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南京玉すだれにヌーヴェルヴァーグを感じて最終的にはゲシュタルト崩壊してマティスの作品になる。 #呑みながら書きました


師走に入っても「冬はやって来るの?」って感じの気候でしたが、いよいよ本格的に寒くなりましたね。これぞシン・冬って感じがしますよね。私は冬が好きでついつい雪上を駆け回るとびきり元気な柴犬みたいにしっぽをぶん回して歓んでいます。

うおおおお!冬、サイコおおおおおお!

って。それに12月になるとアレがあるからもうウキウキ。第18回 #呑みながら書きました  があるんです。3ヵ月に一度の酔いどれたちのお祭りが開催されるということで私も参加します。マリナさん、いつもありがとうございます。





お酒を呑むのならぬるめの燗がいい肴はあぶったイカでいい(舟唄)の呑み方が粋だな、と思ったけれど、ぬるめの燗にするのとあぶったイカを作るのが面倒だひ、だし、昨夜は忘年会で臓腑もたれがすごいのでゆっくりとコーヒーを呑みながら書いています。

最近、忘年会を皮切りに食べて呑んでの臓腑無礼講と化しているのですが、予定のない日には平穏に臓腑を労り雑炊なぞなど、雑炊をしんみりといただいています。雑炊美味しいですよね。

昨夜の忘年会でも鍋の〆に雑炊をいただいたんです。雑炊の上に溶き玉子で蓋したんをいただきました。「至福ううう。」とか言いながら。そうしたら薄い仕切りの向こうから

「アさて、さて、さて、さて、さて、さてええ!」

と、リズミカルな「さて。」が聴こえて来てその後に

「さては南京玉すだれえええ!」

と、南京玉すだれが始まったんです。私たちは雑炊をいただきながら「え?南京玉すだれ始まった?」とか「この令和に南京玉すだれ?」とか「古典芸能やん。すごい。」とか小声で言い合って雑炊に集中したいんですけど、隣の熱気がすごくて笑い声とか「よ!おふたりさん!」とかガヤも飛び交う状態で、私たちはその声をBGMに雑炊を黙々といただきました。その間も南京玉すだれチームは芸が決まっていきます。「ちょいとひねれば日本橋!」とか。その度に隣のボルテージがひとつ上がるのです。

そして、私はお手洗いに席を立ち部屋を出ると盛大な拍手と口笛「ピューイッッ!」とかが混ざった熱気のあとに隣の扉が開いたと思ったら、スーツにネクタイを頭に巻いて手にはすだれを持った人ふたりが出て来て盛大なハグをしました。「よかったぞ。」とか言いながら。スーツで南京玉すだれをしていたんだな、と思った私はなんだかある意味で新しい風を感じました。この時代にネクタイを頭に巻いて南京玉すだれを披露するなんてヌーヴェルヴァーグやん、と思いながらそのふたりがハグする横を通りお手洗いへ向かいました。

そして、部屋に戻ると隣は歌が始まっていました。CHAGE&ASKAの『LOVE SONG』を熱唱して。ASKAよりもCHAGEの勢いがすごい『LOVE SONG』。



抱き合う度にほら (secret river side)
欲張りになって行く (We can't go back)
君が想うよりも
僕は君が好き

LOVE SONG



CHAGEパートのところがメラメラしているというかクセがすごくて私たちは「CHAGEやってるね。」とか「この歌いい歌。」とか感想を言いながら雑炊をは食べ終わりました。

私たちは少人数なもので、ビンゴ大会とか出し物とかのない忘年会だったのでちょっと悔しい気持ちが芽生え始めました。これがいわゆる青年期に訪れる「悔恨の芽生え」です。知らんけど。

そうしたら、ひとりが

「ねえ、今からマイムマイム踊ろう。5人で踊ろ。」

と、言い出しました。いつもなら「なんでやねん。」と言うと思いますが、悔恨の芽生えが息づいた私たちは「いいよ。踊ろうよ。」と ふたつエンジン、ふたつ返事でした。すると、もうひとりがYouTubeでマイムマイムの曲を探しました。あとは踊るだけです。人間の太古の遺伝子に残っている「踊る」というデータを一瞬で引き出しました。私たちは席を立ち手を繋いで輪になりました。そして、曲を流すと軽快に踊り出しました。足のステップは学生時代と変わらぬ勢いでなんならイヤイヤしていたあの頃よりもキレがありました。

「マーイム、マーイム、マーイム、マーイム!マイム、ベッサッソン!」

私たちは、それぞれが唄いました。体内から歓喜に満ちて私たちはぐるぐると回ります。その姿を俯瞰で見るとアンリ・マティスの『ダンス』に見えたことでしょう。



アンリ・マティス作 『ダンス』



私は頭の中でマティスの絵画を思い浮かべました。すると、私たちがマティスの作品になったような錯覚に陥りました。これがいわゆるゲシュタルト崩壊か、と冷静な私は思いますが体は狂うように動いて踊ります。踊るために生まれて来たんだ、というダンサーみたいな気持ちで踊り終えたあとに、私たちは息を切らしながら拍手して互いを労いました。

マティスの絵画になった私たちは、心身ともにほくほくになり

「また、今度マイムマイム踊ろう。」

と、固い約束を交わしてお淑やかにお店を出てそれぞれが帰路に就きました。

最後に言わせてください。

なんでやねん。



あ!マリナさん、無事に日本へ帰って来られたら『たまごかけごはんの軌跡〜私とたまごと、ときどき、醤油〜』の上映を楽しみにしています!

そして、猫野サラさん。いつも素敵なイラストをお借りしております。ありがとうございます!




終劇






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