺麗系な方は2(7)で余計な味をつけないように撮影しています。

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(8)Planar f2/135mm (AEG)(オールドレンズ)

 135mmは次回取り上げる3(5)STFレンズを持っていましたが、実質的なf値が4.5と暗かったので、明るいレンズが欲しくなり購入。また、5群・5枚というシンプルな形状にも萌える笑
 基本的な特徴としては、1(7)のPlanar 85mmを135mmにした感じですが、写りは更にシャープになってます。
 また、85mmと同様にフレア・ゴーストも沢山出ます。開放ではかなりフレアがかった浮いた描写で、ゴーストは光の帯が下から立ち上がってくる感じです。ただ、フリンジも盛大に出ますので、レタッチには結構苦労します(なので、1(5)も買ってしまった)。
 とはいえ、色々と書きましたが、こちらも好きなレンズ。

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(9)Loxia f2/35mm(現代レンズ)

 2005年に発売開始したBiogon 35mm f2 zmを、デジタルカメラ用にコーティング等を再調整したものとのことです。レンジファインダーで採用されていた歪みが少なく写るBiogon型を、改めてフランジバックが短いミラーレスで採用した形になります(なお、戦前のBiogon 35mmはSonnar型とのこと…)。
 写りは、歪みがまったくなく、直線がちゃんと直線として写る高性能レンズ。あと、近接しても、あまり歪まないのが良いですね。ただ、開放だとメチャクチャ高精細なわけではなく、少し甘いです。そこがポートレートには逆に良い感じです。
 フリンジ・フレアはほぼ出ません。それを期待するレンズではないでしょう。ゴーストは、冒頭の作例の様に、冬の夕方に逆光で撮ると円形の白色・虹色がかった光が太陽から放射されるように写りますが、これもあえて頑張ればの話です。
 色味は、派手なものは派手に描写してくれますが、基本的にはあっさりとした感じで、少しオールドっぽい描写です。
 まさにオールドレンズを現代の技術で作り直したといった感じで、安心して、間違いがなく使える35mmです。

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 今回はこれまでで、長文をお読みいただき、ありがとうございました。次回はニコンやミノルタ等の日本レンズを取り上げたいと思います!!!

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