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[エッセイ] また同じ香水を買う頃に

今日、香水を買った。
ブルガリのオムニアクリスタリン
そういえば前にもこの香水について作文をしたなと思い自分の投稿を見ていると、ちょうど一年前のこの時期だった。

記憶が曖昧なのだが、いつかだったか、TOSHIBAさん(たぶん)のLED照明のテレビ広告で
「次この明かりを取り替えるとき、私はどんな自分になっているだろう」
的なニュアンスものがあったように思う。
「LED照明の売りである長寿命さを人生に重ねるの、いいなぁ」
としみじみした記憶がある。
大好きなミュージカル「RENT」の主題歌の「Seasons Of Love」に「人生をどう測る?LED照明を取り替えた回数?」の一節を加えてもあまり違和感がないような気がした。

一年を測る方法はたくさんあるけれど、自分にとっては大好きな香りがするこの40mlの液体がちょうど良いように感じる。
一年間、この香りをまとって過ごす中でいろんな変化があった。

前回買ったときは新しい生活が始まる高揚感と、それまでに自分が積み重ねてきた不義理の罪悪感に挟まれていた。
あれから一年、高揚感は均されて穏やかな日々を暖める燃料となり、罪悪感は今一つずつ向き合って棚卸しをしている。自分に合った人生を見つけて生きられている感覚がある。

また同じ香水を買う頃に、自分がどうなっているのか楽しみだ。
大した人間になっていなくていい。
今の自分の延長線上にあるものが楽しみだ。

頂いたお金は美味しいカクテルに使います。美味しいカクテルを飲んで、また言葉を書きます。