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【こんな映画でした】589.[ビリディアナ]

2020年 4月19日 (日曜) [ビリディアナ](1961年 VIRIDIANA スペイン 90分)

 これがあの映画なのか、と。前段と後段で趣が違う。前段は尼僧になろうとして勉強中のビリディアナであり、後段は尼僧になることを止めたものの、貧しい人たちに尽くすという意味において、心根はまだ尼僧学校にあるのかもしれない。しかし現実に裏切られ、ついには叔父の息子であるホルヘと結ばれるということらしいのだ(家政婦のラウラとの三人の関係に、か)。

 ラストシーンがラウラとの三人でカードをするところでエンドマークなので、それだけでは分からないが解説によるとそういうことに。これは堕落というべきなのか、現実社会を知った結果としての人生観の変容なのか。

 ルイス・ブニュエル監督作品。[アンダルシアの犬]もそうだったが、やはりなかなかにヨーロッパ映画は難しいものだ。

 分からないことの一つに、叔父が遺書を書こうとしている時の「微笑」。そしてしつこく描いていた乳搾りのシーンは、ようやく意味が分かった。あれは単に田舎での生活が無理ということのメッセージではなく、牛の乳房は男性性器を象徴させているものだろう。だから何度か試みるが実行できず、つまりためらったまま終わっているのだ。これも伏線であり、いずれそれが可能となるごく普通の女性になっていくということであろう。

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