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ISO感度を変えると写真のなにが変わるのかを、なるべくむずかしくなく語ってみた。(その1)

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ISO感度ってなんだ?

ISO感度の前に、だいたい「ISO」ってなんなのよ?と思っている人もいそうな気がするので、まずはそちらから説明していきたい。

「ISO」は「International Organization for Standardization」の略で、「国際標準化機構」と訳される。工業製品とか農産物とかの規格を決めている国際機関である。

読みはいろいろあって、「あいえすおー」と読む人もいれば、「いそ」と読む人もいる。辞書によれば「あいそ」という読み方もあるらしい。ワタシ個人は「いそ」派である。

ただし、どれが正しいとかはなくて、それぞれが好きな読み方をしていい。なので、誰かが違う読み方をしたとしても、それを否定するのはあまりかっこうはよろしくない。

で、そのISOが定めたフィルムやデジタルカメラの感度のことを「ISO感度」と言う。

昔のフィルムカメラの場合、感度ダイヤルには「ASA」や「DIN」と書かれていて(前者はアメリカ標準規格、後者はドイツ工業規格の略。つまり、ローカルルールである)、それが国際規格であるISOに置き換わった。

デジタルカメラの初期は、まだ感度についての規定がなかったので、各社がそれぞれに「ISO100のフィルムと同じぐらい」に写せる感度を「ISO100相当」みたいな雰囲気でやっていた。

そちらはその後、ISOがまじめに仕事をしてくれた結果、今は「ISO感度」として統一されている。

ISO感度には2種類ある

さて、このISO感度には、ややこしいことに「推奨露光指数」というのと「標準出力感度」というのがある。

これは各社のウェブサイトとかで見られるカメラのスペック表に「ISO感度(推奨露光指数)」みたいなかたちで明示されている。

「推奨」のほうは、そのカメラを作っているメーカーが「これが適正露出だ」と考える明るさの基準にしたがって決められる感度。なので、同じISO100であってもメーカーによって違っている可能性がある。

もうひとつの「標準」のほうは、「18%グレーの被写体を撮って、8bitスケール(明るさのレベルを0から255であらわすヤツである)の118となる明るさ」を基準に求められた感度である。こちらはメーカーの基準やポリシーに左右されないので、どのメーカーのカメラでも同じ、というのが建て前だ。

ちなみに、「推奨」派は、

・キヤノン
・シグマ
・ソニー
・ニコン

の4社。

「標準」派は、

・オリンパス
・パナソニック
・フジフイルム
・リコー/ペンタックス

の4社。半々である。

そういうのもあったりするので、完全に統一されているとも言えなさそうだが、各社の感度が大きく違っていればユーザーが混乱するし、クレームだらけになるのは目に見えている。ので、実用上はあまり気にしなくていいと思う。

感度=光に対する敏感さの度合い

さて、カメラにおける感度について。ざっくり言うと「光に対する敏感さの度合い」を数字にしたものだ。

フィルム時代はISO100前後のものが「中庸感度」、それより数字が大きいのが「高感度」で小さいのが「低感度」と呼ばれていた。ので、ここではISO100を一応の基準として説明する。

ISO100より上のほうは、

ISO200、400、800、1600、3200……

というふうに倍々に増えていく。

画像1

数字が2倍になるのが「1段」で、これはシャッタースピードと同じだ。

なので、ISO100に対して、ISO200は1段、ISO400は2段だけ感度が高いということになる。

ISO100より下のほうは、

ISO50、25、13、6、3……

というふうに半分ずつに減っていく。

25の半分なら12.5のはずだが、表記が複雑になることもあって、ほどほどに丸めるのが通例だ。

ISO感度の数字の並び(1/3段)

ISO感度も絞り値やシャッタースピードと同じように1/3段刻みの数字がある。

そのへんのも加えると、

……3、4、5、6、8、10、13、16、20、25、32、40、50、64、80、100、125、160、200、250、320、400、500、640、800、1000、1250、1600、2000、2500、3200……

画像2

と羅列するとわけがわからなくなりそうなので整理する。

3、4、5
6、8、10
13、16、20
25、32、40
50、64、80
100、125、160
200、250、320
400、500、640
800、1000、1250
1600、2000、2500
3200

こんなふうに3つずつ、つまり1段ずつで区切ると上下の数字が2倍または半分の関係になっているのがわかる。

ちなみに、真ん中の数字を見ると、実はこれ、シャッタースピードの1段刻みの数字とほぼ同じ。と言うか、ほとんどすべての数字がシャッタースピードの1/3段刻みの分母の数字と同じなんである(丸め方が一部違ってたりするが)。

とまあ、そういうルールに気づいてしまえば、ずっと覚えやすくなるはずだ。

感度を上げる/下げることの意味

細かく説明するとまた長くなってしまうのでなるべく簡単にまとめてみる。

撮像センサーを構成するひとつひとつの画素の受光部に光が当たると、それに見合った量の電荷が発生する。

電荷は電気にまつわる現象のもとになるもので、「電気の粒」みたいな感じに考えてもらえばいいと思う。

ひとつひとつの画素の受光部から取り出された電気の粒の数の情報が画像処理エンジンに送られて画像データとしてメモリーカードに保存されることになる。

このとき、ある画素から得られた信号、この場合は電気の粒の数の情報なので、これがたとえば「10個」だったとしよう。

この情報を画像処理エンジンに送るまでのあいだに水増しをして信号の強さを変えられる。もとの「10個」という情報を2倍の「20個」という情報に置き換える。この作業が「ISO感度を1段上げる」ことなわけである。

ISO感度をISO100からISO200に上げると、画素からの情報が画像処理エンジンに送られる途中で「信号を2倍に水増ししろ」という注文が追加される。ISO400ならもとの4倍水増しになる。

反対にISO100をISO50に下げると、「信号を半分に減らせ」というオーダーになる。

なんとなく、ずるい感があるかもしれないが、実のところ、ずるをしているようなものなので、無理に水増ししたり減らしたりする分だけ悪い影響が出る。ようは画質が落ちるわけだが、そのへんはまたあとで触れる。


長くなったんで、いったんここでおしまいにして、つづきは別記事として公開する。

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