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衆院選接戦区考察(北海道ブロック)

注釈がない限り人口の増減およびDID人口は2020年国勢調査を参考としている。そのため人口増加率は5年前の2015年と比較した場合の数字である。

北海道3区
ー地盤状況
高木が1.3ポイント差で勝ち越した白石区が若干削減される。また豊平区と白石区はいずれも人口が増えてるのに対して荒井が0.2ポイント差まで迫った清田区は人口が減少した。一般的に高いほど与党支持率が下がるとされるDID人口比率(地方ではなく市街地に居住する人口)は98.6%と全国と比べて28.6%高い

ー高木優位の要素
・共産党擁立
・清田区の道議選が選挙戦となり自民党現職が僅差ながらトップ当選するなど清田区内の与党組織を動かせたこと

ー荒井優位の要素
・前回選では立憲民主党の世襲制限解禁第一弾のように扱われたが裏を返せば当時よりはその世襲批判は薄れてる
・高木は元二階派所属だったため裏金問題で追及しやすい
・前回選挙同様維新が擁立するが全国的な傾向とは逆に大地系との連携解消で維新票の上積みは限定的

ー注目開票区
人口が少なくてなおかつ豊平区のボリュームの大きさを踏まえると荒井が引き離さなければならない「清田区」であろうか

北海道4区
ー地盤状況
5区から石狩市が移管される。石狩市は前回選では自民党の和田義明が5.0ポイント差をつけて勝利した自治体である。西区・手稲区・留寿都・ニセコ・倶知安・赤井川といった開票区では人口が増加しておりそれ以外の開票区では人口が減少している。なお大築が勝利した開票区は西区+手稲区+小樽市でありそれ以外の町村部は泊村の72.5%からニセコ町の50.3%まで差はあるがすべて中村が勝利している。政党支持のバロメーターであるDID人口は84.3%であり全国と比べて14.3%高い

ー中村優位の要素
・石狩市移管
・後志の道議選が選挙戦となり自民候補が二番手に20ポイント近く差をつけてのトップ当選を果たすなど後志の与党組織をしっかり動かせたこと
・全国的な原発再稼働熱で泊原発問題が争点になりにくいこと

ー大築優位の候補
・前回選は前任者の不祥事をうけての選挙だったがその反動でなびく票への期待
・安住から代表質問を褒められるなど存在感があること

ー注目開票区
すでに転出したが立憲民主党代表代行の逢坂誠二の地元である前回大築が中村に0.6ポイント差まで迫った「ニセコ町」
前任者の和田義明が勝ち越しながらも5割を切った「石狩市」
であろうか
ここで中村は勝ち越さなければ序盤町村部の票でリードしてても小樽や札幌で巻き返される可能性がある

北海道8区
ー地盤状況
選挙区全体を通して人口減少が進んでいる。中心都市の函館が-5.6%と大きく減少しているなどその影響は野党の地盤である市部にも及んでいる。選挙区全体としては-6.5%の人口減少である。DID人口比率は63.7%であり全国と比べて6.3%低くなっている

ー逢坂優位の要素
・北斗市や七飯町など地盤の人口減少が穏やかであること
・自民党候補が差し替えとなった上道議選で鞍替えを余儀なくされるなど8区内の与党組織がガタガタとしてること
・函館市長選で野党系新人が現職相手に大差で勝利したこと

ー向山優位の要素
・共産党候補の擁立見送り
・2009年から6回連続で立候補してる逢坂が60代に入り全国的なベテランへの逆風が予想される
・北海道新幹線函館乗り入れや函館本線の廃線計画が取りざたされるなか与党の代議士を求める声が予想されること(ただし逢坂は農村型の選挙区で連勝したきたことから想像されるとおり比較的野党議員としてはインフラ整備に積極的であることは差し引かなければならない)

ー注目開票区
前任者の前田一男道議が町長を務めた「松前町」(前回選では62:38で与党が勝ち越した)
前回3票差で与党が勝ち越した「長万部町」(革新町政だったこともあり町村部の中では野党支持も根強い地域である)
などであろうか

北海道10区
ー地盤状況
人口7万人強の岩見沢市を除ければ比較的人口的には均等な自治体が多く立地する選挙区である。ただし人口減少は-8.8%と激しい。とくに稲津の地盤である炭鉱地帯や留萌地域の町村部で人口減少がより激しいことは注意すべき点である。DID人口比率は38.9%と全国と比べて31.1%も低く稲津や神谷も地縁血縁に頼った選挙戦略が求められることが容易に想像できる選挙区である

ー稲津優位の点
・留萌地域での道議選や元夕張市長が現職として出馬した道知事選など選挙区管内の各種地方選挙で与党候補が圧勝したこと

ー神谷優位の点
・元々枠が少ない北海道ブロックの中で何度も上位で遇されてきた渡辺孝一が7区代議士の比例転出などで今回も搭載されるか微妙なこと
・炭鉱地域や留萌地域の人口減少
・稲津と比べて10歳若くベテラン批判の風に乗れる可能性があること
・選挙区内で相次ぐ鉄道路線の廃止で「戦略的廃線」に一定の批判票が期待できること
・農民組織に神谷回帰の傾向が見られること
・自公協力の流動化

ー注目開票区
2人の自民党道議の地元である「赤平市」と「留萌市」であろうか。ここで稲津がそれぞれ54:46、61:39と前回選では積み上げた貯金をどこまで崩さずに岩見沢の負けに備えることができるのかが注目点だろう

北海道11区
ー地盤状況
人口減少率は-3.1%と比較的穏やかである。ただその穏やかな人口減少は近年まで百貨店が営業してたなど札幌以外の道内地方都市にしては活気があった帯広によって支えられてるものである。そのためそれ以外の地域では人口減少が見られることは留意しなければならない(なお函館とは違って帯広ではわずかながら与野党の差が選挙区全体の差より小さいのでそのことはかならずしも与党不利であることを意味しない)DID人口比率は64.4%と全国と比べて5.6%低くなっている

ー中川優位の点
・前回選で惜敗率90%台まで詰め寄るなど地盤の回復が見られること
・旧民主党系だった帯広市長に対して一部地方議員が支援するなど一定の歩み寄りが見られること
・足寄をはじめ十勝地域に影響力を持っていた石川知裕が政界から距離を置くことを表明し石川系の勢力に陰りが見えること
・十勝港や十勝沖地震への対応で与党の代議士を求める声があると推定されること

ー石川優位の点
・道議選や帯広市長選で与党組織が混乱していること

ー注目開票区
国労出身ながら立憲会派に所属しておらず道議の中川が敗れた前回選も6.8ポイント差で勝ち越した地元の「士幌町」
保守系道議2人が激しく競り合い対立の遺恨が見え隠れしながらも前回選では中川が3.6ポイント差まで詰め寄った「清水町」
などであろうか












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