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階段をのぼる


運命の階段を駆けあがる

いま、もしかしたらそんな時が
来ているのかもしれないと思う。



2年前、
内見を申し込んだ物件があった。


費用が合わなかった上、
その後
急いで東京を去ったから、

その部屋には暮らせなかった。

中を見ることも出来なかった。


そんなことがあったことさえ
忘れていたいま、本当に偶然、

その物件の
隣りのビルで働いている。




気づいた時には、心の底から驚いた。

最初、本当に気づかなかった。





今の会社には、
内定していた他の仕事が急に流れて、

本気で焦って慌てていたとき、 

運良く巡り会えた。

場所で選んだわけではなく
とにかく焦っていたので、

必死で探して、


当時の自分の持つ技術では
無理めな内容だったけど、

思い切って、
応募した先だった。




勤務初日、駅からの道を歩きながら

"あれ、
なんで見たことあるんだろう"

そういう気持ちで、

1階に感じのよいバルの入った
隣りのビルを見上げた。

直ぐには思い出せず、その時は

なんとなく通り過ぎた。



勤め始めて数日後のお昼休み。

なんとなく歩きながら、
隣のビルの建物名をゆっくり読んで


急に思い出した。

『あのときの…!』


近くに誰も居なかったけれど、

もし居たら、
聞こえてしまっただろうという
ボリュームで、

大きな独りごとを、つい言ってしまった。


その頃から、
変わり続けている。


例えば家に帰る時、
駅が混どんなに混んでいても

その時が
自分にとって帰る時間なら、

避ける気持ちを持たなくても
自然と
ぶつからずに歩ける。

改札も、立ち止まらずに
通り抜けられる。


そんなことは、20年以上、
東京に暮らして初めてだった。





7月のある日、

名前と住所と電話番号が
一気に変わった時から

もうすぐ2年経とうとしている。


それ以上の何かが変わって、

いまも変わり続けている。


出て行きたくはなかったけれど、
当時 暮らしていた部屋を


飛び出した時、


たぶん、見えないところで

ほかのドアが開いた。





泣きたくて、やりきれない日は

そう思うことにした。



いのちがあって
あたらしい旅にでられた、


今も続くこの日々と


わたしを救い、助けてくれた
たくさんの大切な出会いに

心からの

感謝のきもちを捧げながら


目に見えなくとも、

確かにあると思える、

この階段を



恩返しへの、道と信じて


今日も登ります。




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