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Nサロンは、雨だった。

Nサロンの第一期が終わる。たった3ヶ月の短い期間だったが、100人ほどの見知らぬ同士の大人が集う、不思議な体験を共有した。

Nサロンとは、 note と NIKKEI がコラボしたオンライン・オフラインを組み合わせた学びのサロン企画。企画がまとまった経緯は詳しく知らないが、クリエイティブとビジネスの出会いのようなテーマで、様々な講座(ゼミ)やトークショーが企画されていた。

今年の1月の終わりに始まって、4月の終わりまでの3ヶ月。ちょうど始まるときにも note を書いた。

事前の案内によれば Nサロンでは、ツーリズムに関するトークショー(ちょうどぼくたち Pathfinder のリサーチエリアのひとつである)があるというのに惹かれたことと、そもそもコミュニティ運営自体に強い興味があったので、年末の Twitter に流れてきた告知を見てすぐに申し込んだ。

始まってみると毎週のように何らかのゼミやイベントが用意されていて、ものすごいボリュームだったので、残念ながら半分も参加できなかったのだけれど、それでもしょっちゅう顔を合わせる参加者や運営スタッフとは、すぐに顔なじみになった。イベントやゼミのあと、ちょっと飲みに行くような機会も増えて、少しだったけど普段なら出会わないような人たちとつながりができてきた。

上の記事でも書いたんだけど、やっぱり集まってきているひとは好奇心ドリブンな生き方をしているひとが多くて、話していてすんなり楽しかった。思考のスピード感が近いというか。全体的に言って、とても楽しい3ヶ月だったし、学びや発見もたくさんあった。ゼミやトークイベントなどの受動的な学びだけじゃなくて、参加者同士でのわちゃわちゃした中でのワークショップや、飲みながらの意見交換の中にも、予想もしなかったたくさんの学びがあり、毎回毎回なんかしらアイディアのお土産をもらえたような、そんな充実したコミュニティができあがりつつあった。

さいきんは、色んな所で色んな「サロン」や「コミュニティ」ができていて、そこに参加している人から話を聞いたり、運営側の人の話を聞いたり、自分自身の過去の体験を思い出してみたりするんだけど、このNサロンは、今までのどのサロンとも違う空気を醸し出していて、、いや、この表現はぴったりこないな。んーと、少し大げさに言うと「違う文化を作り出しつつある」と思うのだ。なぜ空気じゃなくて文化かというと、そこにものすごく大きく貢献しているのがこの note や Twitter での「発信」だったと思う。

参加者が体験を note でどんどん書いていく。書くスピードや技術はそれぞれ違えど、同じ体験をした誰かがじゃかじゃかと note や Twitter で毎日のように感想やレポートや考察やアイディアを発信していく。それに対する反応が様々なひとたちから返ってくる。

ふりはじめの雨が、水たまりに落ちて、ぽつ、ぽつと水面に波紋を作っていく。波紋と波紋が共鳴して、新しい波が静かに広がっていく。そんな景色を見ているようだった。参加者からのコトバが、雨になって降ってくる。

毎日昼間は雨が降らないのに、イベントのある夜になると降ってくる。盛り上がったイベントのときは土砂降りのように、じわっと染みるタイプのゼミのあとには霧雨のように。

ぼくたち参加者はみんな、意識的か無意識かにかかわらず、そうやって伝わってくるみんなの話し声に、3ヶ月間、毎日少しづつ影響を受けてきていたんだと思う。ある集団が同時期に共通体験を重ねて、同じ時間を生きた仲間の中にいつの間にか、はっきりとは言語化できないけれども生きる糧になるような、栄養分が染み込んできたような、そんな気がしている。ふんわりと土壌が肥えてきた。文化、のようなものが雨上がりの地面の水滴のようにキラキラと輝き始めてくる気配を感じる。

そうか、恵みの雨か。

「アウトプットこそ、ひとを成長させる」とか、誰かが言ってたような気がするが、Nサロンにはアウトプットつまり雨を降らせる秘密というか仕組みが周到に用意されていた。もちろん note や NIKKEI が主催のサロンなので発信を後押しするのは当然の流れなんだけど、ぼくたちは、その秘密の仕組みが単なる座組によるものではなく、実際には「中のひとたち」によるところがものすごく大きかったということに気がついている。よき栄養の詰まった雨が降るように、雨のもとになる企画を仕込み、風や湿度や気温を見計らいながら的確に軌道修正し、膨らんだ雨雲をちょっとつついて雨が降りやすくしてみたり、時には嵐や雷が発生するときもあって、そんなときはずぶ濡れになりながら傘を広げたり、そうやってうまく栄養分をいちばんいい塩梅にぼくらに注ぎ込むことに身を砕いてくれていたひとたちがいたことに。

note の水野さん、NIKKEI の永吉さん。この二人の「雨を降らすひと」が居なかったら、カオスで始まったこのNサロンというコミュニティが、たった3ヶ月で、文化(のようなもの)を作りだす土壌を育てることはなかっただろうと思う。この二人の献身と努力と工夫と、そしてなんといっても、愛がそこにはあった。愛があったから、恵みの雨が降ったと思うのだ。

いまコレを書いている修了式直前のこの時点では、Nサロンが第二期以降存続するのかどうかまだわからないけれど、すくなくともたっぷりと栄養分のつまった雨がしみ込んだはずの第一期生のぼくたちは、これからしっかりと実を結ぶ草や花や木を育てていかなければならないと思う。


そういえば、Nサロンのイベントがある夜は、いつも雨が降っていた。キックオフイベントの日も、そして修了式である今日も。

水野さんが今朝つぶやいていた。

それに答えた仲間の一言にぼくらすべての想いが詰まっている。


苦手だった雨の日が、ちょっと好きになった3ヶ月だった。水野さん、永吉さん、同期の仲間のみなさん、ほんとうにありがとうございました!

Photo by Sean McAuliffe on Unsplash
Illustration by Shintaro Miyashima

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