小数点以下の感情(0.999…)丁卯
夏のせいで形を忘れた飴玉。
きみのくちびるから漏れる熱帯夜。
ナンバーガールが奏でる夏の吐息。
光の残影に手を伸ばすときれいな線ができた。
いつも手を繋ぐ時はきみからなんだ。
松明をこの手に握り未来と心を照らす。
過ぎ去った時代の背景はいつもモノクローム。
空高く舞い上がった鳥たちはエデンの東へと消えた。
反転したぼくのてのひらがきみの肌を透き通る。
遺伝子のバグから生まれた人間。
明日を赦すために今日を過去に変える必要がある。
振り向いたきみの髪へ百日紅のはなびらが墜落する。
音は空気が破壊されて初めてきみの耳に届くんだよ。
重力に逆らったこいはすぐに破裂する。
雨の音は地面が歓喜の声を出しているからうつくしい。
入道雲から立ち昇るひとつの線は青春の記憶。
海に流れた涙はいつか雲となりきみの頭上へ降り注ぐ。
さあ0:00ファンタスティックな夢を見よう。
糸電話のようなくぐもった声は甘い香りが漂う。
ぼくの心臓はプラスチックでできているから何も感じないんだ。
机の奥深くには冷たい記憶が眠っている。
ノスタルジーな音程はあのころの指先に眠っている。
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