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真夜中に海街diary


真夜中に目をつぶっても、なかなか眠れなかったので、カラダに従って寝るという行為をあきらめた。
カラダの手首の辺りにスイッチがあって、OFFにすれば眠くなって、 ONにすれば目が覚めるように操作できれば、便利だなと思いながら起き上がった。
静まりかえった夜の暗闇に、ストンとテレビの前に座り、こうなれば、映画かドラマを観ようと思う。
レコーダーの中を彷徨っていたら、なかなか決められなくて、それで、目をつむってみる。
リモコンの↓ボタンを押しながら、ひとりで安定のドラムロールを口にする。
「ドゥルルルルルルル。(結構リアル)」
そして「ジャンッ」と言いながら、リモコンの決定ボタンを押すと、『海街diary』だった。


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「こんな美人ばっかりの姉妹ってほんまにおんるんかな?」と、いう疑問を胸に抱きながら、流れる映像に身を委ねる。そして、わたしは一時停止をして、梅酒のロックを準備して観はじめた。


簡単なあらすじは、幸(綾瀬はるか)、佳乃(長澤まさみ)、千佳(夏帆)の三姉妹が、15年前に鎌倉の家を出ていった父の葬儀で山形に行くことになる。
そこで出会った14歳の異母妹のすず(広瀬すず)を家に迎えることになり、四人姉妹の生活を通して、家族の絆を描いていく、是枝裕和監督が実写映画化した作品。


是枝監督の作風通りに、ゆっくりとした日常がリアルに描かれている。
典型的な長女気質の幸は、しっかり者で実は弱いところを隠し持っているし、次女の佳乃は、奔放なイメージがあるけれど、しっかりと人を見る目があるし、三女の千佳は、末っ子気質で、姉たちの顔色を窺いながらも自由で、四女のすずは、幸に似てしっかりしているものの、自分の存在について悩んだり、それぞれが違った性格をしている。


だから、そんな日常には小競り合いも勃発して(特に長女と次女とのやりとりが)面白い。
次女の佳乃の嫌味なんて秀逸。


気が合うのか合わないのか、微妙なバランスをとりながら物語が進むと、四女のすずがいろんなことで悩む。


14歳で両親を亡くして、天涯孤独となったすずは、姉たちと一緒に生活していたが、どこか心の底では、「自分はここにいても良いのだろうか?」という疑問を持ちながら生きている。
多感な時期に些細な言葉に傷ついたり、それを傷ついていないフリをしたり。
それがいつしか、姉たちと共に季節を巡りながら生活していると、その色に馴染んでくる。


扇風機の前で、風を浴びたり、

梅ジュースをてきぱきと作れるようになったり、

柱に身長を記入したり。


すずは、自分でも知らないうちに、自分の居場所をみつけていく。
悩みは消えることはないけれど、しっかりと自分の足で立ち、この場所で生きていくと決める、すず。
そこには姉がいたり、同級生がいたり、鎌倉の丘や海がそっとやさしくすずを包んでいて、淡々と生きることをこの映画はやわらかく物語っていた。


この映画を観終わるころには、梅酒ロックがグルグルと体を駆け巡り、淡い余韻を味わった。










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