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【作品ノート】ヒルダの約束〜発端は不思議な夢から

 ある夜、とても生々しい夢を見た。自分は第二次世界大戦中のドイツ軍の青年将校でベルリンにいる恋人宛の手紙を書いている。そんなシーンの夢だ。恋人の名は…ヒルダ。看護師として病院で勤務している。青年将校は戦車隊の指揮官だ。

 そんな夢だった。目が覚めてからも消えない。とてもリアルな夢だった。

 なぜそんな夢を見たのか理由がわからない。ドイツ軍も戦車も興味が無かったし、第二次世界大戦中のヨーロッパの史実なんて学生の頃に習った程度の知識しかないし、そもそも興味が無かった。

 忘れてしまわないように夢の内容を書き留めた。そしてふと思った。もしかしかたら、私に書いて欲しいのかもしれない、彼らの物語を私に。でも、恋愛小説ばかり書いていた私には戦記ものなんて手に余る。必要な知識がまるで無い。試しにちょっと書いてはみたものの、薄っぺらくてぜんぜん駄目だった。私は不思議な夢を書き留めたメモをファイルに保存して放置した。そして一年ほど経ち…。

 放置しても気になる。ずうっと気になっていた。このまま眠らせておくのはヒルダにも恋人の将校にも申し訳ないよね…。よし!

仕方がないなあ。知識が無いなら知識を身につければいいんでしょ


 覚悟を決めた私は資料を当たりまくった。私はどうやらINTP-Aなので興味を持ったら徹底的に調べる性格なのだ。大戦中のヨーロッパ戦線のドキュメンタリーやドイツ軍の史実やら、バルバロッサ作戦とか、そういえば…昔々、東京の〇〇にあるユナイテッドシネマで「フューリー」という映画を見たな。戦争ものなんて見たくなったのに当時の彼氏に「ブラピが主演だからさ」なんてうまく言いくるめられて。悲しい映画だった。ちなみに「フューリー」にはドイツ軍のティーガー戦車が登場する。
 戦車隊の将校を書くのなら戦車を知らないと書けない。性能とか武器とか戦術とか。そしてある人に勧められてこんな本まで読んだ。

 オットーさんはバルバロッサ作戦に参加した本物の軍人さん。この本はすご〜く役に立った。

 当時のドイツ軍の階級や親衛隊と国防軍の違いとか、武器の名称、地名、作戦名とか、あんなリアルな夢をもしも見なかったら絶対に調べなかったであろう知識を、とりあえず創作小説が書けるぐらいには得た。不思議な夢を見てから三年ぐらい経っていたかな。

 そしてやっと、夢に出てきた手紙から始まる物語を書くことができた。Web小説では需要が無いジャンルなのは承知のうえで。
 とりあえずは彼ら(ラインハルトやヒルダ)への責任は果たせた、と思う。私の自己満足に過ぎないとしても。

 彼らの物語を読んでくれたあなたの心に何か残ったのなら幸いです。


 No War

♦︎ラインハルトという名は私の趣味です。オットーはオットー・カリウスさんから拝借しました。


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