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Kの罠。幻夜-東野圭吾

 もしかして、と思った。でも確証がない。本当にその人に憧れただけかもしれない。でもー。

 白夜行は好きな小説のうちの一つだ。そのうちnoteでも感想を書こうかなと思っていた。でも、白夜行は映像作品も見てしまった。純粋に本だけの感想は書けないかもしれない、そう躊躇っていた時ふと幻夜を読んでみようと思い立った。

 幻夜は白夜行と関係がある物語だというのは知っていた。深田恭子主演でドラマ化されているのも知っていた。だから多少の関係性はあるものの、白夜行とは全く別の物語だと思っていた。もし、綾瀬はるかか堀北真希が主演だったら、もっと早くこの小説を手に取っていたと思う。

 ずっと「もしかして」という思いと共に読み進めた作品だった。文庫本のカバーの裏に書いてある「阪神淡路大震災の混乱の中でー」という一文から予想できた内容だった。でも最後まで確証は得られなかった。

 もう一つの可能性に気づいたのは“BLUE  SNOW”という会社の名前を見たときだった。その時初めてホワイトナイトが白夜のことだって気づいた。kの方だと思い込んでいた。半沢直樹に毒されすぎている。そしてそのことに気づいたとき、素敵なおチビちゃんのことを思い出した。


 そして最後、私が「やっぱりそういうことなの!?」と声を上げてしまったのは本の末尾の解説に記されてるこの一文を見たときだった。

美冬の正体に気づいたときはとてもうれしかった。


 盛大なネタバレだと思った。本を買う時に解説を読んで購入するかどうかを決める人もいる。それなのにこんなにあけすけに書いてしまうのか。東野圭吾という超有名作家の作品だから成し得た解説かもしれない。

 幻夜を読むならまず先に白夜行を読むべきだ。同時に風とともに去りぬも読んだ方がいいかもしれない。ちなみに私は読んでいない。洋書が苦手だから。白夜行を読んだ後に読もうかどうか迷ったけど、結局手を出さなかった。でもこれはもう読まねばばならないのかもしれない。3作目が出る前までには。

風と共に去りぬのオススメの翻訳本あったら教えてください。

おわり。



ーおまけー

 第九章冒頭の、加藤がタクシーに乗って移動するシーンが未だに理解できない。

 路上に止められた車が、ただでさえ狭い道をさらに窮屈にしていた。それでもトラックは、何事もないようにタクシーとすれ違っていく。さらに自転車の籠に大荷物を載せた中年女性が、タクシーの左側をすり抜けて行こうとする。それでも運転手は、平然とアクセルを踏む。
「道が細いね」加藤はつい漏らした。
「こんなもん、ふつうですわ」運転手はぶっきらぼうにいう。タクシーを拾ったのは天王寺駅だ。そこからは電車でも二駅。近すぎて機嫌が悪いのかと思ったが、そうでないことを降車時に知った。
「裏道を使たのに、時間かかってすんません」釣り銭を出しながら運転手はいった。
 いや、といって加藤はタクシーを降りた。何となく気分がいい。走り去るタクシーの会社名を確認し、次に苦笑した。大阪人の商売のうまさとはこういうことかと思った。

集英社文庫 東野圭吾著 幻夜 第9章より引用

どういうとこ???
何となく気分がいい?どこで気分が良くなったの?
何でタクシーの会社名を確認したの?
そして苦笑したの?
大阪人の商売のうまさをこの文章のどこで読み取ればいいの?
もしかしてこれは天王寺周辺の土地勘がない人にはわからない表現なの?
もしくはもっと広く、大阪人じゃないとわからない描写なの?

 大阪出身の夫に聞いたら「運転手は謙遜しててー」とかわけわかめなことを言っていた。・・・謙遜??・・・どこが??

これは本当に切実に誰かわかる人がいたら解説してほしい部分です。
今のままでは幻夜を思い出すときずっと永遠にこのシーンのことを考えてしまう。oh Myガー。

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