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ふたごの宇宙飛行士(のうちの一人)が上院議員選挙へ

今朝起きたらSNSのフィードがこのニュースでいっぱいになっていた。

ギャビー・ギフォーズ元下院議員の夫、マーク・ケリー元宇宙飛行士が2020年、アリゾナ州上院議員選挙に民主党から出馬するとTwitterに投稿したビデオで表明した。

ケリー飛行士がねらうのは、昨年亡くなった元共和党大統領候補のジョン・マケイン議員が長年保持していた議席。マケイン議員の没後、アリゾナ州知事任命により、元上院議員が年末までその後任を務めた後、下院議員が任命され、マケイン議員のもともとの任期が終わる2020年まで務めることになっている。

ケリー飛行士は湾岸戦争に従軍した海軍操縦士で、2001年からスペースシャトルのパイロットとして何度も宇宙に行っている輝かしい経歴の海軍大佐だが、上院選出馬のニュースの見出しでは「ギャビー・ギフォーズの夫」というものが一番多い。

妻のギャビー・ギフォーズは、ある意味、悲劇の、そして不屈のヒロインとして政界の有名人だ。下院議員だったギフォーズは2011年にアリゾナ州ツーソン市のスーパー近くでミニ集会中に銃撃され、至近距離から頭部を撃たれて重傷を負った。この事件は9歳の女の子やギフォーズ議員のスタッフなど6人も死亡する惨事として全国に衝撃を与えた。ギフォーズは約半年の入院後、自宅で看護を受けながら、一度は下院議場に復帰もしたが、2012年にリハビリに専念するため辞職した。

彼女はもとは銃規制に反対する立場で、民主党内で批判されたこともあったが、事件後は夫婦で銃規制を支持する団体を作り、銃犯罪と戦うシンボル的な存在になっている。アメリカで銃規制が弱い州の1つとして知られるアリゾナ州で、そのギフォーズ元議員の夫が上院選に出るということで、全国でも注目される選挙になることは間違いない。

2011年のツーソンの銃撃事件以降も、銃規制を呼びかける声は大きくなっても法制化が進まず、アメリカ各地での銃による大量殺人事件は続いている。アリゾナ州で銃規制を主要政策に掲げる民主党候補が当選したら規制にはずみがつくだろう。

・・・でも私にとってマーク・ケリーは以前から、宇宙飛行士としても最も興味をひかれる一人だった。この人、一卵性双生児で、ふたごのもう一人、スコット・ケリーも宇宙飛行士だ。上の写真の左が今度選挙に出るマークで、右がスコット。

NASAは2015年10月からスコットが国際スペースステーションに1年間滞在、地上にいるマークと様々な物理的、心理的な比較をし、宇宙滞在が人の体にどんな影響を与えるかを調べる The Twins Study、双生児研究というものを実施した。

NASAで双生児というか兄弟が宇宙飛行士として活動したのは史上初めて、唯一の例だそうで、身体構造がそっくりのふたりを比較するまたとないチャンスだったわけだ。この研究は多国籍・大規模な調査で、その結果はこれから宇宙に行く宇宙飛行士の安全やパフォーマンスの向上に役に立つことが期待される。

最初にこの双生児研究のニュースに触れたとき、うわーこんなおもしろい話があるのね、と思っていたらその地上に残ったほうがギャビー・ギフォーズの夫だった。

マーク・ケリーの出馬表明のビデオには、妻のギャビーの銃撃事件のニュース映像や彼女のリハビリと最近の様子がたくさん使われている。ギャビーはまだ完全には回復していないのかもしれないが、ここぞというときには登場するだろう。それにふたごのスコットも。スコットがマークのふりをして同時に別の場所で演説を・・・なんてことはないだろうけれども。

参考にしました







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