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【読書】「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる  「繊細さん」の本

半年前?くらいに話題になってテレビや動画など、様々なメディアで紹介されていた本。

この本はHSPと呼ばれる、感性や感覚が人よりも優れている繊細な人が、幸せに生きていくためのノウハウがまとめられた本になります。

何の前提知識もない状態で読んだのですが、読み終えた後の率直な感想は
「長所と短所は表裏一体」この一言に尽きます。

そもそも、HSPという言葉自体、テレビなどで見かけたことはありますが、正確な意味はこの本を読むまで知りませんでした。
HSPとは、視覚や聴覚といった感覚が敏感な人のことを指すそうです。この本の中ではHSPに該当する人のことを「繊細さん」と呼んでいます。

非常に分かりやすくて読みやすい本でした。そして、内容も納得できるものばかりでした。

ですが、本を読んでいる中で大きな違和感もありました。

HSPの人(繊細な人)は、別の言い方をするなら、感受性豊かな人とも表現できます。私の認識では、感受性豊かな人というは成長が早く、かつクリエイティブなアイデアを持つ人が多く、人間的に魅力あふれる人が多い印象を持っています。なので、HSPの意味を知った時、それはむしろポジティブな要素の方が多いのではないか、という印象を持ちました。

ですが、実際にはこの本の内容や、ネットでHSPという言葉の意味を調べてみると、ほとんどの場合ネガティブな文脈で使われています。
私の中ではポジティブなイメージのある感受性豊かな人が、ネガティブな文脈で語られていることに違和感を感じましたし、何となく悲しい気持ちになりました。

ですが確かに、細かいことを気にしすぎてしまう繊細さんは、鈍感な人に比べるとストレスが多くて疲れやすく、辛い日常生活を送っている人も多いことも本を読んで納得しました。

私は現在教育の仕事に携わっていますが、仕事をしている中で人にアドバイスやフィードバックを投げかけた時に、大きく響いてくれる人と何を言っても全く響かない2タイプの人間がいます。私の中で、アドバイスが響きやすいのは感受性が豊かな人で、響かないのは鈍感な人というイメージを持っているのですが、これはおそらくHSPの傾向が強い人ほど、アドバイスが響きやすいことになるのではないかと思いました。

だからこそ、HSPの傾向が強い人ほど成長が早いのではないかと思ったのですが、逆に言うと、些細な発言でもネガティブな意味に受け取られると、相手を傷つけてしまうリスクがあるのだと気付かされました。まさに長所と短所は表裏一体。言葉一つで相手のモチベーションを上げたり成長を早めることもできれば、言葉一つで相手を極端に落ち込ませてしまうこともできる。今後仕事をしていく中でこの点を強く意識していこうと思いました。

一言にHSPと言っても、どの感覚が敏感なのかは人によって異なるそうです。視覚が敏感な人もいれば、聴覚が敏感な人や、触覚が敏感な人もいるそうです。視覚が敏感な人は、些細なものでも視界に入ると気になって集中できなくなってしまったり、聴覚が敏感な人は、些細な物音でも気になってストレスを感じたりするそうです。

これはHSPの観点からすれば短所かもしれませんが、NLPや勉強法の本などで見かける「利き感覚」に近いものがあるように思います。視覚が優れている人は、目からインプットする勉強法が向いています。一方で聴覚が優れている人は、耳からインプットする勉強法が向いています。敏感な感覚というのは、環境によってはストレスを感じる原因にもなりますが、視点を変えると自分の成長を助ける強力なツールになることもあります。

長所と短所が表裏一体というのは、よく聞く言葉ではありますが、HSPもまさにその一つだと思います。

今回紹介した本では、HSPで疲れやすいと感じている人が、より幸せに生きるためのノウハウが詰め込まれた本です。HSPの傾向がある人が読むと得られるものは多いと思います。HSPに該当しない人にっとても、HSPの理解を深めるという意味ではためになります。特に、組織の中で人をまとめたり人を育てる仕事をしている人にとっては、HSPの人を活かすための気づきが得られる本です。


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