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美しい人

2024年3月5日
 孫たちはすっかり元気になって、毎日きてくれる。オセロはもう勝てなくなった。「考えないで打ってるな」とよくいわれる。
 もうすぐ『悩める時の百冊百話』という新しい本が出る。たくさんの本から引用したが、読書案内や書評ではなく、若い頃から読んできた本の中から心に残った言葉を引きながら人生の意味について考察した。取り上げた本は哲学書もあるが、小説やエッセイ、絵本、コミックからも引いた。外国語の本は自分で訳したり、翻訳から引用した。最近読んだ本もあるが、若い頃から繰り返し読んだ本からも言葉を引いた。
 今日は朝、ラジオ番組の収録。出版前なのに『悩める時の百冊百話』をめぐって話を聞きたいというオファーがあって驚いた。ゲラで読まれたようだ。

 若い頃、哲学者藤澤令夫の講筵に列することができたのは僥倖だった。先生が亡くなったのは2004年の2月28日だったので、この時期になると思い出す。
 池田晶子が藤澤令夫の追悼文の中で、
「学問と人格とが、その覚悟において完全に合致した氏の姿は、本当に美しかった」(「哲学者 藤澤令夫さんを悼む 善く生きる」覚悟の美しさ」)
と書いている。
 私も学問と人格が一致する哲学者でありたいといつも思う。
 藤澤の葬儀の日、棺の側にずっと寄り添っていた池田も鬼籍に入られて久しい。


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