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私が書いた詩をまとめました。
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記事一覧

[詩]書き綴る

漠然と景色を見て
物思いに耽っては
がむしゃらに紙に書きなぐる
私が感じて思うことなど
たかが知れているから
せめて心を込めようと
一心不乱に綴っている
完成したこの一息で読めるような
たったこれだけの文章に
私はどれだけの思いを
込められているのだろうか
吐き出したい思いは
全て表に出せているのだろうか
もし出来ているのなら
空っぽの私はどうしたら
私で満たせるのでしょうか

[詩]とうそう

壁があるならば乗り越えろと
闘うことを良しとする人がいる
壁など上らなくてもよいと
逃げることを良しとする人がいる
知識ばかり増やして身体は衰弱して
身体ばかり鍛えて知見が狭くなって
自分しか見えていない日々
でも共通して
人はいつも思っている
闘争でも、逃走でも
唯々人は
己が前に進めている事を願う
時に合わせて、心が前に進めていることを

[詩]追い風、向かい風

理性は針のように心に刺さり
感情は波紋のように心に染みる
どちらが人に良いかなど
その時々で変わるだろうが
誰かが誰かを思う事に変わりはない
もっともっと心にある情景を
心惹かれる言葉の綴りを
描く指を欲して生きている
風が吹くたび
私の心を虚しさが撫でていく
それが悔しくて
がむしゃらに経験を積んでいる
そしてそれは
針のように刺さり
波紋のように染みる
誰かの心に吹く風になるのだろう

[詩]吐き出された言葉が

たくさんの言葉に埋もれていっても
嘘偽りなく書き出した
世間を冷めた目で見て愚痴を吐き
熱い思いで机に向かって喜びを歌う
この世界に等しく
私の言葉はどこかに転がっているはず
その事実に私は
胸をはれるのだろうか?
寂しくはならないのだろうか?
恥ずかしさに打ちのめされないだろうか?
それら全部をひっくるめて
私は私らしくいれているのだろうか?

[詩]大切な宝物

寒空、半月が見る中
零れ落ちる感情が
ノートに落ちる
ひどく冷えてしまった方の手で
無感情にそっとはらえば
歪に滲んで
薄汚れる一ページ
同じく汚れた手と比べると
今度は涙落ちるほどに
胸の中が荒れていく
こんなにもくだらない事に
敏感で繊細で
でもそれが私が私でいれる
わずかな瞬間
きっと大切な私の宝物

[詩]賢い行動

幼い子供が迷子になった
大きな声で泣いてはいるが
歩くことを止めていない
うろうろと彷徨い歩けば
目的地へと
辿り着くかもしれないからだろうか?
目的地でなくても
知っている道に出るかもしれないし
泣いていれば道を教えてくれる
親切な人に出会えるかもしれない
もしかしたら
感情のままに行動する子供の方が
知識も経験もある大人よりも
よっぽど賢く生きているのかもしれない

[詩]営みに潜む

寝て起きてを繰り返し
吸って吐いてを繰り返し
人は飽きずに
ただ同じように繰り返す
必要だから仕方ないと
人は営む日々を疑問にすら思わない
飽きて疑問に思ったところで
何ら意味などないのだから
…………本当にそうだろうか?
日々生きることに精一杯で
自分だけの大切な何かを
忘れてはいないだろうか?
睡眠も呼吸も忘れるほどに
焦がれる何かがあったのではないだろうか?
そう思うと恐ろしい何かが
私の心

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[詩]レール人生

苦痛の日々に飽きてきた頃に
幼い日々の思い出がよぎる
くだらない妄言と暴言で
憂鬱な日の始まりから逃避行
スタートもゴールも決まりきった
レールの敷かれた人生でも
物語の主人公の日々は楽しそうだ
そこに必ずある幸せが羨ましい
そこへ必ず向かえる事が羨ましい
迷い歩き、疲れて眠る
それだけが人生なら
私は逃げも隠れもしないのに

[詩]作詩中毒者

我が儘な水に
自己満足の花が咲く
独善の香りは心地よく
私の好きな奇跡を作り出す
少しでも長く楽しむために
咲いた花をそのままに
鉢を変え、景色を変え
私が喜べる形を探す
華道のような
素晴らしい技術や心構えは
残念ながら持ち合わせてはいない
だからこれが
誰かの役に立つこともないだろう
どうしようもない
歪な素人の独りよがりだが
これはもう
私が生きていく上で
欠かせないものになっている

[詩]プライド

赤の他人になげかけられた
何気無い一言に
心は揺れて
涙が溢れて
どれだけ見ないふりしても
どんな嘘をついても
僕の本質は変わらない
潤んだ瞳が
映す僕の姿は
形容しがたい異形のなにか
鏡よ鏡、世界で一番
醜い僕を写さないで
綺麗な君が汚れる事が
僕は誰より許せないんだ

[詩]旅の始まり

山のように積み上げられた
人々の結果に
私の些細な努力は埋もれている
知る事が壁になって
深く深く私は沈んで
誰も知らない世界で息を潜める
無い物ねだりとわかっているけど
一欠片でも
私の中に輝きがあるなら
それはきっと
誰にも掘りおこせない
短い短い御伽噺に
何の価値も見いだせないなら
私で終わりを見つけに行こう

[詩]自由の檻

好きな所に好きに行ける
チケットさえ持っていれば
こんなに残酷な環境もないよなと
どこかで誰かが叫んでいた
世界の広さを見渡せても
ずっと私の衣装は同じままで
聴こえてくる言葉も同じままで
そうやって私の事を区切る線は
底も見えないほどに深く
先も見えないほどに遠い
遥か遠く澄んだ空を
見上げられる檻の中
こんなに残酷な環境もないよなと
気付けば私も思っていた

[詩]自己犠牲

冷たい風雨にさらされて
そこから自分の身一つ守れなければ
悲しい心は暗くなって
人を想う優しさに心が傾きだす
それはきっと
命に陰りがさしているから
心が誰も想えなくなれば
いずれ自分も想えなくなるから
大切なのは自分自身と
胸を張って言えるのは
きっと幸せなこと
痛みに負けて
心が剥がれて歩いているのは
人だった事に縋っている
自分だった何かだろう

[詩]どこまでも

どこかで拾った木の枝を
引きずり歩く子供のように
乱雑で気持ちは込めようもない
吸っては吐いてを繰り返し
ただなぞられて傷だらけの道に
感傷ひとつも湧いてこない
ただのびて行くその線は
先も見えないほど遠く
何処に行くのかわからない
日の上る場所
日が沈む場所
どちらもそんなに変わらない
きっとそんな場所は
とっくのとうに越えている